卵管は
狭窄の生じる卵管は、子宮の左右に1対あります。長さは10から15センチで一番狭いところの直径は1ミリ以下という細い管です。
卵管は子宮の付け根から両側に少し太くなっていきます。その先端はラッパのような形をして開いています。ここを卵管采といい卵巣から排卵した卵子を受け取る役目を持っています。卵管内側にある線毛の動きと、ぜん動運動によって受精卵は子宮に運ばれます。
この卵管の通過障害の一つとして、卵管狭窄が原因となります。
卵管狭窄
卵管内部は細かいひだや繊毛がびっしりと生えていて、受精卵に栄養分を補給しながら、子宮へと運びます。
炎症があって、その機能がうまく働かない場合は妊娠できません。卵管狭窄による不妊症は多く、女性側の原因の30パーセントにものぼると言われています。
炎症を起こすのは淋菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌などで、抗生剤によって炎症は治まりますが、その後に癒着が起きると卵管狭窄などの後遺症を残してしまうのです。
先端の卵管采では卵巣から飛び出した卵子をキャッチし、取り込む働きがあります。ここに癒着などがあると、卵子をうまく捉えることができず妊娠できません。これをピックアップ障害といいます。
また、両方が卵管閉塞している場合には体外受精の適応となります。
原因と治療
卵管狭窄の主な原因です。
クラミジア
性感染症の1つです。感染すると子宮頚管、子宮内膜、卵管へと広がり、管の細い部分では卵管狭窄となったり、癒着して詰まり卵管閉塞の原因になったりします。抗生物質を服用することで治ります。必ずパートナーも一緒に治療する必要があります。
子宮内膜症
子宮内膜の細胞が、子宮内以外の部分で内膜を増殖させ排出剥離することを子宮内膜症といいます。内膜の細胞が増殖と剥離を繰り返すことで内部を癒着させたり、血液が溜まっていきます。進行するとチョコレート嚢腫になります。
これが卵管狭窄の原因となります。治療法としてエストロゲンの分泌を抑えるホルモン剤を服用または注射して、生理とともに活性化する内膜の活動を抑えます。漢方薬で体質改善が出来る疾患でもあり効果も高いです。
水腫
卵管采が閉塞し、そこに分泌物などによって水腫ができることがあります。治療または対応としては、閉塞した卵管采を開き人工的に作る手術か体外受精があります。
卵管狭窄の検査と治療
卵管は精子や卵子または受精卵の通り道となる重要な部分になります。非常に細い管で、炎症などの影響で狭くなってしまったり、詰まってしまうこともあります。
造影検査があります。卵管狭窄などが確認できたら通気検査や通水検査で内部を調べます。これで通ることもあり、検査後に妊娠される方もいらっしゃいます。最近では子宮から卵管鏡という内視鏡をを入れる治療法もあります。
子宮卵管造影
子宮の状態や卵管の状態を調べます。子宮からヨードの造影剤を注入しX線撮影を行います。造影剤が入ったところは、X線によって白く浮かび上がり、逆に入らなかった所は黒く映ります。これにより卵管狭窄の詰まりや細くなっている場所、子宮の奇形などがハッキリとわかります。
ヨードを注入し、癒着が少しの場合は開通する場合があります。しかし、まれにヨードによるアレルギー反応が起きることがあります。
通気、通水検査で卵管狭窄を調べる
卵管狭窄の通り具合を調べます。
通気検査
二酸化炭素を一定の圧力をかけて注入します。処置後に肩に痛みを感じる場合があるようですが、これは卵管を抜けた二酸化炭素が肩への神経を圧迫するためで心配いりません。痛みは1、2日で取れます。
通水検査
食塩水を一定の圧力をかけて注入します。軽い癒着の場合は、この処置を数回受けると改善することがあります。治療法としても行われます。癒着をはがす時に少し痛むことがあるようです。
人工授精、体外受精とは
卵管狭窄で、どうしても妊娠しない場合は、体外受精を検討します。ここでは人工授精と体外受精について説明します。
人工授精AIH
精子の数が少ない場合や運動率が悪い場合、頚管粘液等に問題がある場合などに用いられます。
基礎体温や超音波検査の結果などから排卵の時期を予測し、その時期に合わせて採取した精子をその前日または当日に子宮内に人工的に入れる方法のことです。
人工授精の副作用
人工授精による妊娠率はあまり高くなく、10パーセント程度といわれています。そして、回数を重ねるごとに妊娠率は低下し、子宮操作によって卵管水腫や抗精子抗体が起きる可能性が出てくると言われています。
体外受精IVF
男性不妊症が原因の場合、女性の年齢が高く良質の卵を得られない場合、早く妊娠を望む方に行われています。体外受精、胚移植のステップは大きく分けて以下の3つに分かれます。
採卵
成熟した卵子が多い方が妊娠率が高いため、多数の卵胞の発育を促します、排卵誘発。
女性は全身麻酔または局所麻酔をして、膣から長い針で卵巣内の卵胞液を吸い取ります。男性は病院にてマスタベションで精液を採取します。
培精
体外受精では、質の良い成熟卵に洗浄、濃縮した精子を混ぜます。成熟卵1個に対し約5万以上の精子を同じ容器にいれ受精させます。受精卵は8分割になるまで培養されます。
胚移植
分割した良質な受精卵を選び子宮に戻します。移植方法にはTCET法、経頚管胚移植法とTMET法、経筋層胚移植法があります。移植後は、3時間ほど病院で安静にし、その後は帰宅出来るようです。
漢方にて改善した卵管狭窄
卵管狭窄は、漢方治療が有効の例が多いです。
太陽堂漢薬局では北京中医薬大学で開催された国際学会にて卵管狭窄に対する六君子湯の効果を発表しています。また国内研究会でも卵管閉塞に対する六君子湯と駆瘀血剤の効果を発表しています。お悩みの方の参考になれば幸いです。
太陽堂漢薬局には漢方薬による改善例が数多くあります。また漢方薬で卵管狭窄を治療すると再発しない場合が多いです。ぜひ太陽堂漢薬局の漢方をお試しください。
不妊症の漢方治療
目次 |
不妊症 |
不妊症の検査とタイミング法と周期 |
漢方の血海。不妊症との関係 |
不育症 |
卵管狭窄 |
妊娠 |
高プロラクチン血症 |
男性不妊 |
二人目不妊 |