漢方薬の記事

漢方薬

四逆散、四君子湯、四物湯、紫根牡蛎湯、七物降下湯、八物降下湯

軽度の神経症、男性。漢方処方応用のコツより引用。数年前から下肢がだるく、疲れやすく、仕事の能率が上がらないという。やや小柄な体格だが、肉付きは中くらいで病院ではどこも悪くないと言われているとおり特別な所見はない。腹診すると前述のような腹証をしていたので、四逆散を投与した。一ヶ月も経った頃、身体が軽く感じ、下肢のだるさは意識しなくなり疲れなくなった。その後、食事のせいか、心下部が痛んだ時は柴胡桂枝湯に変えて良くなった。
漢方薬

炙甘草湯、芍薬甘草湯、瀉白散、十全大補湯、十味敗毒湯、十味敗毒散

シェーグレーン症候群、41歳、女性。漢方処方応用の実際より引用。4、5年前から動悸を感じ、疲労甚だしく、腹満、腹痛がよく起こり眼が酷く乾燥し、顔面に浮腫みを生じ両手が痺れた。都立の某病院で以上の診断を元に約1年治療を受けたが、全く効果がなく紹介状をもって来院した。中背、痩せ型で顏の皮膚に黒い色素沈着がおこり、軽度の甲状腺腫が認められた。手足が冷え、朝方は反って煩熱する。夜はよく眠れない、眼が乾燥するので乗物内では眼が開けられないという。心音が増強し、脈沈細数、腹部は全体に軟弱で臍の上部に動悸を触れた。
漢方薬

潤腸湯、正気天香湯、生姜瀉心湯、生脈散、小陥胸湯

適応疾患。老人、虚弱者、術後回復期、動脈硬化、慢性腎炎などにみられる常用性兎糞状便秘。使用目標。頑固な便秘の方に用います。麻子仁丸の証に、さらに体液の欠乏の甚だしい状態の方を目標にします。したがって老人や衰弱者に適応が多いです。漢方の証、方意。病位、虚実。少陽病から太陰病、虚証。方意。燥証による兎糞状便、皮膚枯燥。備考。潤腸湯は、麻子仁丸の変方で、滋潤の剤です。体液が欠乏して、大腸の粘滑性を失ったために起こった弛緩性または痙攣性の常習性便秘に用います。兎の糞のような硬いコロコロ便が出るのが特徴です。
漢方薬

小建中湯、小柴胡湯、小柴胡湯加桔梗石膏、小青竜湯、小続命湯、小半夏加茯苓湯

腹痛、女性。漢方処方応用の実際より引用。急に腹痛を訴えた患者さん。痛み方は腹を絞るような痛みが腹全体に起こり、しばらくすると波が引くように痛みが去っていく。しかし少し経つとまた同じように痛んでくるというのであった。その朝、わずかに下痢をした後、便通がありそうで出ないという裏急後重のような訴えもあった。体温普通、悪心嘔吐なく、腹部は軟らかくてガス塊を触れ、もくもくと動くのがわかる。脈は沈細遅、体格は小さい方で肉づきは中くらいである。
漢方薬

消風散、升麻葛根湯、升麻白芷湯、逍遙散、辛夷清肺湯

慢性湿疹、女性39歳。漢方処方応用の実際より引用。数ヶ月前から顏と手足に発疹が出て、浸出液があって非常に痒いという。顏は眼の周囲がところどころが赤くなり、浸出液が乾燥して痂皮になっている。ある大病院にかかっていてステロイドホルモンを飲んだり、塗布薬を用いているが一時よくなってもすぐまた悪くなるという。小柄でやや肥満型、色白の未婚婦人、筋肉は軟弱な方であるが脈は緩である。腹部は両側の腹直筋がやや拘攣し、右の季肋下に軽い抵抗をみとめ心下部に軽い浸水音がある。
漢方薬

神秘湯、真武湯、参蘇飲、清上防風湯、清咽利隔湯

適応疾患。気管支喘息、気管支炎、小児喘息、肺気腫、感冒。使用目標。呼吸困難、起座呼吸、喘鳴、咳嗽が目標となる方剤です。小青竜湯証のような水毒がなく、小児の感冒で咳が出て、喘鳴のあるものに良いです。体質的には虚実中間で比較的実証の方で、胸脇苦満を認める方に多いです。漢方の証、方意。病位、虚実;少陽病、実証。十二臓腑配当。肺、小腸。方意;肺の気滞、肺の水毒による激しい呼吸困難、起座呼吸、喘鳴、咳嗽。時に気滞による精神症状、胸脇の熱証。
漢方薬

