2020年7月25日。写真は白族ペー族、中国雲南省、大理の民族衣装です。
内臓脂肪を取りたい
私はダイエット中です。私の家系は肥ります。そして髪の毛が限りなく薄くなります。遺伝だから仕方がないです。親戚は20代まで皆、痩せています。親族全員が酒飲み。年齢が上がると、同じ体形、同じ髪型になります。結婚式やお葬式に行くと、後ろから見て親戚が分かります。
私が30代前半の頃、お風呂に入りお腹を見ると腹筋が消えていました。いつ腹筋が消えたか記憶が無いです。その時に初めて気づきました。それから30年以上、肥満との闘いです。腹筋消失の夜から現在まで、夕食で白ご飯を食べていません。夕食での白ご飯は年に数回食べるだけです。夜は、おかずだけの日々が続いています。40代に入ると、夕食で白ご飯を抜いても肥りだしました。お腹周りが入らずスーツや服を全て買い換えました。それからプールに通い毎日筋トレです。私の部屋には、いつの間にか鉄アレイ、エキスパンダ、腹筋台、懸垂台、フットプレス、自転車マシン、チューブ、ブルーワカー、全身鏡。ジムのようになっていました。半年トレーニングをすると、5、6キログラム落ちます。せっかく体重を落としても、食べると1週間で5キログラム肥る始末です。
諦めていましたが、60歳を過ぎると血圧が上がりだしました。現在は、食事コントロールと運動で体重を維持しています。私がしている運動は
- スクワット。効率よくエネルギーを代謝する最大筋肉の大腿四頭筋を鍛えます。
- 背伸び運動。心機能を助け、全身の血流を良くする脹脛を鍛えます。
- 腹筋。上腹部腹筋、下腹部、横腹筋。
- 週5日行い2日休みます。筋肉線維は休むことにより修復され発達します。
食事は
- タンパク質、アミノ酸。肉類、大豆製品、タコ、イカ、貝類、海老、蟹、魚類
- ビタミン。野菜類、朝のみ果物。朝の糖質は脂肪燃焼がしやすくなります。
- ミネラル。コンブ、ワカメ、海産物
- 難溶性繊維。生野菜、腸を刺激し排便を促します。
- 水溶性繊維。海藻類、火を通した野菜。水分と脂分を吸着し排便させます。
- 食べる順番は血糖値の上昇を抑えるため、消化の悪い物から消化の良い物へ食べていきます。生野菜から温野菜から肉、魚類、タンパク質からご飯、パン類、麺類の炭水化物、糖類、の順番です。
- 口の中でよく噛み、ペースト状に成ってから飲みこみます。腹持ちも良いです。
飢えていた祖先
人間は飢餓の動物です。私たちの祖先は飢え、脂肪を蓄積することにより生き延びてきました。人間はそのDNAを持っています。空腹を経験すると、身体は吸収率を高め肥りやすくなります。目標体重に成ったらダイエットを止め、運動だけで維持するつもりです。
空腹時、胃はドリンク1本位100ミリリットルの大きさです。食事をすると最大一升瓶の1.8リットルの大きさまで膨らみます。空腹時に、お腹の中は空洞に成っていると考えられます。
脂肪は肝臓に蓄積します。肝臓に溜められなくなると肝臓周辺に溜めます。それが内臓脂肪です。食後にお腹が出るのは、空腹時のお腹の空洞が内臓脂肪で既に埋められているからです。食後にお腹が出るのは、内臓脂肪が有ります。
本能で食す
野生の猿は病気に成ったら食べる物が変わるそうです。自分の身体を治す食材を本能的に求めます。病気が治ると、元々食べていた餌に戻るそうです。
以前、ある漢方の書物に犬の実験が書かれていました。犬が下痢をした時に、何種類かの漢方薬の下痢止めと化学薬品の下痢止めを並べます。犬は化学薬品の下痢止めは舐めずに、自分に合った下痢止めを漢方薬の中から選んで舐めるそうです。
人間の赤ちゃん
赤ちゃんに煎じ薬の漢方薬を飲ます時に哺乳瓶を用います。初めて口にする味ですので、最初の1週間位は嫌がります。それを過ぎると漢方の哺乳瓶を欲しがるようになります。本能的に欲しがるのだと思われます。
