日本漢方の古方派を中心とした漢方薬、処方をご紹介します。一般の方から専門家まで馴染めるよう、改善例、処方薬味、適応疾患、使用目標、漢方の証、方意をご紹介。
清暑益気湯。医学大要
処方薬味
甘草 |
白朮 |
五味子 |
麦門冬 |
黄耆 |
当帰 |
黄柏 |
陳皮 |
人参 |
適応疾患
食欲不振、下痢を主とした消化不良、慢性胃腸炎、疲労倦怠感の強い慢性肝炎、夏負け
使用目標
俗に言う夏負けの方に用いる薬方です。大便は軟便で体がだるく、足腰の力も抜け、気不精になり、食が進まず、次第に痩せる夏痩せの方に用います。猛暑の時、外での運動などの暑気あたりを予防できるお薬です。
漢方の証、方意
- 病位、虚実。少陽病、虚証
- 方意。脾胃の虚証。食欲不振、下痢傾向。虚証。疲労倦怠。熱証、湿証。身熱、心煩、口渇、遷延性炎症
清心蓮子飲。和剤局方

処方薬味
蓮肉 |
麦門冬 |
黄耆 |
甘草 |
茯苓 |
車前子 |
黄芩 |
人参 |
地骨皮 |
適応疾患
膀胱炎、尿道炎無菌性の炎症、前立腺炎、前立腺肥大
使用目標
尿の淋瀝や尿が出そうで出にくい方に良いです。平素から胃腸が弱く、八味丸などの地黄剤を用いると食欲がなくなったり下痢気味になる方に用いられます。
冷え性で神経質な人が多く、抑うつで取越し苦労する方に多いです。尿は濃く着色し、或いは渋り痛み、混濁する場合があります。女性の場合、赤白帯下があり、四肢倦怠する方に用いられます。
漢方の証、方意
- 病位、虚実。少陽病、虚証
- 十二臓腑配当。心、腎
- 方意。下焦の熱証。尿意頻数、排尿痛、残尿感。上焦の熱証。口渇多飲、口舌乾燥。上焦の熱証による精神症状。感情不安定、繊憂細慮。腎の虚証。遺精、帯下
- 備考。上焦の熱証と腎の虚証をあわせて上盛下虚と呼びます。清心蓮子飲は四君子湯を基本として成立した薬方で脾胃の虚証があります。
清肺湯。万病回春

改善例
52歳、男性。漢方処方応用の実際より引用。
14年前、肺結核のため左の胸膈整形手術を受け、肋骨を6本切除した。右肺は胸膜が癒着して肺活量も少なく、すぐ息切れして動悸が起こる。1年前にはうっ血肝になって入院した。
身体は痩せて顏色が悪く、脈は沈細で数、血圧は最高116、最低80で非常に虚状を呈している。腹部も肉づきが少なく、右に胸脇苦満のような季肋下抵抗を示し、臍下は全く脱力している。
これに清肺湯を投与したところ10日後には痰が切れやすくなり、咳が減少した。その後2週間目頃、喀血をしたので黄連解毒湯を兼用したが1ヶ月半の間に3、4回喀血があった。上記の処方に阿膠、艾薬、各2.5グラムを加えたところ、以来全然喀血がなくなり、顏色が良くなって少しずつ元気になった。
処方薬味
五味子 |
桔梗 |
桑白皮 |
貝母 |
茯苓 |
杏仁 |
大棗 |
甘草 |
天門冬 |
黄芩 |
竹茹 |
陳皮 |
山梔子 |
麦門冬 |
当帰 |
乾姜 |
適応疾患
遷延性の感冒、慢性気管支炎、気管支喘息、肺気腫、肺結核、慢性咽頭痛、心臓喘息
使用目標
痰が多く、咳嗽がずっと止まらず、時に血痰を出したりあるいは息切れし、体が衰弱している方に用います。
漢方の証、方意
- 病位、虚実。少陽病、虚証
- 十二臓腑配当。肺
- 方意。肺の熱証、肺の燥証。濃厚な喀痰、激しい咳嗽
清鼻湯

処方薬味
葛根 |
桔梗 |
辛夷 |
薏苡仁 |
麻黄 |
桂皮 |
芍薬 |
石膏 |
川芎 |
生姜 |
甘草 |
大黄 |
適応疾患
蓄膿症、肥厚性鼻炎、慢性鼻炎、鼻茸、臭鼻症
使用目標
食欲には異常がない方で、小児や青壮年者に用いられ、持久服用します。
漢方の証、方意
- 病位、虚実。太陽病、実証
- 備考。葛根湯の加味方になります。
折衝飲。産論

処方薬味
牡丹皮 |
川芎 |
桃仁 |
芍薬 |
桂皮 |
当帰 |
牛膝 |
延胡索 |
紅花 |
適応疾患
月経困難症、子宮筋腫や子宮後屈による下腹部痛、性交痛、不妊症、血の道症
使用目標
女性の瘀血に用いられます。瘀血の腹証があり、性器出血、下腹部痛、腰痛、産後悪露の止まらないものに用います。患者は虚実中程度以上で、体力の充実度が中ぐらいあるいはそれ以上の方に用います。
漢方の証、方意
- 病位、虚実。太陰病から少陽病、虚実中間
- 方意。瘀血。下腹部痛、月経異常


甘草
白朮
五味子
麦門冬
黄耆
当帰
黄柏
陳皮
人参
蓮肉
茯苓
車前子
黄芩
地骨皮
桔梗
桑白皮
貝母
杏仁
大棗
天門冬
竹茹
山梔子
乾姜
葛根
辛夷
薏苡仁
麻黄
桂皮
芍薬
石膏
川芎
大黄
牡丹皮
桃仁
牛膝
延胡索
紅花