
日本漢方の古方派を中心とした漢方薬・処方をご紹介します。
一般の方から専門家まで馴染めるよう、改善例・処方薬味・適応疾患・使用目標・漢方の証・方意をご紹介。
消風散(ショウフウサン)-外科正宗-
改善例
慢性湿疹/女性 39歳 -漢方処方・応用の実際より引用
数ヶ月前から顏と手足に発疹が出て、浸出液があって非常に痒いという。顏は眼の周囲がところどころが赤くなり、浸出液が乾燥して痂皮になっている。ある大病院にかかっていてステロイドホルモンを飲んだり、塗布薬を用いているが一時よくなってもすぐまた悪くなるという。小柄でやや肥満型、色白の未婚婦人、筋肉は軟弱な方であるが脈は緩である。腹部は両側の腹直筋がやや拘攣し、右の季肋下に軽い抵抗をみとめ心下部に軽い浸水音がある。
腹証を目標に四逆散(シギャクサン)合 四物湯(シモツトウ)を用いると2週間ばかりで皮膚病が軽快したが、3週間目頃、胃部が痞え腹が痛んで下痢するという。
そこで胃腸のためには半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)を皮膚病に消風散をどちらも乾燥エキス剤で投与することにした。これで胃の具合も湿疹もよくなったが食べすぎ過労などがあると眼の周囲が赤くなるといって患者は続けて服薬した。そして約1年間治療し、すっかり良くなったといって服薬をやめた。
その間に手に水虫が出た水仕事をさかんにするせいだろうと本人は言っていたがこの時は消風散エキスと十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)のエキスを兼用し2ヶ月ばかりで良くなった。
処方薬味
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適応疾患
頑固な湿疹、水虫、 苔癬、 夏季の悪化するいろいろな皮膚疾患、アトピー性皮膚炎
使用目標
亜急性・慢性の湿疹の方に用います。皮膚に丘疹が密生して癒合し、一面に浸出液が多くて湿潤し腫脹が甚だしいもので、あるいは口渇があったり厚い痂皮を生じて一見汚らしく見えます。活動的な病変が特徴的です。
漢方の証・方意
- 病位・虚実;少陽病、実証より虚実中間
- 十二臓腑配当;大腸
- 方意;表の熱証としての濃厚な分泌液・激しい掻痒感・熱感・発赤、時に燥証を伴うものに用いる方剤です。
- 備考;消風散証の方は、夏場や入浴あるいは就寝で身体が暖まると憎悪する方が多いです。化膿傾向の強い場合には、金銀花・ 桔梗を加えるとより効果的です。
升麻葛根湯(ショウマカッコントウ)-万病回春-をご紹介
処方薬味
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適応疾患
虚弱児の感冒、水痘、麻疹などの発疹を伴う熱性疾患、蕁麻疹、激しい頭痛を伴う熱性疾患
使用目標
麻疹の初期で、まだ発疹が出ないうちで熱が出て感冒などの熱と見分けのつかない時期に用います。なかなか発疹せず内攻の恐れがある時に、速やかに発疹させます。虚弱児の感冒、水痘などにも応用できます。
漢方の証・方意
- 病位・虚実;太陽病、虚実中間から実証。
- 方意;表の熱証:赤い発疹・発熱・肢体煩疼・激しい頭痛
升麻白芷湯(ショウマビャクシトウ)-万病回春-をご紹介
処方薬味
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適応疾患
肝硬変、リール黒皮症、面黒
漢方の証・方意
- 病位・虚実;陽明病
逍遙散(ショウヨウサン)-和剤局方-をご紹介
処方薬味
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適応疾患
神経症、肝炎 、肝硬変、生理異常、肝斑
使用目標
加味逍遙散(カミショウヨウサン)証で逆上せ(頭痛、肩凝り、顔面紅潮)の無い方に用います。
漢方の証・方意
- 病位・虚実;少陽病
辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)-外科正宗-をご紹介
処方薬味
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適応疾患
鼻詰まり、慢性鼻炎、蓄膿症
使用目標
腹力が中程度の方で鼻閉、鼻炎、蓄膿症のある方に用います。
漢方の証・方意
- 病位・虚実;少陽病 実証
- 十二臓腑配当;肺・膀胱
- 方意;上焦の熱証・上焦の湿証による濃厚な鼻汁・鼻閉。
参考文献・出典
- 漢方診療医典 大塚敬節・矢数道明・清水藤太郎 著
- 漢方処方 応用の実際 山田光胤 著
- 漢方方意ノート 千葉古方漢方研究会 著
- 漢方治療百話第1~3集 矢数道明 著
- 腹證奇覧 稲葉克文礼 和久田寅叔虎 著
- 漢方処方応用のコツ 山田光胤 著
- 薬局製剤 漢方194方の使い方 埴岡博・滝野行亮 共著
- 勿誤薬室方函口訣 長谷川弥人 著
- 漢方診療30年 大塚敬節 著
- 皇漢医学 湯本求真 著
- 黙堂柴田良治処方集 柴田良治 著
- 類聚方広義 吉益東洞 著