幼稚園までの子供は漢方薬を嫌がらずに飲む子が多いです。本能的に求めているのでしょう。成長し小学校低学年になると漢方薬を飲まなくなる子が増えてきます。知恵が付いてくるからでしょうか。もう少し成長し小学高学年になると、また漢方薬を飲む子が増えだします。子供ながらに飲まないといけないと思うからだと考えられます。
人間も弱った時、自分の身体に合った食材を求めます。しかし体調が良くなっても、その食材を止めようとしません。猿は止めるのに。
ホドホドに
人間は好きな物、身体に良いと信じ込んだものを摂り過ぎる傾向が有ります。ホドホドが一番です。私達の祖先が食べていたかどうかで判断します。「私達のDNAは私達が創ったのではありません。私達の祖先が過去の経験に基づいて創造したもの」です。
食の文明化
30年近く前、私はある漢方メーカーとのお付き合いで、新商品開発のアイデアとか意見を述べる御意見番のような立場にありました。その当時、北京に行くと人民服を着ている方も多かった時代です。そのメーカーは中国のある中医学院、中医学大学と共同で、アトピー性皮膚炎の漢方処方の開発をしていました。
アトピー性皮膚炎の漢方処方が出来あがり、臨床試験をすることに成りました。臨床試験をしようとすると、当時の中国にはアトピー性皮膚炎の患者さんが居なかったのです。臨床試験は出来ずに、その漢方処方は結局お蔵入りとなりました。日の目を浴びる事はありませんでした。
発達した食環境
その後、10年程すると中国に冷蔵庫が普及し食生活が豊かになりました。人民服を着ている人も見なくなりました。そしてアトピー性皮膚炎の患者さんが何処にでも居るようになりました。
冷蔵庫が無い時代。私たちの小さな頃は、魚屋さんが今日獲れたての魚を売りに来ていました。鶏を飼育している家も多く、生みたての卵を朝食で食べていました。私の田舎では、飼っている豚が1匹死ぬと冷蔵庫が無いので、親戚みんなで朝も晩も豚料理です。食事で「また豚だ」と飽きがくる頃に、鹿児島では黒砂糖を入れた保存食の豚味噌を造ります。
日本人は添加物を1日11グラム以上摂っていると言われています。東洋医学で身体の毒を中和解毒するのは、五色で肝胆経に属する緑の青野菜、少しアクのある野菜は心経にも属し解毒力は更に強いです。特に夏のウリ科の野菜は尿に排泄を促します。
衛生状態も良くなり、食生活が豊かになったのだと思います。そして多くの病気が生まれました。発展途上国と比較し、現代栄養学の発達した国ほど成人病が多いです。
五味の働き
東洋医学では全ての食べ物や漢方薬を5種類の味に分けます。この五味の分類により、身体の何処、東洋医学の臓腑に働くか、どういう働きが有るか知ることが出来ます。
素問の食養生
東洋医学の古典の素問、臓気法事論篇には、五味の働きが記載してあります。「辛は散じ、酸は収め、甘は緩くし、苦は堅くし、鹹は軟らかくす」と有ります。
辛い物は肺に働き、発散作用があります
発汗やストレスの発散などの働きが有ります。身体の浮腫みを取ります。
酸っぱい物は肝に働き、収の働きで発散の逆になります
発汗のし過ぎや脱肛、子宮脱、下痢等に対応します。身体を潤します。
甘い物は脾に働き、心も身体も緩めます
緊張した筋肉の収縮や内臓の痙攣性の痛み、緊張した心も緩めます。民間療法では、精神的ストレスで緊張が激しい時に熱いお湯に砂糖を入れ、甘い砂糖湯を熱いお茶の様にして飲み、緊張を取る方法があります。身体をやや潤します。
苦い物は心に働き、身体を固く縮める働きです
夏の暑さで緩んだ身体、筋肉を引き締めます。炎症でタダれた患部を縮、抗炎症し、浮腫みで緩んだ身体を縮、利尿します。身体の浮腫みを取る力は強力です。
鹹、塩からい物は腎に働き、軟らかくします
