漢方とは

漢方情報をお届けします

東洋医学の特徴、原料生薬、食養生、漢方薬まで詳しくご紹介いたします。

漢方は7世紀以降日本へ伝わった東洋医学です。漢の時代に書かれた傷寒論の処方を中心に日本で独自に発達した医学です。漢の方で漢方と呼ばれます。

東洋医学は中国では中医学、朝鮮半島では韓方と呼ばれます。

古典に基づく漢方

古典に基づく伝統医学の治療を行う事が大事です。高品質の原料の生薬に更に様々な下拵えの俢治を行い、漢方薬を製造していくことが大事です。

漢方の特徴

東洋医学

漢方は、症状を抑えるだけではありません。体質改善力があります。

  • 対処療法とは異なり、根本治療法である原因療法になります。
  • 漢方には、お病気の表面的原因に対する標治法と、おおもとの体質的原因に対する本治法の2種の治療法があります。理想は標治部と本治部を同時に改善する標本治療法です。
  • 東洋医学の診察は、師匠からお教えいただく技です。気毒、血毒、水毒の病因。燥湿、虚実、三陰三陽、寒熱の病性。収散、升降の病向等を判断します。
  • 風邪や皮膚病等は、望診だけでも鑑別できる場合が少なくありません。

漢方薬の原料

  • 薬草である漢方は、自然食材と同じです。生産地や種で味も香りも色も異なります。
  • 当たり前のことですが効果も異なります。伝統医学では、原料である生薬の見立てから始めます。
  • 原料の生薬は、目で五色の色を、鼻で五気の香りを、舌で五味の味を鑑別します。代々師匠から弟子へ受け継がれた技で選別します。

例えば麻黄と言う漢方生薬があります。有名な葛根湯の構成薬味でもあります。青臭い麻黄は心臓負担が大きいと言われます。数ヶ月茶色く変色するまで寝かせます。

神経痛や骨疾患に使われたり、防已黄耆湯にも使われる蒼朮と言う生薬があります。一般的に木立蒼朮が良いと言われています。木立蒼朮は表面に精油成分が結晶化します。一見するとカビが生えたみたいに見えます。しかし余りにも精油が多すぎると蒼朮自体が黒っぽい色になります。また発疹の副作用も出やすいです。

すべての生薬に鑑別が必要です。特に甘草、茯苓、黄連、山梔子、薏苡仁、黄芩、葛根、菊花、桂皮、厚朴、紅花、柴胡、大黄、他などの漢方薬は効果も大幅に異なってきます。

漢方と西洋医学

東洋医学は非常に多くの疾患に対応しています。西洋医学の得意な分野、漢方の得意な分野。一長一短があります。伝統医学の適応となる、或いは得意とする病状を、病気の原因、症状、治療法まで幅広くご紹介します。お病気で悩まれる人々の希望になれれば幸いです。

身体の不調を根本治療

1人1人お顔が異なるように体質は異なります。その場しのぎでない根本治療。漢方だからできる事があります。伝統医学の力を信じて。

体質は、みんな一緒でしょうか

  1. 男性と女性でも異なります。一般に、女性は血虚と瘀血体質の両極端になりやすいです。
  2. 身長、体重が異なります。痩せていても筋肉質の人やガッチリ型の人は実証となりやすく、筋肉の弱い、柔らかい人は虚証となりやすいです。
  3. 肌の色が違います。東洋医学では肌の色の違いでも漢方薬が異なります。一般に色黒の人には解毒証体質が多くなります。
  4. 体温も顔色も尿の色も異なります。体温が高い、赤ら顔、尿の色が濃い人は熱証です。逆に体温が低い、顔色が悪い、尿色が薄い人は寒証になります。
  5. 口の乾きと尿量。口が渇き、水分摂取が多い人は熱証です。口は渇いても水分摂取量が少ない、冷たい飲み物が苦手な人、尿量が多い人は寒証となります。

