- 2016年6月24日
人参養栄湯、排膿散、排膿湯、排膿散及湯、伯州散、麦門冬湯、麦門冬飲子
日本漢方の古方派を中心とした漢方薬、処方をご紹介します。一般の方から専門家まで馴染めるよう、改善例、処方薬味、適応疾患、……

日本漢方の古方派を中心とした漢方薬、処方をご紹介します。一般の方から専門家まで馴染めるよう、改善例、処方薬味、適応疾患、使用目標、漢方の証、方意をご紹介。
腹痛。女性。漢方処方応用の実際より引用
急に腹痛を訴えた患者さん。痛み方は腹を絞るような痛みが腹全体に起こり、しばらくすると波が引くように痛みが去っていく。しかし少し経つとまた同じように痛んでくるというのであった。その朝、わずかに下痢をした後、便通がありそうで出ないという裏急後重のような訴えもあった。体温普通、悪心嘔吐なく、腹部は軟らかくてガス塊を触れ、もくもくと動くのがわかる。脈は沈細遅、体格は小さい方で肉づきは中くらいである。
当日、黄連解毒湯合四逆散加動物胆からできたT社の試作錠剤を与えたが無効、いつも軽い腹痛はこの薬ですぐ治るのだったが、翌日、腹証から大建中湯を飲ませたが少しも治らなかった。そこで脈から裏寒の虚、腹は大建中湯のように見えるが、もしかすると小建中湯の裏急ではないかと考えてその晩、小建中湯を与えた。すると翌日は大分楽になって食事も摂れるようになり、次の日にはすっかり痛みが去って元気になった。
膠飴 | 大棗 | 生姜 |
芍薬 | 甘草 | 桂皮 |
虚弱児童の体質改善、夜尿症、夜啼症、胃炎、小児の感冒、麻疹、肺炎などの経過中の急な腹痛、慢性腹膜炎の軽症、肺結核の軽症、カリエス、関節炎、神経症、乳児のヘルニア、小児喘息、紫斑病、フリクテン性結膜炎、眼底出血、成人の腸内ガス充満や腸蠕動不安などによる腹痛、虚弱体質の人の便秘
腹が急に激しく痛み、脈が渋り、弦の方に用います。この痛みは引きつれるような痛みが多いです。
体力の無い虚弱な人が、熱病にかかった初期、2、3日目頃、心悸亢進、動悸して身体が苦しい方に用います。
身体が虚弱で疲れやすく、腹壁の筋肉が薄く腹直筋のみが拘攣し、あるいは腹が痛んだり動悸、鼻血、夢精、手足のだるさ、手足の煩熱感、咽喉や口の乾燥、尿の量や回数が増えるなどの症状を訴えられる方に用います。

