日本漢方の原料である漢方生薬と有名な民間薬をご紹介します。初めての方から専門家まで参考になるよう、気味、帰経、効能、適応とする体質と処方例、民間療法をご紹介。
茴香
茴香精油のよい香りが働き、血液経路等全身を回って刺激させる働きがあるため、回香のある草。すなわち回に草辺をつけ、ウイキョウとなりました。
気味、薬味薬性
味は辛、性は温
帰経。東洋医学の臓腑経絡との関係
肝、腎、脾、胃
効能
茴香の刺激で消化促進し利尿を促す。
適応とする体質と処方例
虚弱体質の人が神経不安定になり消化不良、低酸症になったり、逆にそれでは消化できないと身体が自然の本能フィードバックで過酸症になってしまった胃の消化促進をしてくれます。処方例。安中散
民間療法
- 健胃、駆風、去痰に内服
- 茴香を粉末として、1日量0.5から2グラムを数回服用。駆風とは腹にたまったガスを排出することです。
- スパイスでフェンネルと呼ばれています。茴香を引いて、魚や肉のソースの風味添えに。ロシアの漬物にも使用されています。
鬱金、宇金をご紹介
日本では江戸時代に渡来し、主に沖縄や九州南部で栽培されています。
似たもので姜黄ハルウコンがありますが、宇金に比べて黄色が薄く芳香も強いので容易に区別出来ます。
気味、薬味薬性
味は苦、性は涼
帰経。東洋医学の臓腑経絡との関係
心、肺、肝
効能
精油成分が肝細胞を刺激して胆汁の分泌と排出を促進します。食欲を増進させる力がありますが、適量を過ぎると胃がもたれ、多量すぎると肝臓の脂肪変性を起こします。憂鬱な気持ちやうっ血を取り除きます。鼻血や吐血などの出血を止めます。
適応とする体質と処方例
炎症性の皮膚炎に塗布します。処方例。中黄膏
民間療法
- 健胃、利胆。内服で1日に6から10グラムを、水400から600ミリリットルで2分の1になるまで煎じて服用。
- 鎮痛。内服で1回量3から5グラムを水400ミリリットルで2分の1に煎じて服用する。
- 食品原料に、カレー粉の原料や、食品の黄色着色料として使用。
烏薬
中国天台地方産の天台烏薬または、衝州産の衝州烏薬の根です。天台烏薬のしょう果は黒く熟すので、鳥を連想して烏薬というようになりました。中国の天台地方の烏薬が良いので天台烏薬の名を得ていますが、衝州産のものの方が香りも良く、効能も衝州烏薬の方が良いといわれています。
気味、薬味薬性
味は辛、性は温
帰経。東洋医学の臓腑経絡との関係
脾、肺、腎、膀胱
効能
辛味成分が胃に働き嘔吐や下痢に効き、肺部の胸苦しさを取り去り気分を爽快にしたり、軽い風邪の時の不快な気持ちを取り除いたりします。
適応とする体質と処方例
産後の諸病、胃弱、貧血、出血過多、飲食不調、眩暈などのある方に用います。処方例。芎帰調血飲、烏薬順気散
烏梅
烏梅色の黒い梅の加工品なので烏梅と言われています。梅の未熟果を取り、皮をむき中の種を取り去り、カゴに入れカマドの上に乗せ、下から藁をくべ、この青梅をいぶし焼きにし乾燥したものを使用します。
気味、薬味薬性
味は酸、渋、性は温
帰経。東洋医学の臓腑経絡との関係
肝、脾、肺、大腸
効能
肺結核の高熱の解熱に用います。久しい咳、酷い下痢、健胃に用います。
適応とする体質と処方例
回虫で苦情を出す時の苦痛を去りながら駆虫します。処方例。烏梅丸
如発如而矢、ウワウルシ
ヨーロッパ、アジア、北米などの北半球の寒冷地に分布しているツツジ科の常緑低木、ウワウルシの葉を用います。ウワウルシの名は、熊のブドウという意味でクマコケモモとも呼ばれています。
効能
殺菌作用があります。腎細胞を刺激するため利尿作用があります。
民間療法
尿路障害、利尿薬、膀胱炎、尿道炎、腎盂炎などに用います。ウワウルシの煎液を服用します。