硬いイボや腫瘍、筋腫などを柔らかくし降ろす働きがあります。身体を潤す力は強です。
薬膳として、ご自分の現在の身体状況に合わせて食材を組み合わせます。
五味の多食
素問、五臓生成篇。五味の合する臓器。多食により相克の傷る所には以下の記述があります。
- 鹹の多食は、血が粘稠となり、脈行渋る
- 苦の多食は、皮膚がガサガサになり
- 辛の多食は、筋肉が引き攣れ爪が枯れる
- 酸の多食は、肉が萎縮し唇が巻き上がる
- 甘の多食は、骨が痛み、髪の毛が抜ける
と有ります。
五味を多食すると
上記を現代医学的に出来るだけ分かりやすく解説していきます。東洋医学の臓腑は西洋医学の臓腑とは異なります。
鹹
鹹、塩からいの味は、腎の臓に配当されます。食べすぎると相剋の心の臓を痛めます。血液が粘稠となり血栓が出来たり、血圧上昇や不整脈、狭心症などを引き起こします。
苦い
苦い味は、心の臓に配当されます。食べすぎると相剋の肺、呼吸器、皮膚表面の臓を痛めます。皮膚が乾燥しガサガサとなります。
特に、湿度が下がる冬場に酷くなる皮膚病は要注意です。乾燥性の老人性掻痒症なども酷くなります。冬場に炬燵やお布団で温まると酷くなる咳の麦門冬湯証などにも禁物です。体毛が抜けやすくなるとの記述も有ります。
辛い
辛い味は、肺の臓に配当されます。食べすぎると相剋の肝の臓を痛めます。筋肉が引きつり、こむら返り等の筋肉の痙攣、平滑筋である内臓筋も収縮しますので腹痛などが起きやすくなります。爪が枯れてくるとの記述も有ります。
酸
酸っぱい味は、肝の臓に配当されます。食べすぎると相剋の脾の臓を痛めます。肉が萎縮し筋肉が弱ります。唇や舌の筋肉も弱ってきます。アトニー体質、弛緩性が悪化し内臓筋も弱り、胃下垂、脱肛、子宮脱、内臓ヘルニア、遊走腎などの内臓下垂を起こしやすくなります。
酸っぱい物は収の働きが有りますので、内臓下垂の食養生としては推奨されます。しかし食べすぎると脾の肌肉を弱らせ内臓下垂が酷くなります。やり過ぎは禁物です、ご注意を。
甘い
甘い味は、脾の臓に配当されます。食べすぎると相剋の腎の臓を痛めます。骨が弱ります。骨粗しょう症が進行し膝関節症や股関節、脊椎分離症などで腰痛も酷くなります。老化を早め髪の毛が抜けやすくなります。
多食の害は苦みだけ正経。他は相剋関係です。
五味の過食
素問、五臓生成篇には、「肝は酸を欲し、心は苦を欲し、中略、腎は鹹を欲す」と五味の合する臓腑が記載されています。
素問、生気通天論篇には、「天に高く太陽が輝き万物に生命力を与え守っているように、人間の陽気も日中は身体の外に在って外邪を防衛している、それが衛気である」と述べられています。
五味の過食
また過食による相克の害が述べられています。ここでも多食と同様に過食でも心の苦みのみ正経です。
酸
酸の過食は、肝気あふれ、以って脾気すなわち絶す
酸は肝の臓に合し、酸っぱい物の過食は、肝気が充実し過ぎて、相剋の脾気が損なわれ、胃腸機能が弱くなる。
鹹
鹹の過食は、大骨の気労し、短肌、心気抑える
鹹は腎の臓に合し、鹹、塩からい物の過食は、腎気が充実し過ぎて、肌が弱り荒れガサつき、相剋の心気が抑えられ血脈の流れが渋り、高血圧や多血症、血栓症を引き起こす。
甘い
甘の過食は、色黒く、腎気、衝せず
甘は脾の臓に合し、甘い物の過食は、脾気が充実し過ぎて、息が荒くなり、相剋の腎気が損なわれ皮膚が黒ずみ、上衝するほどの力もない血虚の地黄が適応する肌黒の四物湯証になる。
苦い
苦の過食は、脾気濡れず、胃気乃厚し
苦は心の臓に合し、苦い物の過食は、心気が充実し過ぎる事により、相生の脾気も充実し過ぎて、痩せて食欲が増進します。生薬の刻みや粉末化などの加工職人さん達は、苦みの黄連を加工する日は、お弁当を3つ位持参するそうです。お腹が空いて堪らないとの事。
