糖尿病

その他の病気

糖尿病は体質的、遺伝的傾向

糖尿病は体質的、遺伝的傾向が強いお病気です。原則として一生治ることはないと言われています。しかし漢方治療をすると尿糖や血糖値、ヘモグロビンA1cが正常に戻り自覚症状も消失する方も多いです。

糖尿病が恐いのではなく、合併症、余病が恐いのです。漢方薬で合併症を防ぎます。

インシュリンの働き

糖尿病は、血液中の血糖のグルコースが高い状態の高血糖が続く病態です。また高血糖が尿まで溢れてくるため糖尿病と言われるようになりました。

  1. インシュリンは、1日の中で朝方にすい臓のランゲルハンス島で造られます。
  2. 食事などで血液中に糖分が増えると膵臓からインシュリンが分泌されます。
  3. インシュリンは、レセプターを刺激し、血液中の糖分を筋肉中のTCAサイクルにてエネルギーとして燃焼消費します。
  4. それにより血液中の糖分は一定に保たれています。

グルカゴン

血液中の高血糖にてインシュリンの分泌が促進されると、グルカゴンが抑制されます。グルカゴンは脂肪分解酵素のリパーゼを動かし、体脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解しエネルギーとして消費する異化ホルモンです。

炭水化物を摂り過ぎるインシュリンが分泌され、逆に脂肪燃焼のグルカゴンが阻害されます。糖尿病が悪化する肥満体質になります。

グリコヘモグロビンA1c

ヘモグロビンと糖が結合しグリコヘモグロビンA1cが出来ます。私達が食事をすると食べた物の炭水化物や糖分は吸収され血液中に入ります。その結果、血糖値が上昇します。

ヘモグロビンA1cは、1日の間に食事や飲み物などで変動する血糖数値より、割合に平均的な状態を捉えますので高血糖の状態が分り糖尿病の状態が分かりやすいです。

1型糖尿病、インシュリン依存型

小児期や若年性で発病する先天性の糖尿病です。遺伝的な家系的です。

家族や親戚の中に糖尿病の人がいる事が多いです。インシュリンの自己産生不足のため、インシュリンを補わなければなりません。

2型糖尿病、非インシュリン依存型

中高年で発病、食事や生活、妊娠後等の後天性糖尿病です。

インシュリンが出ていても十分に筋肉や肝臓で働かず、肥満や運動不足等により血糖値が下がらなくなります。生活習慣病の1つと考えらえます。しかし高血糖の遺伝的要素も否定はできません。

糖尿病の症状と合併症、余病

血中のブドウ糖量が増加すると、尿にも糖が出始めます。糖尿病は、口渇、疲労感、性欲減退、外陰部掻痒、化膿、多尿、頻尿、白内障等の症状を伴います。

糖尿病で最も問題となるのが合併症です。ヘモグロビンA1cにて血液はドロドロになり血流が悪化し血管障害を引き起こします。

血管障害による合併症

血管障害にて起きる合併症は主に2つに分かれます。

太い血管が障害

糖尿病にて動脈硬化が進みます。太い血管が障害されると脳卒中や心筋梗塞などを合併症として起こします。

細い血管が障害

糖尿病にて血流が悪くなり、細い血管が障害を受けます。目の糖尿病性網膜症、腎臓の糖尿性腎症、神経の糖尿病性神経障害です。

いづれにしても高血圧や脂肪太りがあると進行が早くなります。食事や生活習慣を変える必要があります。喫煙は血管障害には禁物です。以下の合併症では日常生活に与える影響が大きく問題も多いです。

糖尿病性網膜症

糖尿病で侵され易い毛細血管が非常に多く集まっているのが、目の網膜です。ヘモグロビンA1cが6.5を超えると糖尿性網膜症の発病率が徐々に上がりだします。網膜から出血し最悪の場合は失明します。西洋医学ではレーザーで焼き凝固させます。

東洋医学では、糖尿病性網膜症の治療は得意な分野です。肝経の漢方治療をしていると、以後は網膜からの出血が無くなる人が多いです。

糖尿病性腎症

目の網膜と同じように毛細血管が集まる場所が腎臓です。

腎臓の糸球体が障害されると、糖尿病性腎症となります。進行すると最終的には透析が必要となります。自由な旅行や生活にも制限が出ます。

糖尿病性神経障害

足の裏を中心とした痺れや知覚神経障害が生じます。知覚麻痺があると少しの傷等に気付かない場合も多いです。その傷から細菌感染すると、免疫力が落ちているため糖尿病性壊疽を引き起こすことがあります。

  1. 足先に傷が出来ても知覚麻痺にて気付かない事があります。
  2. そこが化膿しても気づきません。
  3. 糖尿病による血流障害のため傷が治りにくくなります。
  4. また免疫力が落ちているため化膿は進行していきます。
  5. そして足先などが部分的に壊死をします。
  6. 更に進行し骨まで犯されると最悪では切断しないといけません。

以前に演歌歌手の方が糖尿病性壊疽にて足を切断されたニュースがありました。日頃より、手足の末端に傷や怪我等が無いか、定期的に自己チェックが必要です。

糖尿病の漢方治療

漢方では糖尿病のことを消渇の病と言います。比較的初期の場合、口渇等の症状がある時期なら漢方治療で短期で改善する人が圧倒的に多いです。口渇のある初期には白虎湯などの石膏剤を使用します。

ある程度進行した場合は、血糖値、ヘモグロビンA1cはなかなか下がりませんが、症状が改善する人は多いです。特に網膜症の手術を繰り返ししている人でも、手術をしなくて良くなる人も多いです。中期には柴胡剤加乾地黄、八味丸、更に進行すると四君子湯加澤蘭などの漢方薬を使用します。

東洋医学では血管障害を防ぐ漢方薬が多種類あります。血管障害を防ぎ合併症を最小限に抑えれば、糖尿病は恐くありません。

糖尿病が恐いのではなく、合併症、余病が恐いのです。