ここに挙げたのは少しの例ですが、漢方医学では体質の見分け方に、多くの体質と病状である証の見分けるポイントがあります。

体質と漢方薬治療

漢方薬は既成品ではなくオーダーメイドです。

体質が異なれば、同じ病気でも漢方薬は異なります

  1. 同じ風邪でも体質により漢方薬は異なります。
  2. 花粉症でも、くしゃみ中心なのか、鼻水中心なのか。更に症状の激しさ、舌の歯痕の違いでも漢方薬が異なってきます。
  3. 肝炎でも肝臓の繊維化が進むと、B型肝炎とC型肝炎では漢方薬が異なってきます。
  4. 不安神経症やパニック障害等も、一人一人性格が異なるように漢方薬が異なります。東洋医学では精神病状により五志の憂を鑑別し治療していきます。一人一人の精神病状を五志と七情に分類し治療を行なっていきます。
  5. 例えば、七情の恐、驚が強いとパニック障害を起こします。五志の思が強いとうつ病が出てきます。また悲、驚、恐が強いと過呼吸等の症状が出てきます。ヒステリーは悲、憂の反応が強く出る場合が多いです。また怒が強いとパーキンソン病などの振るえ、振戦が出てきます。これらを全て五志の憂と捉えます。
  6. 東洋医学上の精神神経状態である五志の憂は、漢方治療の判断に使用します。五志とは、怒、喜、思、悲、恐の5種の精神状態。七情とは、怒、喜、思、悲、憂、恐、驚の7種です。
  7. 全てのお病気で、一人一人漢方薬が異なります。それが東洋医学です。

漢方医学は基本的に西洋医学とは異なります

  1. 例えば風邪で発熱した場合、西洋医学では解熱剤を使います。東洋医学では逆に身体を温め、体温を上げる葛根湯や麻黄湯等の薬方を使います。
  2. 人間の身体には正常化作用があります。漢方薬で一時的に熱を上げると、体温調節中枢が働き自然に発汗し解熱します。但し、どこまで熱を上げるかは患者さん一人一人の病状と体質で異なります。
  3. その為、風邪の発熱一つ取っても数多くの薬方が準備されています。
有名な葛根湯は風邪だけでなく
  1. 葛根湯は、頭痛、肩こり、蓄膿症、結膜炎、中耳炎、おでき、蕁麻疹、下痢などにも汎用される薬方です。
  2. 漢方は病名では使いません。症状体質を考え東洋医学独特の診断に基づいて使用されます。

漢方薬の正常化作用

  1. 多くの漢方には正常化作用があります。
  2. 例えば、糖尿病に汎用する六君子湯は、糖尿病の人が服用すると血糖値が下がります。同じ六君子湯を胃腸虚弱の人に使うと、血糖値は下がらず胃腸が強くなります。
  3. また、黄連解毒湯と言う薬方を高血圧症の人に使うと血圧が下がります。同じ黄連解毒湯を肝炎の人に使うと肝機能は改善しますが、血圧は下がりません。漢方は、東洋医学理論に基づいて使用すると生体正常化作用があります。
  4. では漢方薬で副作用は起こらないのでしょうか。以前に小柴胡湯で間質性肺炎の副作用が多発したことがあります。新聞やテレビ等でも大きく長期間に取り上げられましたので覚えていらっしゃる方も多いと思います。実際には間質性肺炎の副作用が生じたのは、ある1社の製造メーカの製品だけでした。
  5. 原料生薬の違いにより、大きく作用が異なります。防已という生薬で心臓負担の副作用が報告された事もあります。原因は、生薬として品質の悪い防已でした。
  6. しかし、アレルギーによる過敏症は生薬でも注意しなければいけません。
  7. 太陽堂漢薬局は東洋医学に40年近く携わってきました。患者さんへの投薬数は延べ数万人になります。一般的に証の見立てが良く生薬原料の質が良ければ、副作用が出ることは殆ど無いと思われます。

漢方医学で体質改善

  1. 漢方治療は、体質改善すると言われています。親から頂いた遺伝子DNAは変えることは出来ません。しかし、食事や生活環境等で体質は変わっていきます。
  2. 漢方薬で気管支喘息を治すと再発することは殆どありません。坐骨神経痛の漢方治療でも再発することは殆どありません。
  3. 同じ親から生まれても、喘息の出る子と出ない子がいます。同じ遺伝子DNAです。東洋医学の体質改善で遺伝子を変えることは出来ません。しかし、東洋医学で喘息の出ない体質に変えることは出来ます。
  4. 東洋医学での体質改善後は、元の体質に戻らないように、運動、休息、食事、精神面等の養生を守り体質の維持に努めます。

漢方とは

目次
漢方とは
1300年以上続く日本独自の医学。誰でも分る要点
病の性質と虚実の3つの診断について
4種の診察法
医療気功。糸練功、5つの技術を知る
食養生、大事な2点
原料の生薬、6通りの下ごしらえ