不妊症の検査とタイミング法と周期

不妊症

不妊症治療の西洋医学的な検査

ここでは西洋医学的な検査をご紹介します。参考になれば幸いです。

フーナーテスト

不妊症治療のため、精子が子宮内に入れるかどうかをチェックします。

抗精子抗体

不妊治療で増加傾向の抗精子抗体の有無をチェックします。
人の体が外部異物から身を守る時に働く機能を免疫と言います。外部から進入してきた精子を異物として攻撃してしまうのを抗精子抗体といいます。この抗体を持つ女性の体内では精子は生きられないか、生きていても弱まってしまう可能性があり重要です。

抗精子抗体の有無は、血液検査で分かります。もし抗体があったとしても、数値が低ければ自然妊娠も可能です。また数値が高くても、人工授精や体外受精で妊娠することができます。ただ数値はいつも一定ではありません。数値が低くなる時もありますから、定期的に検査を続けていくことが肝心です。
漢方治療で抗体の働きを下げることができます。漢方は抗核抗体等の不妊治療も得意です。

ホルモン

採取した血液から調べます。
重要な排卵や生理に関係するホルモンは、生理周期によって大きく変動します。

生理周期の時期と不妊治療のホルモン検査

卵胞期

卵胞刺激ホルモンFSH、卵胞ホルモンE、黄体化ホルモンLH

排卵期

LH

黄体期

黄体ホルモンP、E

負荷試験

ホルモン検査で異常があった場合、他のホルモンを人工的に投与し不妊治療の爲に変化をみます。

LHRHテスト、黄体化ホルモン放出ホルモン。FSHや、LHなど、排卵機能を調べます。TRHテスト、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン。乳汁分泌ホルモン、プロラクチンPRLや甲状腺ホルモンを調べます。

月経培養

不妊治療の原因を探るために、結核菌の有無をチェックします。

超音波エコー

子宮や卵巣、腹腔などの異常の有無を調べます。下腹部や膣内から超音波を当て、跳ね返る反射波から子宮や卵巣の状態、卵胞の大きさを細かく調べます。

お腹の上から超音波を当てる経腹超音波断層法と、膣内から当てる経膣超音波断層法がありますが、通常は経腹超音波断層で行われます。

子宮筋腫などを見つけたり、生理周期とともに変化する子宮内膜の状態を調べることができます。タイミング治療の際の排卵日を特定します。卵胞の成熟度を調べ、不妊治療のための排卵日を知ることができます。

頚管粘液

頚管粘液が正常に分泌されているかどうか、不妊治療上のチェックをします。タイミング治療の際に、排卵日を推測するのに役立てます。

子宮頚管は普段、子宮内部に雑菌が入り込むのを防ぐ役割を担っています。しかし排卵期だけは、精子が入りやすくなるように、粘液をたくさん出し進入を促します。これが頚管粘液で、排卵期には量が増えるだけでなく、粘りが強く伸ばすと糸を引くような状態に変化します。

頚管粘液を針のない注射器で吸い取り、乾燥させてから顕微鏡で観察します。排卵が近い時の粘液は、顕微鏡で見るとまるでシダの葉のように見えるため、シダ状結晶と呼ばれ、排卵日が近い証拠となります。排卵の細かい日時までは分りにくいため、超音波や尿検査など他を併用して行われています。

子宮鏡

子宮内の病巣、子宮筋腫や奇形、癒着などを不妊治療の爲に調べます。

子宮内に子宮鏡を入れ、内部の様子をモニタ画面で観察します。子宮ポリープ、粘膜下子宮筋腫、子宮奇形、炎症や癒着の有無が不妊治療上で問題になるか分ります。小さなポリープなら、この時に取り除くことができます。

腹腔鏡

子宮や卵管、卵巣、およびその周辺、卵管閉塞、卵管と卵巣周囲の癒着、子宮内膜症、多嚢胞卵巣症候群、チョコレート嚢腫、卵管嚢腫などを調べます。

お臍の下を1、2センチ切開しファイバースコープを入れ中を調べます。全身麻酔で行うため入院が必要です。腹腔から卵管、卵巣まで広範囲にわたって正確に体を調べることができます。不妊治療での原因が分りにくい場合に有効です。

排卵日と不妊症

排卵日と不妊症の原因を、基礎体温表から探ります。基礎体温表は、排卵日や黄体機能などを知る上で最も簡単でわかりやすい方法です。

排卵日に排卵を終えた卵胞は、黄体化しプロゲステロン、黄体ホルモンが分泌されるようになります。そして、プロゲステロンPの増加に伴い体温が上昇します。

基礎体温表からわかること

基礎体温表

  • 低温期と高温期があまり変わらない、ハッキリと二層に分かれていない場合。無排卵月経の疑いがあります。
  • 低温期が短く、高温期が長い場合。卵子が未成熟の可能性があります。
  • 低温期が長く、高温期が短い12日未満の場合。黄体機能不全の可能性があります。

排卵日の特定は超音波検査エコーにて

超音波検査にて卵胞の成熟度を調べることが出来ます。排卵前の卵胞は徐々に大きく成長します。このサイズ直径を超音波検査で測定すると、かなり的確に排卵日を予測することができます。

また、卵子が成熟しても排卵されないこともあります、黄体化未破裂卵胞。この状態でも排卵日を過ぎると基礎体温は上がるため、排卵が起きたように見えます。そのため超音波検査で卵胞の状態を観察する事も大事です。

タイミング法

基礎体温や、排卵前の尿中または血中のエストロゲンや黄体化ホルモンを測ることで予想し、排卵日前後に夫婦生活を持ちます。

排卵日を予想することが大切です。自分で基礎体温や検査薬などで、タイミングを合わせるばかりでなく、粘液おりものの状態や卵胞の大きさ、血中のホルモン値、エストロゲン、プロゲステロン値などを総合的に病院で診てもらうことも必要な場合があります。

タイミング法の条件

フーナーテスト性交後試験の結果が陽性の場合、精子は卵管まで辿り着くことができると考えられます。このように卵、精子、卵管といった原因が見当たらない時は、タイミング法から試していきます。

タイミング法で妊娠しなかった場合

タイミング法、排卵日の前日前後、6回で妊娠しなかった場合は、次の治療として人工授精に進む場合と体外受精へ進む場合があります。

不妊治療の漢方薬

不妊治療のために、非常に多くの漢方薬が用意されています。以下に漢方薬の適応を一部ご紹介します。

抗精子抗体や抗核抗体。高プロラクチン血症。卵管閉塞、卵管狭窄。二人目不妊。ホルモン、卵巣の活性化、正常化。流産癖等の治療に対する漢方薬が多数あります。

排卵日と生理の状態、それに合う漢方薬

基礎体温と排卵日、生理の状態によって漢方薬が異なってきます。

  • 生理期間の繰り上がりの場合。多くは実証、熱証の漢方薬が適応します。
  • 生理が遅れる場合。多くは虚証、力不足又は実証でオーバーヒートの漢方薬が適応します。
  • 生理期前後の精神的不安定。多くは情緒不安定、五志の憂、脾胃の虚証による貧血の漢方薬が適応します。
  • 生理期間の長い場合。多くは実証の漢方薬が適応します。
  • 生理期間の短い場合。多くは虚証の漢方薬が適応します。
  • 経血量が多く濃く稠厚な生理。多くは実証、熱証の漢方薬が適応します。
  • 経血量が少なく淡い生理。多くは虚証、寒証の漢方薬が適応します。
  • 経血が暗褐色で血塊をなす場合。多くは瘀血証の漢方薬が適応します。