東洋医学の概念

漢方と寒熱(カンネツ)

  1. 東洋医学で言う熱は、西洋医学で言う「熱」ではありません。たとえ40度の高熱があっても患者さんが「寒い」と感じれば漢方医学の寒に当たります。
  2. 体温の上昇が熱ではありません。逆に、平熱や体温が低下している時でも口渇や火照りを感じるとそれは熱となります。
  3. 寒熱にも虚実(キョジツ)があります。例えば、「四逆散(シギャクサン)証の手足の冷え」や「桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)証の足の冷え」は実証(ジッショウ)の冷えです。
  4. 太陰病(タイインビョウ)位の特徴でもある「小建中湯(ショウケンチュウ)証の手足の火照り」は虚熱(キョネツ)になります。(日中、長く歩いた夜などに疲れて足が火照るのは、虚熱になります。)
  5. また通常は、生体全体の寒熱・虚実と局部的な寒熱・虚実が混在します。生体全体を舌診(ゼツシン)等で判断しながら局部の治療を行っていきます。
  6. 寒熱は三陰三陽(サンインサンヨウ)と相互に密接な関係があり、また三陰三陽の病位を判断する大きな目安ともなります。

漢方と燥湿(ソウシツ)

腹診7

  1. 燥湿は水毒(スイドク)との関係が大きいです。しかし、血毒(ケツドク)とも関係します。
  2. 「燥」は乾燥した状態。「湿」は湿った潤の状態のことです。
  3. 例えば、年配者の皮膚の乾燥から起こる老人性掻痒症は、漢方では「燥」となります。小児のアトピー性皮膚炎等では「湿」が多くなります。
  4. 気管支では、若年者に多い小青竜湯(ショウセイリュウトウ)証の咳は「湿」、年配者に多い麦門冬湯(バクモンドウトウ)証の咳は「燥」となります。
  5. 血液も粘っこく血流が悪い時は「燥」となります。例えば、糖尿病で血糖値が上昇し、糖により血液が濃くなり、血液粘度が上がった時、白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)証などは「燥」となります。
  6. 燥湿は、陰陽・虚実・寒熱(インヨウ・キョジツ・カンネツ)とは別に漢方治療方針を決める重要な要素となります。
  7. 発汗をして皮膚がジメジメしているから「湿」とは限りません。体表が「湿」で、発汗する事により体内の水分が減少し体内(裏)は「燥」に成っている事もあります。そのため燥湿では、表裏(漢方での局部的診方)の概念が重要となります。

漢方と虚実(キョジツ)

漢方と虚実(キョジツ)

  1. 一般に実証(ジッショウ)は体格がよく筋肉の発達した人。虚証(キョショウ)は痩せて筋肉の脆弱な人と言われます。これは間違った漢方の捉え方です。
  2. 体格の良い人には実証が表れやすく、脆弱な人には虚証が表れやすい傾向にあるだけで、根本的に虚実の判断は異なります。
  3. 実証とは「病邪の実」(ビョウジャノジツ)であり、虚証とは「正気の虚」(セイキノキョ)のことです。体格や筋肉の強さなどではありません。
  4. 病邪は、病の強さ・病の進行力。正気は、身体の防衛力・免疫力を表します。病邪と正気の戦いの状態を虚実と言う物差しで診ていきます。
  5. また、陰陽(インヨウ)と虚実も混同され勘違いされています。陰証(インショウ)には虚証も実証も存在し、陽証(ヨウショウ)にも虚証と実証が存在します。陰陽と虚実は、別々の物差しになります。
  6. 漢方医学において病状を判断する時、虚実は非常に重要な診断項目となります。

東洋医学の病理論

  • 東洋医学は、対処療法とは異なり原因療法(根治療法)になります。
  • 東洋医学は、症状を抑えるだけではありません。体質改善力があります。
  • 東洋医学には、標治方(お病気の表面的原因)と本治方(大本の体質的原因)に対する治療法があります。理想は、標治方と本治方を同時に改善する「標本治療方」です。
  • 東洋医学には独自の病理論「七情の内因無ければ、六淫の外邪犯さず」があります。
  • 漢方薬と食養生・生活養生で「内因」と「外邪」を除くのが、東洋医学の治療です。西洋医学と異なる病理論を駆使するからこそ、西洋医学で根治出来ない病に対応出来ることが、まま有ります。

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