漢方の記事

漢方薬

小建中湯、小柴胡湯、小柴胡湯加桔梗石膏、小青竜湯、小続命湯、小半夏加茯苓湯

腹痛、女性。漢方処方応用の実際より引用。急に腹痛を訴えた患者さん。痛み方は腹を絞るような痛みが腹全体に起こり、しばらくすると波が引くように痛みが去っていく。しかし少し経つとまた同じように痛んでくるというのであった。その朝、わずかに下痢をした後、便通がありそうで出ないという裏急後重のような訴えもあった。体温普通、悪心嘔吐なく、腹部は軟らかくてガス塊を触れ、もくもくと動くのがわかる。脈は沈細遅、体格は小さい方で肉づきは中くらいである。
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消風散、升麻葛根湯、升麻白芷湯、逍遙散、辛夷清肺湯

慢性湿疹、女性39歳。漢方処方応用の実際より引用。数ヶ月前から顏と手足に発疹が出て、浸出液があって非常に痒いという。顏は眼の周囲がところどころが赤くなり、浸出液が乾燥して痂皮になっている。ある大病院にかかっていてステロイドホルモンを飲んだり、塗布薬を用いているが一時よくなってもすぐまた悪くなるという。小柄でやや肥満型、色白の未婚婦人、筋肉は軟弱な方であるが脈は緩である。腹部は両側の腹直筋がやや拘攣し、右の季肋下に軽い抵抗をみとめ心下部に軽い浸水音がある。
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神秘湯、真武湯、参蘇飲、清上防風湯、清咽利隔湯

適応疾患。気管支喘息、気管支炎、小児喘息、肺気腫、感冒。使用目標。呼吸困難、起座呼吸、喘鳴、咳嗽が目標となる方剤です。小青竜湯証のような水毒がなく、小児の感冒で咳が出て、喘鳴のあるものに良いです。体質的には虚実中間で比較的実証の方で、胸脇苦満を認める方に多いです。漢方の証、方意。病位、虚実;少陽病、実証。十二臓腑配当。肺、小腸。方意;肺の気滞、肺の水毒による激しい呼吸困難、起座呼吸、喘鳴、咳嗽。時に気滞による精神症状、胸脇の熱証。
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清暑益気湯、清心蓮子飲、清肺湯、清鼻湯、折衝飲

適応疾患。食欲不振、下痢を主とした消化不良、慢性胃腸炎、疲労倦怠感の強い慢性肝炎、夏負け。使用目標。俗に言う夏負けの方に用いる薬方です。大便は軟便で体がだるく、足腰の力も抜け、気不精になり、食が進まず、次第に痩せる夏痩せの方に用います。猛暑の時、外での運動などの暑気あたりを予防できるお薬です。漢方の証、方意。病位、虚実。少陽病、虚証。方意。脾胃の虚証。食欲不振、下痢傾向。虚証。疲労倦怠。熱証、湿証。身熱、心煩、口渇、遷延性炎症。
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川芎茶調散、千金内托散、内托散、千金当帰湯、当帰湯、喘四君子湯、続命湯、大続命湯

千金内托散。化膿性の腫物。男性。漢方処方応用の実際より引用。背中に大きな化膿性の腫物ができて、痛みが激しく十味敗毒湯を飲んでも効かず民間療法のべんけい草の葉を貼って膿を吸い出したらようやく治った。ところが3日も経たない内に同じ腫物が前の場所の近くにできて、痛みが酷くなり2日ほど夜も眠れなかった。このとき千金内托散を煎じて昼ごろから夜までに1日分を飲んだところ、その夜は痛みが軽くなってよく眠れ、その後2日ほど服薬を続けて治った。
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増損木防已湯、疎経活血湯、蘇子降気湯、大黄甘草湯、大甘丸、大黄牡丹皮湯

適応疾患。心筋梗塞、心不全、心臓神経症、狭心症、心臓性喘息。使用目標。木防已湯よりも上焦の水毒が一段と強く、喘鳴が強度の方に用います。漢方の証、方意。病位、虚実。少陽病、実証から虚実中間。十二臓腑配当。肺、胃。方意。上焦の水毒。心下痞硬、胸内苦悶感、呼吸困難。水毒。尿不利、浮腫。
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大芎黄湯、治頭瘡一方、大建中湯、大柴胡湯、大承気湯

