麻黄、麻子仁、木通、木香、益母草

漢方生薬

日本漢方の原料である漢方生薬と有名な民間薬をご紹介します。
初めての方から専門家まで参考になるよう、気味、帰経、効能、適応とする体質と処方例、民間療法をご紹介。

麻黄(マオウ)をご紹介

麻黄には色々なアルカロイドが含まれていて、渋いような麻痺させるような味があり、黄色なので麻黄と呼ばれるようになりました。

新鮮な麻黄は、青みを帯びた緑色なので、麻黄のことを青色の薬という意味で青竜と言います。

気味、薬味薬性

味は辛、微苦、性は温

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

肺、膀胱

効能

体力のある人に発汗剤として用います。

発汗剤は、発汗のみさせるのではなく、自然発汗の出過ぎるものには抑制し、出難いものには促進させる効果があります。

アレルギー反応の抑制作用があります。

適応とする体質と処方例

  • 麻黄を主剤にしている処方に小青竜湯があります。
  • 体力fのある人で、闘病反応が体表と排尿器に生じて、不快に感じる汗を出しているものに使用します。処方例:大青竜湯(ダイセイリュウトウ)
  • 体力のある人で、闘病反応が体表にあるものに使用します。処方例:麻黄湯(マオウトウ)

麻子仁(マシニン)をご紹介

生薬-麻子仁

麻の種子の中の仁です。

薬用には殻を去って実だけを用いることになっています。

煎じ薬に使用するには、麻子を乳鉢にて軽く擂り潰して実の仁を用いると良いようです。しかし乳鉢にて種を粉砕するのは、なかなか面倒なもので普通は荒割りします。

昔は仁を取る方法として、麻子を絹の袋に入れ、これを沸騰中に浸し冷えてから井戸の中へ吊り下げ、水に着けずに一夜放置します。これを取り出して乾燥させ、板か瓦の上でこすると実と殻とが分別されます。

気味、薬味薬性

味は甘、性は平

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

脾、胃、大腸

効能

衰えた腸を元気にさせ、腸本来のもっている大便を通じさす働きがあります。

適応とする体質と処方例

肺や心臓の虚弱な人が熱性病、急性病で闘病反応を起こし、胸部の肺、心に苦情を出すようになり、心臓では心気亢進を生じたり、きつい時には代償性期外収縮を起こしたり、房室完全ブロックを起こしたりするようになり、肺の臓では生理的水分の不足で肺、気管支が乾燥し、胸部が苦しい状態を示す方に用います。処方例:炙甘草湯(シャカンゾウトウ)

木通(モクツウ)をご紹介

生薬-木通

アケビの蔓の部を薬用にします。

普通は1~2㎝の厚さの輪切りにして使用し、切り口は菊の花のように放射線状の模様をなし、その内に無数の小穴があります。この穴が木部に通じているので木通という名になりました。

またアケビの実の中に黒紫色で光沢がある種子を含んでいますが、実が秋に熟して縦に割れて肉部と種子とを現すので開肉(アケミ)と言われていたものがアケビとなりました。

気味、薬味薬性

味は苦、性は寒

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

心、肺、小腸、膀胱

効能

血行を盛んにして、働きの鈍っている臓器、疲労の素や毒素の滞っている筋肉に血液を与えて、働き十分な臓器として、大小便を正しく排出させ痛みを無くします。

適応とする体質と処方例

膀胱炎などの排尿障害が見られるときに使用します。処方例:五淋散加減(ゴリンサンカゲン)

木香(モッコウ)をご紹介

生薬-木香

木香の主根を横切りにして乾かして薬用にしたものです。

木香は女性に合うことが多いです。

気味、薬味薬性

味は辛、性は温

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

脾、大腸

効能

整腸によって疼痛、下痢を止めます。

胃腸に力をつけながら、胃腸を刺激し自力で働かせるようにします。

適応とする体質と処方例

気剤であると同時に、女性ホルモンに働くと考えられます。

益母草(ヤクモソウ)をご紹介

生薬-益母草

メハジキの花期の全草を採取して日乾ししたものです。

漢方名の「益母」は、この薬を女性に服せしめれば血行よくし、妊婦の産前産後にこれを服用させれば、血の道の病にならずに安産できて、母親に利益を与える薬であると言われているところから益母という名になったようです。

気味、薬味薬性

味は辛、微苦、性は微寒

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

心、肝

効能

子宮出血に用います。

産後に胎盤が出ないときに用います。

適応とする体質と処方例

眩暈や耳なりがあり、産後の貧血や出血、食欲不振などのある方に用います。処方例:芎帰調血飲(キュウキチョウケツイン)