五臓六腑

漢方理論

漢方医学では五臓六腑。漢方研究会で発表

漢方太陽堂が発表報告した論文。
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五臓六腑

2013年11月伝統漢方研究会第10回全国大会。日本、セルリアンタワー東急ホテル

満木伸行。福岡県、太陽堂漢薬局
福岡県福岡市、日本

はじめに

漢方、糸練功、何もかもが初めての事ばかりで何について調べようか迷いましたが、何をしたいか、何を治したいかを考えると、人の事、人体の事もまともに分かっていない事から五臓六腑の事を調べようと思った。

五臓六腑とは

漢方医学では五臓六腑という内臓の分類概念を、人体の生理的機能単位の分類方法として用いている。五臓六腑の概念は本来は解剖学的な内臓の認識から発展したものなのであろうが、単に解剖学的な内臓の概念の範疇を越えて、人体の生理的機能や精神活動まで、それぞれの臓腑の機能による働きとして捉え、説明がなされている。
そのため、漢方医学で述べられる五臓六腑の機能は単なる解剖学的な内臓の概念や西洋医学的な内臓の生理機能の概念とは著しく異ったものとなっている。

病気の考え

五臓六腑の五臓は心、肺、脾、肝、腎、心包は内臓の実質臓器を指し、六腑は小腸、大腸、胃、胆、膀胱、三焦は管腔臓器を指すとされている。
人体の基本的な構成要素である気、火、津液、血が、五臓六腑において活動することによって正常な生命活動が営まれる。気、火、津液、血の働きが阻害され、陰陽のバランスが崩れた状態が病気である。

それぞれの機能と症状

膀胱、旁光は行き交う松明の火の意。進入してくる病邪を、この光で見つけ、追い払う防衛作用。人体の一番外側を走る経路。最初の防衛反応である。
症状は発熱、悪寒、頭痛、項背腰痛、鼻水、突発性浮腫、感冒性下痢、急性の皮膚症状

肺、市は物々交換の囲み、身体の内と外との交換。呼吸を、皮膚の囲みの中で潤滑に行わせしめる経路。膀胱と同じく病邪の体内進入に対する防衛と排出。
症状は頭痛、発熱、呼吸器症状、皮膚症状、その他の表証があれば膀胱

心は心臓の象形文字。循環作用というより、情緒の作用。裏証の最初の段階、情緒的な症状が主。肉体的症状はあまり見られない。
症状は軽い不眠、イライラ、火照り、のぼせ

心包とは心下にある袋で、心から胃に作用される包。気虚より血、水が動く最初の段階
症状は嘔気、悪心、食欲不振。神経性胃炎は心包。ストレスだけなら心。

胆は膽。勇気、度胸の意。胆力を振り絞り克服出来るかどうかと言うところ。病邪が意だけでなく、五管や全身に影響を与える様になる段階。
症状は心窩部上部側方症状を中心とする。緊張による便秘、下痢、神経性頻尿、緊張性頭痛、偏頭痛、眼精疲労、耳鳴り、皮膚瘙痒、口苦、胸脇苦満、腋下痛

胃は現在の腸の事。消化機能全般が犯される段階。気力、胆力だけでは治せない段階。
症状は胃、腹痛、嘔吐、便秘、下痢等の心窩部下部症状。胃の走行と関連する足背部痛、膝関節痛、顔面痛

小腸は小は雨だれ、液体の意。易は機能の意。液体の機能。小腸は人体の内側にあり、病邪が深部に入る時、必ず通る。血液、淋巴液の機能による生体防衛の段階。
症状は心下部背面症状。肘、方、後頭部、頬、多涙、中耳炎、軽い尿症状、残尿感、排尿痛、尿道異常

三焦は焦はこげる、あぶるの意。炎症、化膿の段階。
症状は皮膚炎、目やに、耳垂れ、気管支炎、肘、肩、頭部の痛み、便秘

大腸は大は全身、易は機能。全身の機能バランスの乱れた状態
症状は排泄障害、便秘、下痢の交互、脱肛、排尿異常、多汗、出血。顔面症状、嗅覚、難聴、嚥下症状、三叉神経痛。四支症状、前腕、上腕痛、こわばり、倦怠感

脾は卑はとっくり。大事な酒、栄養源をしまっておく器。栄養障害、異常肥満、異常羸痩。全身栄養調和、胃腸、膵臓機能、消化吸収機能
症状は意識弛緩、嗜眠、肥痩、倦怠感、浮腫、寝汗、帯下、遺尿、呼吸促迫、常習性疾患

腎は臣は奴隷。臤は奴隷の手。王を守る親衛部隊の意。生命力、勢力が著しく低下した段階。副腎の機能障害。内分泌、外分泌、心機能、腎機能、泌尿生殖器、血圧
症状は悪性高血圧、低血圧、貧血、浮腫、脱汗、尿失禁、血尿、水様便、常習性疾患

肝は干は盾の意。王自ら盾を持って戦う最後の砦。末期の血液症状、悪疫質、長期起床不能、内外分泌、心機能、肝機能、造血機能、生殖機能、止血、解毒、自己免疫
症状は起床不能、意識不明、運動不随、無月経、漏血、両便失禁、皮膚疾患、膠原病、ベーチェット

おわりに

何も知らない世界に入り、何ヶ月か過ぎました。簡単に五臓六腑と言っていましたがそれぞれ役割、そして症状の度合いのバロメーターにもなっている事などを知る機会が出来ました。
これから勉強していく中での一つに過ぎませんが、その一つ一つが繋がり人を助ける事に繋がる、笑顔に繋がると信じ、これからも日々勉強です。

参考資料。
木下順一朗監修持ち出し厳禁超丸秘ノート
玉城博任著。証と方剤学体系、P12。16、燎原、東京、1984