清暑益気湯、清心蓮子飲、清肺湯、清鼻湯、折衝飲

適応疾患。食欲不振、下痢を主とした消化不良、慢性胃腸炎、疲労倦怠感の強い慢性肝炎、夏負け。使用目標。俗に言う夏負けの方に用いる薬方です。大便は軟便で体がだるく、足腰の力も抜け、気不精になり、食が進まず、次第に痩せる夏痩せの方に用います。猛暑の時、外での運動などの暑気あたりを予防できるお薬です。漢方の証、方意。病位、虚実。少陽病、虚証。方意。脾胃の虚証。食欲不振、下痢傾向。虚証。疲労倦怠。熱証、湿証。身熱、心煩、口渇、遷延性炎症。
漢方薬

川芎茶調散、千金内托散、内托散、千金当帰湯、当帰湯、喘四君子湯、続命湯、大続命湯

千金内托散。化膿性の腫物。男性。漢方処方応用の実際より引用。背中に大きな化膿性の腫物ができて、痛みが激しく十味敗毒湯を飲んでも効かず民間療法のべんけい草の葉を貼って膿を吸い出したらようやく治った。ところが3日も経たない内に同じ腫物が前の場所の近くにできて、痛みが酷くなり2日ほど夜も眠れなかった。このとき千金内托散を煎じて昼ごろから夜までに1日分を飲んだところ、その夜は痛みが軽くなってよく眠れ、その後2日ほど服薬を続けて治った。
漢方薬

増損木防已湯、疎経活血湯、蘇子降気湯、大黄甘草湯、大甘丸、大黄牡丹皮湯

適応疾患。心筋梗塞、心不全、心臓神経症、狭心症、心臓性喘息。使用目標。木防已湯よりも上焦の水毒が一段と強く、喘鳴が強度の方に用います。漢方の証、方意。病位、虚実。少陽病、実証から虚実中間。十二臓腑配当。肺、胃。方意。上焦の水毒。心下痞硬、胸内苦悶感、呼吸困難。水毒。尿不利、浮腫。
漢方薬

大芎黄湯、治頭瘡一方、大建中湯、大柴胡湯、大承気湯

大芎黄湯、治頭瘡一方本朝経験、改善例。大人の頭部癤症。20代、男性。漢方処方応用の実際より引用。頭に次から次と癤が出て困っている人が尋ねて来た。大きな病院の皮膚科でも手を焼いている様子だった。そこで治頭瘡一方を飲ませた。患者は2、3ヵ月後にはすっかり頭のオデキが治ってしまったということだ。適応疾患。小児頭部湿疹、胎毒下し、諸湿疹、打撲、慢性腱鞘炎、脂漏性湿疹、打撲後遺症。
漢方薬

大防風湯、澤瀉湯、托裏消毒散、竹茹温胆湯

適応疾患。関節痛、慢性関節リウマチ、坐骨神経痛、脊髄炎、産後の下肢運動麻痺。使用目標。体質的に虚弱な方や、疾患の慢性経過により衰弱傾向のある方の膝関節や足関節その他の関節の腫れ痛み、筋肉がやせて下肢が細くなったものに効果を示します。ただし、胃腸虚弱のものには用い難いことがあります。本方は鶴膝風のタイプの方に用いると良いとされます。膝風とは熱証の少ない膝関節の慢性炎症で、腫脹、疼痛があり上下の筋肉のやせ細った状態を言います。
漢方薬

竹葉石膏湯、治打撲一方、知柏八味丸、知柏地黄丸、調胃承気湯、釣藤散

女性、喘息。漢方処方応用の実際より引用。風邪をこじらせて以来、喘息のようになって咳が年がら年中出ている。痰が絡んで切れにくく咳が激しいときは喘鳴を伴い呼吸が苦しくなる。咳の酷い時は一日中咳こんでいて何も仕事ができない。夜も咳が出るので安眠したことは一晩も無い。食欲がなく疲労しやすく、いつも疲れている。冷え症で手足が冷たく、いつもカイロを使っている。冬は腰が痛み、下痢しやすく秋から冬にかけては風邪を引きやすく、冬の間じゅう風邪の気分が抜けない。また毎月排卵期から月経が終わるまでめまい 、頭痛 、全身倦怠感が酷い。患者はやや長身で中肉、一見体格のよい婦人であった。