原因不明の全身麻痺。女性。漢方処方応用の実際より引用
患者は20歳の女子大学生で、話によると1年前の5月、微熱、嘔気、風邪気味症状から1週間後に下肢が脱力して歩行困難となり、傾眠、感情刺激的となって寝たままになったが、2ヶ月後自然に良くなった。
ところが今年の6月初め、またもや同じような麻痺、脱力が起き、全身倦怠を訴えて寝たままになったという。大学病院その他で、その都度診てもらったが、診断ははっきりつかないという事だった。
6月下旬のある日の夕方、所用を済ませた後で患者を訪ねた。患者は平素は割合に丈夫な方だが、時々膝の冷痛を訴えたという。病気になる前は、肩がこって疲れやすくなり、便秘をして、眼の光が弱くなったという。また初めは寝返りもよく打てなかったが、最近ようやく家の中を歩けるようになったという事であった。悪い最中はまた、胃の痛みを訴えたり、イライラしたりしていたともいう。
体格は中背で痩せ型、貧血性で、如何にも弱々しい身体にみえる。しかし脈は細くて弱いが、理学的診断では何らの異常も診られなかった。腹部をみると、腹筋が薄く、一般に軟弱であるが右の季肋下に中等度の抵抗がみられ、また臍の周囲が少し固く張っていた。腰背部の志室の穴にも圧痛がみられ、全般的に虚しているように見えた。
全体から受ける弱々しい様子では、補中益気湯にでもしようかと思ったが、腹証に明らかな胸脇苦満をみては、もっと徹底した柴胡剤が用いたいように考えられた。結局、意を決して小柴胡湯加茯苓を用いることにした。茯苓を加えたのは自家経験でこうすると味が軟らかくなり、薬方が軟化するように思えるからである。処方はこれで送ったが内心、薬力が強すぎないかと心配でならなかった。
ところが「朝の寝起きが悪かったのがスッと眼が覚め、眩暈等もなく、また便通も規則正しく胃腸の欠陥を訴えず、現在、病人らしい所は無くなりました。第三者が見ても顏色、眼の動き等を全く平常と異なりません。」と連絡があった。1年後、連絡があり、「このところ大変身体の調子がよろしく、昨年までは身体が細くて心配していたが、今年は大分太った」とあった。
甘草 | 柴胡 | 生姜 |
黄芩 | 人参 | 半夏 |
大棗 |
諸種の熱性病、感冒、流感、咽喉炎、耳下腺炎、肺炎、肝炎、黄疸、肺気腫、胆嚢炎、急性、慢性腎炎
熱が出て5、6日経ってから往来寒熱、胸脇苦満が起こり、舌に白苔が生じて、口が苦く、食欲不振、悪心、嘔吐のあるもので、この時、咳が出ることがあり、あるいは口渇、腹痛、心悸亢進、尿利減少、身熱、首やうなじ残りなどが起こり、あるいは便秘、または軟便が出る方に用います。
産褥熱や炎症性疾患にかかって、四肢が煩熱して頭痛が起こる方にも用います。腹が急に痛んで、小建中湯が効かない方にも用います。
黄疸で、熱が出て寒気がし、胸脇苦満であり、食事が取れず、首やうなじが凝り、小便の出が悪く、脈が浮弱遅の方にも用います。
以上のほか、腹証に胸脇苦満のある虚実中等の人の雑病諸病に用います。圧痛を伴うようなハッキリした胸脇苦満は、急性病の際によく現れるようです。小柴胡湯などで諸症状が治ると、胸脇苦満も消えてしまいます。慢性病の場合は症状が改善しても季肋下の抵抗が変わらないことも多いです。

喘息性気管支炎、男性。漢方処方応用の実際より引用
小学校の男児、なかなかのきかん坊で体格がよく、胸も厚く手足もがっちりした坊やがいる。ところが案外身体が弱く、ちょくちょく熱を出したり、扁桃腺は腫らしたりする。
晩秋の頃、例の通り風邪を引いて来院した。熱は大したことはないが咳が激しく咽喉でヒュヒュという音がしている。母親の訴えによると、この子は喘息性気管支炎を起こしやすく、ちょっと油断すると風邪を引いて、いつもこうなるという。聴診すると、胸部全体に笛声音がさかんに聞こえる。顏色は蒼白で何となく水ぶくれのような肥り方である。
これだけの症状を根拠に小青竜湯の製剤を1週間分投与した。これで咳、喘鳴は3、4日で治ったばかりでなく、その冬はその後1度も風邪をひかなかった。
その後、しばらくして珍しく風邪を引き咳が出ると言い、母親に連れて来られたが、前のような喘鳴が無かった。しかしこのときも小青竜湯製剤を投与した。すると2日後には植物採集に、遠く大宮八幡の方まで歩いて行って来たということである。
甘草 | 麻黄 | 生姜 |
細辛 | 五味子 | 桂皮 |
半夏 | 芍薬 |
気管支炎、気管支喘息、百日咳、肺炎、胸膜炎、アレルギー性鼻炎、感冒、ネフローゼ腎炎などの初期の浮腫

附子 | 防風 | 生姜 |
芍薬 | 麻黄 | 桂皮 |
甘草 | 人参 | 防已 |
杏仁 | 黄芩 | 川芎 |
脳卒中、脳梗塞、その他の脳血流障害、慢性関節リウマチ
続命湯、大続命湯の用い方に準じてより、体力が衰え虚状を呈する方に用います。

半夏 | 茯苓 | 生姜 |
妊娠悪阻、諸種の嘔吐、急性胃腸炎、乗り物酔い、胃下垂症、胃アトニー、胃炎
強い悪心、嘔吐に用います。その嘔とは、胃内停水によるものです。したがって腹診すると心下部に振水音が認められます。しかし心下部振水音がハッキリしないこともあります。また、尿利減少、眩暈、動悸などを伴うことが多く、喉が渇くこともあります。
薬剤師。長崎大学薬学部卒業、日本薬剤師会会員、日本東洋医学会会員、東亜医学会会員、伝統漢方研究会会員。20代前半に、現代薬理学から漢方医学に入り40年以上が過ぎました。色々な流派の先生に師事し、最後は故入江正先生に師事し臨床医学を継承しています。