アトピー性皮膚炎と小児湿疹。かけ橋掲載分
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体質改善に絞った煎じ薬
2010年生、男性
皮膚の痒みが酷く、特に腹部の赤味が気になるというアトピー性皮膚炎の相談を受けた。1歳頃には症状が出ており、ステロイド軟膏と保湿を病院の指示で行うが悪化。別の病院の指示で入浴を控え、少し安定してくるが、食べ物により悪化してしまう状態が続いているとの事。
糸練功にて、胃の陽証に属する皮膚病の証を確認した。皮膚の乾燥を改善し肌荒れを良くする漢方薬と内臓を強くし非常に体質改善力のある漢方薬、2剤合方の煎じ薬を選薬した。同時に食べ物では、卵、鶏肉、油、カビ類が影響している反応がある事もお伝えした。
2ヵ月した頃には入浴後に痒みはあるが以前のように酷く痒がる事は減っていた。背中の痒みは落ち着いているが、膝や脇などの痒みは引き続き訴えていた。その時、炎症には5段階があり、途中で掻いてしまう事で再び振り出しになる事をお伝えし、痒がった時には冷やした緑茶を塗布するようにお伝えした。
治療開始から半年を過ぎた頃から、保湿剤を塗らずに済む日が増え、入浴後の痒みも無くなった。痒みにより夜起きてしまう状態などは無くなり、とても落ち着いて過ごせるようになっていた。
現在、乾燥は落ち着き、乾燥を改善する漢方薬を抜き体質改善に絞った煎じ薬をお飲み頂いている。症状はとても落ち着いており食べ物による痒みの症状も無くなっていた。肌の状態もつるつるになったとご両親も喜ばれた例だった。
食養生で改善したアトピー性皮膚炎
1995年生、女性
乳幼児期よりアトピー性皮膚炎で肌の乾燥、痒みに年中悩まされている女性から相談を受けた。
高校生頃より皮膚科でステロイド治療を行ってきたが、根本的な改善に至らず漢方治療を希望された。お風呂上りや汗をかいた後は、更に痒みが増すと言う。
問診と糸錬功により黄連解毒湯合四物湯証を捉えた。この漢方薬は、皮膚が乾燥していて分泌物が少なく、掻痒感の強い方に出やすい。
漢方薬だけでなく養生が非常に大切な為、以下の事をお伝えした。
- 腸内細菌叢のバランスを崩す白砂糖を減らす
- 油脂物は控えめにする。お菓子類、パン、ドレッシング、マヨネーズ、マーガリン等。
- 緑黄色野菜、線維物、海藻類を多めに摂る
- 腸内細菌叢を正常化させる為に発酵食品を適量摂る。ヨーグルト、納豆、味噌、漬物、キムチ等。
- 毎日排便する事
漢方薬を飲み始めてから1年程で痒みが殆ど無くなり、皮膚も綺麗になってきた。
その後減薬をし、1年10ヶ月の治療で乳幼児からのアトピー性皮膚炎の治療は終了した。
今後再発をしない為にも医食同源を続けて頂きたい。
痒みの酷い小児湿疹
2010年生、男性
小児科や漢方皮膚科などでステロイド治療、漢方治療をされていらっしゃったが、1年半経過しても痒みのある湿疹が改善されず来局された方からのご相談。
お伺いするとトイレや着替えの着脱する際に痒みが伴い、掻いてしまう事で、より症状が酷くなっている様だった。皮膚そのものは、少しアトピー肌の様ではあるが、大して酷い感じは無かった。お調べすると皮膚には表虚の水毒証を確認し、五志の憂にて藏躁証を確認する。
肌の体質改善とトイレや着替えの際に掻いてしまう衝動を同時に改善出来るように治療を進めていった。
1月後では余り大きな変化は無かったが、2ヶ月目になる頃には皮膚の状態が綺麗になって来ているのを実感されていた。掻いてしまう状態は続いている事もあり急迫的な激しい痒みを改善する煎じ薬を調節し治療を続けて頂いた。翌月には掻く事も減っており、改善は順調に進んでいった。
夏場になると今までの改善から一転し、腕や膝裏などに酷く湿疹が出てしまっていた。腕や膝の裏など皮膚の柔らかい部分に酷く出る症状に風湿証を確認し、皮膚の漢方薬を変更しお飲み頂く。数ヶ月すると症状は落ち着き皮膚の痒みも良くなっていた。
現在では皮膚の治療は終了し、今まで痒みが続いていた事で痒みに対して敏感になり、トラウマとして残る部分を治療している。痒みの皮膚症状だけでは無く、自律神経の治療併用にて症状が落着いた例だった。