竹葉、淡竹葉、丁香、津蟹、天麻、天南星

漢方生薬

日本漢方の原料である漢方生薬と有名な民間薬をご紹介します。初めての方から専門家まで参考になるよう、気味、帰経、効能、適応とする体質と処方例、民間療法をご紹介。

竹葉、淡竹葉

ハチクの葉で、マダケ、モウソウの葉をやむなく間に合わすことがあります。薄く手触りの柔らかいものが良いそうです。

気味、薬味薬性

味は甘淡、性は寒

帰経。東洋医学の臓腑経絡との関係

心、小腸

効能

呼吸器が、熱を持ち熱による苦情を楽にします。

適応とする体質と処方例

呼吸器流感や肺炎、気管支炎、麻疹、百日咳、気管支喘息などの大熱があって、そのあと余熱があり、呼吸困難、咳を生じて胸苦しくなっている方に用います。処方例。竹葉石膏湯

丁香

丁香、丁子

丁子とも言われ、インド諸島に採れるチョウジの花のつぼみの乾燥したものです。樹齢六年前後からの開花前のつぼみをとって、煙で50度以下で加熱して乾燥、または日に干して乾燥させて使用します。丁香の名は、その形状が釘のようで、その形の丁の字をとり、香りのきついところから香の字を得てなったものです。丁香はスマトラ、ジャワ、マダガスカル、西インド諸島に産します。オランダ、イギリスなどが植民地政策に丁香の栽培を行っていたからです。

気味、薬味薬性

味は辛、性は温

帰経。東洋医学の臓腑経絡との関係

肺、胃、脾、腎

効能

男女ともに効く強精剤として用います。胃の分泌が少なくて消化不良の状態の時、刺激を用いて胃酸の分泌を盛んにして胃を健やかにします。

適応とする体質と処方例

女性の血の道症、更年期障害、産前産後の神経症などに用います。処方例。女神散

津蟹

津蟹

日本から台湾にかけて生息するイワガニ科のモズクガニを用います。中国では近縁種のシナモズクガニを蟹として薬用にします。モズクガニは河口の泥地や磯辺に生息するカニで甲羅は5センチ位の四角形で体色は暗緑色をしており鋏みは大きく房状の毛が生えています。肉が多く食用にもされます。薬用としては、薬性を残す程度に黒焼きにしたものを用います。

効能

筋肉や骨の損傷、疥癬、火傷などに用います。排膿や強壮の働きがあります。

適応とする体質と処方例

  • 亜急性または慢性の諸種化膿性疾患の方に用います。
  • 体力が低下し、倦怠、疲労があり、瘻孔や潰瘍となり、排膿がとまらず、肉芽の形成が悪くなかなか治らない方に用います。
  • 痛みが止まらず、精神不安を伴う方に用いることもあります。処方例。伯州散

天麻

天麻

オニノヤガラの根茎を蒸して乾かしたものです。オニノヤガラは、春になると芽を出し1メートル位の高さになり、葉がなく竹の棒のようなずんべらぼうの茎で、茎は黄色で中空で節があり、夏になると茎の最上部に穂が生じ、黄赤色の花が開きます。遠くからはヤガラのように見えるのでオニノヤガラという名を得ました。

中国には川天麻と貴天麻とありますが、川天麻は天麻によく似た植物のものといわれ、天麻と同様に使っても良いですが、貴天麻は天麻と同じではなく、ジャガイモを蒸して乾燥したもので、これを中国の真の天麻と思って使ってはいけません。黄白色、半透明で、中身が充実し、堅いものが良品とされます。

気味、薬味薬性

味は甘、性は微温

帰経。東洋医学の臓腑経絡との関係

効能

胃や腎のアトニーで、体内で排除されずに残っている水分がある時、これが元で胃部に直接関係ないところに起こる不快感の一部として眩暈を起こしている方に用います。肝のアトニーでおこる小児の夜鳴き、癇の虫に良いです。有効成分のバニリルアルコールには、胆汁分泌促進や癲癇様発作の抑制の薬理作用があります。

適応とする体質と処方例

  • 眩暈、四肢麻痺、半身不随、言語障害、小児痙攣、引きつけなどに用いられます。
  • 普段胃腸の虚弱な人や胃下垂の人が、消化不良のため胃部に不良水分を絶えず残してゴボゴボと水音を出しているような時、外からの刺激や精神的ショックで中枢神経の乱れを起こして頭痛や眩暈、嘔吐を発するようになった時に使用します。処方例。半夏白朮天麻湯

天南星

天南星

サトイモ科の天南星の根茎を輪切りにして使用します。天南星は、これに属する仲間が非常に種類が多く分類も困難です。非常にエグイ味がします。

気味、薬味薬性

味は微辛、性は温

帰経。東洋医学の臓腑経絡との関係

肺、肝、脾

効能

効去痰の働きがあります。水毒からくる痛みを鎮める働きがあります。

適応とする体質と処方例

  • 天南星は、堕胎の働きがあるため妊婦には注意しないといけません。
  • 胃や腎が悪く水分が体内に残り、そこからくる関節の痛みや手足の疼痛、手足の痺れのある方に用います。処方例。清湿化痰湯