日本漢方の原料である漢方生薬と有名な民間薬をご紹介します。

初めての方から専門家まで参考になるよう、気味・帰経・効能・適応とする体質と処方例・民間療法をご紹介。

天門冬(テンモンドウ)

クサスギカズラの根を2~3月、もしくは7~8月に採集して皮を剥ぎ、四つに割って芯を取り去ります。根の中心を貫いている白色の筋はとても苦いので取ります。焙って薬として使用します。

柳のコシキに入れて、酒を少し注いで蒸します。その後、乾燥させて使用したり根を酒に浸して使ったりします。

クサスギカズラの葉は、スギに似て蔓草で蔓のものはカズラとよく言うので、クサスギカズラと言われています。

この薬は麦門冬とよく似ているので、地門冬とも言われています。

気味・薬味薬性

味は甘・苦、性は大寒

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

肺・腎

効能

濃い痰があって、からみ咳があり、痰が出ると咳も止まるような体質の咳を鎮めます。

肝臓が悪くて心臓が高ぶるような糖尿病の方に用います。

胃弱者で稀薄な痰を出す方には不向きです。

適応とする体質と処方例

  • 虚弱体質で慢性化した固い痰や便秘の傾向のある方に用います。処方例:清肺湯(セイハイトウ)

田七人参(デンシチニンジン)をご紹介

生薬-田七

雲南省から広西省にかけての限られた地域に産するウコギ科の多年草のサンシチニンジンの根を用います。

呼び名は三七、三七人参、あるいは田三七、田七とも呼ばれています。また非常に高貴な生薬なので金不換とも呼ばれています。

田というのは産地が広西省田陽、田東のためで三七というのは地上葉が3つの葉柄にそれぞれ7枚の葉がつくことから由来します。

三七は「本草綱目」に初めて収載された比較的歴史の浅い生薬で、民間では古くから「金瘡の要薬」として用いられてきました。

止血の神薬と言われていました。

気味・薬味薬性

味は甘・微苦、性は温

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

肝・胃

効能

外傷による出血や内出血、消化性潰瘍の出血や疼痛、性器出血などの止血に用います。

また血行を良くします。

適応とする体質と処方例

  • ベトナム戦争時に、アメリカ兵が止血に用いました。処方例:雲南白薬(ウンナンビャクヤク)

当帰(トウキ)をご紹介

生薬-当帰

現在、当帰は大和で取れる当帰を大深当帰と呼ばれ最も品質が優れています。

他に現在出ている品として北海道で取れる北海ものがありますが、大和当帰に比べ大分相違があります。この他に大和当帰の苗を信州に移植して栽培した信州ものがあります。

当帰は川芎とともに漢方で言う陰虚証の貧血性駆瘀血剤で強壮、鎮静、鎮痛薬であるが、とりわけ当帰の強壮作用は、川芎に較べて著しく優れているので、通例両種を併用して薬効の相乗効果が期待される場合が多いです。

愛し合った二人の間でも若妻に赤ちゃんが出来たら、ホルモンの分泌不良・貧血のためにご主人へのサービスも不足しがちとなります。その打開策はまず、若妻は当帰を服用することです。当帰の服用でホルモンも貧血も改善し、サービスも充分となり、そこで主人も楽しい我が家へ帰ってくるとことになり当帰(当に帰る)は、家庭円満の福のお薬となります。

気味・薬味薬性

味は甘・辛、性は温

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

心・肝・脾

効能

手の少陰心経、足の太陰脾経、足の厥陰肝経の各経絡の痛み、心臓が踊る、小腸部が張る、喉がつまる、視力衰える、目が充血する、門脈部の鬱血をおこす、目眩といったような苦情を楽にします。

貧血・血行不良による目眩や冷え症、内寒に働きます。

貧血・虚弱からくる気分の不良を鎮め、虚弱からくる自律神経の乱れを調節します。

増血の力があります。

適応とする体質と処方例

  • 痩型で貧血ぎみの婦人、手足や腰が冷え、頭重感や頭痛、眩暈、肩凝り、動悸、耳鳴りなどを訴え疲れやすい方。処方例:当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)

杜仲(トチュウ)をご紹介

生薬-杜仲

中国に産する落葉喬木のトチュウの樹皮を杜仲として使用します。

皮は1~5mm位で表面に地衣をつけている時があります。

白色の蚕糸のような繊維があって切断しにくいですが、少し燻ると切断しやすく、肺に対する副作用を少なくすることができます。

気味・薬味薬性

味は甘・微辛、性は温

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

肝・腎

効能

弱くなった肝腎に働き、筋肉の疲れと痛みを取り去ります。

適応とする体質と処方例

  • 胃腸が強くなく貧血症で虚弱体質で腎の関係に炎症を起こして、その結果腰痛を起こしているものに用います。処方例:補陰湯(ホイントウ)

桃仁(トウニン)をご紹介

風景64生薬-桃仁

桃の果実を食べると中の堅い核が残る。この核をたたいて見ると内部から軟らかい仁が出てきます。これを桃仁といい薬用として用います。

桃仁の古い物は油気が少なくなり、少なくなったものは効力が弱くなります。

気味・薬味薬性

味は苦・甘、性は平

帰経(東洋医学の臓腑経絡との関係)

心・肝・大腸

効能

熱を伴う、鬱血を巡らす働きがあります。

駆瘀血剤(消炎性浄血剤)で、下腹部の満痛、月経困難、生理不順などに用います。

適応とする体質と処方例

  • 生理痛や下腹部痛む時に、血行を良くし痛みを治します。処方例:桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
  • イライラや逆上せ、頭痛のある方の症状を緩和します。処方例:桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
  • 腰痛や 坐骨神経痛などによる筋肉痛や関節痛を緩和します。処方例:疎経活血湯(ソケイカッケツトウ)

参考文献・出典

  1. 漢薬の臨床応用 神戸中医学研究会 訳・著
  2. 近代漢方薬ハンドブック(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ) 高橋良忠 著
  3. 漢方のくすりの事典 鈴木洋 著
  4. 薬徴 吉益東洞 著
  5. 中薬大辞典 小学館
  6. 薬草カラー図鑑1~3 主婦の友社
  7. 平成薬証論 渡邊武 著
  8. 本草綱目 李時珍 著
  9. 医心方 食養篇 丹波康頼 著
  10. 中国の薬用菌類 劉波 著
  11. 薬草の詩 鹿児島県薬剤師会
  12. 和漢薬の良否鑑別法及び調整方 一色直太郎 著

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