病の性質と虚実の3つの診断について
2019.10.16
東洋医学の概念
漢方と寒熱
- 東洋医学で言う熱は、西洋医学で言う熱ではありません。たとえ40度の高熱があっても患者さんが寒いと感じれば漢方医学の寒に当たります。
- 体温の上昇が熱ではありません。逆に平熱や体温が低下している時でも口渇や火照りを感じるとそれは熱となります。
- 寒熱にも虚実があります。例えば、四逆散証の手足の冷えや桂枝茯苓丸証の足の冷えは、実証の冷えです。
- 太陰病位の特徴でもある小建中湯証の手足の火照りは虚熱になります。日中、長く歩いた夜など、疲れて足が火照るのは虚熱になります。
- また通常は、生体全体の寒熱、虚実と局部的な寒熱、虚実が混在します。生体全体を舌診等で判断しながら局部の治療を行っていきます。
- 寒熱は三陰三陽と相互に密接な関係があり、また三陰三陽の病位を判断する大きな目安ともなります。
漢方と燥湿
- 燥湿は水毒との関係が大きいです。しかし、血毒とも関係します。
- 燥は乾燥した状態。湿は湿った潤の状態のことです。
- 例えば、年配者の皮膚の乾燥から起こる老人性掻痒症は、漢方では燥となります。小児のアトピー性皮膚炎等では湿が多くなります。
- 気管支では、若年者に多い小青竜湯証の咳は湿、年配者に多い麦門冬湯証の咳は燥となります。
- 血液も粘っこく血流が悪い時は燥となります。例えば、糖尿病で血糖値が上昇し、糖により血液が濃くなり、血液粘度が上がった時、白虎加人参湯証などは燥となります。
- 燥湿は、陰陽、虚実、寒熱とは別に漢方治療方針を決める重要な要素となります。
- 発汗をして皮膚がジメジメしているから湿とは限りません。体表が湿で、発汗する事により体内の水分が減少し体内の裏は燥に成っている事もあります。そのため燥湿では、漢方での局部的診方の表裏の概念が重要となります。
漢方と虚実
- 一般に実証は体格がよく筋肉の発達した人。虚証は痩せて筋肉の脆弱な人と言われます。これは間違った漢方の捉え方です。
- 体格の良い人には実証が表れやすく、脆弱な人には虚証が表れやすい傾向にあるだけで、根本的に虚実の判断は異なります。
- 実証とは病邪の実であり、虚証とは正気の虚のことです。体格や筋肉の強さなどではありません。
- 病邪は、病の強さ、病の進行力。正気は、身体の防衛力、免疫力を表します。病邪と正気の戦いの状態を虚実と言う物差しで診ていきます。
- また、陰陽と虚実も混同され勘違いされています。陰証には虚証も実証も存在し、陽証にも虚証と実証が存在します。陰陽と虚実は、別々の物差しになります。
- 漢方医学において病状を判断する時、虚実は非常に重要な診断項目となります。
東洋医学の病理論
- 東洋医学は、対処療法とは異なり原因療法の根治療法になります。
- 東洋医学は、症状を抑えるだけではありません。体質改善力があります。
- 東洋医学には独自の病理論で七情の内因無ければ、六淫の外邪犯さずがあります。
- 漢方薬と食養生、生活養生で内因と外邪を除くのが、東洋医学の治療です。西洋医学と異なる病理論を駆使するからこそ、西洋医学で根治出来ない病に対応出来ることが、まま有ります。
漢方とは