肝硬変

肝炎の記事

肝臓の繊維化

肝硬変で肝臓の繊維化が進行すると、門脈圧が上昇し肝臓への血流は低下します。

肝臓に流れなかった血液は下半身に流れ痔核や腹水、足の浮腫みを生じます。

また横に流れた血流は脾臓へと流れて行きます。骨髓で造られた様々な血液成分を破壊処理する臓器が脾臓です。
肝硬変により脾臓に流れた血流は脾臓を大きくし脾腫を生じます。そのため脾臓の働きが亢進し、血小板等の破壊が進み臨床検査ではPLTが低下します。

肝硬変の症状

更に肝硬変により上方に流れた血流にて、食道静脈瘤や胸に毛細血管の浮き出るクモ状血管腫等が出来ます。
蜘蛛状血管腫は鏡で見ると毛細血管が小さい蜘蛛の巣の様に見えます。そこを押すと一瞬血管腫は消失しますが直ぐに毛細血管が現れます。

肝臓は解毒の臓器

肝臓は解毒の臓器ですので、肝硬変では身体の解毒代謝に問題が生じてきます。

女性ホルモンの代謝が滞ると、男性が女性の様な乳房化や、手の平が赤くなる手掌紅斑等が生じます。
手掌紅斑の出来る部分は、机に手の平を押し付けます。手の平が赤くうっ血する部分に発生します。指先や第3関節の下部分、親指と小指の手首に近い部分です。
女性の場合、体質的に元々手掌紅斑のある人もいますので、その場合は心配いりません。

またアンモニアの代謝が低下すると、血液中のアンモニアにより肝性脳症が起こります。意識障害等が起きることもあります。
手が振るえたり食事の時にハシを持てなくなったりします。両手を横に広げると羽ばたき振戦と言う症状を呈することもあります。

肝臓の繊維化が進むと

肝硬変による肝臓の繊維化は再生出来ないと、一般的に言われています。
漢方太陽堂には長年の経験により、肝臓の繊維化を防ぎ血小板を増やす独自の漢方の技法があります。
漢方の力を信じて。諦めないでください。

肝硬変の臨床検査

肝硬変では、臨床検査に特徴が現れます。

  • 肝硬変、肝癌では、ASTが、ALTより高くなります。
  • 脾腫が進行すると血小板数のPLTが低下します。
  • 肝硬変が進行し肝臓での製造能力が低下すると、アルブミングロブリン比率、血清総タンパク、コリンエステラーゼが低下し肝不全になっていきます。

A/Gとは

アルブミングロブリン比率です。
血液中のタンパク質はアミノ酸であるアルブミンとグロブリンが中心です。

肝不全になると肝臓で合成されるアミノ酸のアルブミンが減少します。
A/Gが低下すると言うことは肝臓のアミノ酸の合成力が低下したことを現します。
また腎炎、ネフローゼや膠原病でもA/G比率が低下することがあります。

漢方太陽堂の肝硬変の漢方治療薬

肝硬変に使用する漢方薬です。

AST、ALTの異常

肝臓の細胞がウイルスや他の原因で破壊されると細胞中の酵素が血液に漏れ出てきます。
それがAST,ALTです。
ALTは肝臓中心ですが、ASTは肝臓以外にも筋肉や心筋にも含まれます。

適応は、消炎作用のある漢方薬です。
体力が衰えてきた時などは漢方薬の分量を減らして用います。しかし体力的に使えない患者さんもいます。

  1. 大柴胡湯
  2. 黄連解毒湯
  3. 四逆散
  4. 半瀉六君子湯
  5. 小柴胡湯
  6. 柴胡桂枝湯
  7. 田七人参

黄疸を伴う原発性胆汁性肝硬変

原発性胆汁性肝硬変は原因が定かではありません。

肝細胞の破壊と線維化が生じます。進行すると肝硬変となり肝不全へと進行します。
黄疸が出る事もあります。黄疸の発現しやすい場所は、目の白球、手掌、足掌、爪、病勢が強くなれば奥より前に出てくる黄苔、脂溶性便、俗にビールの色だと表現される黄色から赤濁の尿。

以下は、黄疸を取る働きが強い漢方薬です。

  1. 茵蔯蒿湯
  2. 茵蔯五苓散
  3. 黄連解毒湯
  4. 柴胡剤加茵蔯山梔子

蜘蛛状血管腫、手掌紅班、血小板数の減少

肝硬変が進行すると解毒能力が低下し門脈圧が亢進されます。門脈圧が亢進すると脾腫が生じ血小板の低下を招きます。

適応漢方薬は、解毒能力を高める薬方や駆瘀血剤を使用します。しかし食道静脈瘤等の出血傾向がある時は、駆瘀血剤は使用できません。

  1. 桂枝茯苓丸
  2. 加味逍遙散
  3. 良枳湯
  4. 解労散
  5. 黄解散

肝硬変が進行すると腹水が生じます

肝硬変による腹水は適応漢方薬が合うと、みるみる取れて行きます。
肝臓自体が改善して行くことも多いです。肝炎そのものが完治する患者さんもいます。

  1. 人参湯合五苓散
  2. 補中冶湿湯
  3. 黄耆建中湯
  4. 分消湯
  5. 補気建中湯
  6. WTTC

肝不全がある場合

アルブミングロブリン比率、コリンエステラーゼ等の異常が生じます。アンモニアの解毒が出来ずに肝性脳症が出る場合もあります。

肝臓の細胞数が減少します。
破壊されて肝細胞が殆ど無くなると今まで悪化していた肝機能が正常の様になることがあります。
肝細胞のが破壊により生じるはずのAST、ALTなどが、破壊される肝細胞が無くなり正常化したようになります。

適応漢方薬は、生体に力をつけ肝細胞を賦活させる漢方薬を使用します。

  1. 人参湯
  2. 黄耆建中湯

上記の各項目の漢方薬を複数組み合わせます

  • AST、ALTの異常の漢方薬と腹水の漢方薬。
  • 黄疸の漢方薬とAST、ALTの異常の漢方薬など。

漢方治療に柔軟性が求められる疾患です。