大芎黄湯、治頭瘡一方本朝経験、改善例。大人の頭部癤症。20代、男性。漢方処方応用の実際より引用。頭に次から次と癤が出て困っている人が尋ねて来た。大きな病院の皮膚科でも手を焼いている様子だった。そこで治頭瘡一方を飲ませた。患者は2、3ヵ月後にはすっかり頭のオデキが治ってしまったということだ。適応疾患。小児頭部湿疹、胎毒下し、諸湿疹、打撲、慢性腱鞘炎、脂漏性湿疹、打撲後遺症。
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大防風湯、澤瀉湯、托裏消毒散、竹茹温胆湯

適応疾患。関節痛、慢性関節リウマチ、坐骨神経痛、脊髄炎、産後の下肢運動麻痺。使用目標。体質的に虚弱な方や、疾患の慢性経過により衰弱傾向のある方の膝関節や足関節その他の関節の腫れ痛み、筋肉がやせて下肢が細くなったものに効果を示します。ただし、胃腸虚弱のものには用い難いことがあります。本方は鶴膝風のタイプの方に用いると良いとされます。膝風とは熱証の少ない膝関節の慢性炎症で、腫脹、疼痛があり上下の筋肉のやせ細った状態を言います。
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竹葉石膏湯、治打撲一方、知柏八味丸、知柏地黄丸、調胃承気湯、釣藤散

女性、喘息。漢方処方応用の実際より引用。風邪をこじらせて以来、喘息のようになって咳が年がら年中出ている。痰が絡んで切れにくく咳が激しいときは喘鳴を伴い呼吸が苦しくなる。咳の酷い時は一日中咳こんでいて何も仕事ができない。夜も咳が出るので安眠したことは一晩も無い。食欲がなく疲労しやすく、いつも疲れている。冷え症で手足が冷たく、いつもカイロを使っている。冬は腰が痛み、下痢しやすく秋から冬にかけては風邪を引きやすく、冬の間じゅう風邪の気分が抜けない。また毎月排卵期から月経が終わるまでめまい 、頭痛 、全身倦怠感が酷い。患者はやや長身で中肉、一見体格のよい婦人であった。
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猪苓湯、通導散、桃核承気湯、当帰飲子、当帰散

慢性膀胱炎。女性、漢方処方応用の実際より引用。30年来膀胱炎で悩んでいる婦人が訪れた。体質は虚弱で冷え症、胃腸はきわめて弱い。この人は30年の間「排尿には不快感が伴うもの」と思っていたということであった。この患者に猪苓湯と当帰芍薬散の合方を与えた。ただし当帰芍薬散の当帰、川芎はごく少量用いた。胃腸の弱い人にはこの薬がすぐに胃にこたえて食欲が減ったり、胸にもたれたりするからである。これで半月にもならないうちに自覚症状が無くなり「排尿には苦痛などは無いものだった」と言うようになった。このとき患者は服薬をすぐ止めてしまった。その後に再発し、再び服薬すると1ヶ月もたたないうちに、症状は再び軽快し、身体が丈夫になって余り疲れなくなり、約1ヶ月服薬して治療を終了した。
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当帰建中湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、当帰四逆湯、当帰芍薬散

漢方処方応用の実際より引用-患者は32歳の女性。約8ヶ月前、人工流産の手術を受け、その後腹膜炎になり、帯下、血塊が下がり右腹が痛み、発熱が続いて入院していた。現在は腹部が膨満し、圧重感があり、寒い目に遭うと症状が激しくなる。ことに右下腹部が重苦しく圧痛が著名で右の腰から下肢にかけて冷える。熱はほとんど平熱になったが頭が重く疲れやすく動悸があり、安眠ができない。食欲は普通で大便は4,5日に1回、月経は少し遅れるが毎月ある。
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当帰拈痛湯、当帰連翹湯、騰竜湯、独参湯

騰竜湯、本朝経験。適応疾患。前立腺炎、前立腺肥大、睾丸炎、骨盤腹膜炎、虫垂炎、鼠径部リンパ腺炎、子宮筋腫、子宮癌。使用目標。下腹部、骨盤腔、陰部等に炎症や化膿症があり、或いは腫脹、疼痛を訴える方に用いられます。漢方の証、方意。病位、虚実。陽明病、実証。方意。下焦の熱証。激しい充血、発赤、腫脹、疼痛。備考。大黄牡丹皮湯を加減したものです。実証で急迫症状のある方には、そのまま用いて良いのですが、慢性病で便秘のない方には、大黄、芒硝を抜いても良いです。前立腺肥大で尿閉を来すものには、大黄、芒硝を去加し、八味丸と合方して用いることが多いです。