素問、生気通天論篇では、苦、心の所だけ相生関係に成っています。後は相剋関係です。同様に五味の毒消しが記述してある素問、臓気法事論篇でも「甘は苦により瀉される」と苦、心のみ相生関係が記載してあります。和菓子の甘い毒を日本茶で消すのと同じ理屈になります。
辛い
辛の過食は、筋脉沮弛、精神乃ち央す
辛は肺の臓に合し、辛い物の過食は、肺気が充実し過ぎて、相剋の肝気が損なわれ筋力を失い筋力が低下します。筋力が低下する麻痺や運動不全には甘い物の過食は害となります。また精気も神気も低下します。
五味の禁止
素問、宣明五気篇には、お病気ごとに対する禁止する五味について記述されています。
病ごとの五味の禁止
東洋医学の臓腑は西洋医学の臓腑とは異なります。
酸
酸は筋に走る。筋病は酸味の物を多食する無かれ
酸は肝に属し、酸は肝に属する筋に作用します。筋病は酸味の物を多食してはいけない。筋肉が痙攣したり、収縮する肝の臓の病のパーキンソン病や振戦には酸味の食物の多食を禁じます。
苦い
苦クは骨に走る。骨病は苦味の物を多食する無かれ
苦は心に属し、苦は心と相剋の腎に属する骨に作用します。骨病は苦味の物を多食してはいけない。苦みは相剋の腎を剋します。そのため骨の弱った骨粗しょう症や変形性膝関節症、脊椎分離症には苦い物の多食を禁じます。
苦みはアクであり、野菜のシュウ酸や玄米のフィチン酸などのアクは、酸アルカリの中和反応で骨中のミネラルであるアルカリ金属のカルシウム、マグネシウムなどを溶かし体外へ排出します。シュウ酸は熱分解しますので、アクのある野菜はボイルや炒めるなどの温野菜がお勧めです。
甘い
甘は肉に走る。肉病は甘味の物を多食する無かれ
甘は脾に属し、甘は脾に属する肉に作用します。肉病は甘味の物を多食してはいけない。甘い物は筋肉の器質的な疾患、筋肉が衰え萎縮する病や小児麻痺、斜視などには甘い食物の多食を禁じます。
辛い
辛は気に走る。気病は辛味の物を多食する無かれ
辛は肺に属し、辛は肺に属する気に作用します。気病は辛味の物を多食してはいけない。辛い物は代謝を活発にし、精神的にも高揚、興奮します。精神的な病で興奮、気が昂りすぎている時には発散作用にて余計に興奮します。
鹹
鹹は血に走る。血病は鹹味物を多食する無かれ
鹹、塩からいは腎に属し、鹹は腎と相剋の心に属する血に作用します。血病は塩からい物を多食してはいけない。塩からい物は、浮腫み。血圧を上昇させます。梗塞や血圧の高い人は塩からい食物の多食を禁じます。
ここでは各臓腑が病になり陽証或いは実証の時、更に臓腑を強める五味を戒めています。上記の酸、甘、辛は同じ臓腑の正経です。苦、鹹は相剋の臓腑です。
肝の筋は、筋肉の機能的な収縮異常と考えます。筋肉の痙攣やこわばりなどです。脾の肉は、筋肉自体の器質的な衰えと考えると分かりやすいです。
五味の教え
漢方、東洋医学には基礎医学として、解剖学は黄帝内経、霊枢、難行です。薬理学は本草学。臨床医学は傷寒金匱などの古典です。
黄帝内経の中で治療学である難行、霊枢は心王説理論で書かれています。黄帝内経の中で素問だけ脾王説で記述されています。素問は養生学に当たります。
五味の働きは、身体の状態に合わし摂ったら良い食養生を書きました。
- 五味の多食は、同じ物を多く食べた時の身体への害が書いてあります。
- 五味の過食は、好きな物だけを更に食べ過ぎた時の身体の状態が書きました。
- 五味の禁止は、病になった時に食べてはいけない物を書きました。
私達は弱いです。「これは身体に良い、健康に良い」というものには直ぐに飛びつきます。しかし、好きな物を禁止されると耳を傾けません。
養生編である黄帝内経素問には食べる効能より、多食、過食の害、食の禁止の方が圧倒的に多く書かれています。欲を出す事も必要です。しかし戒める事の教え、大事さを黄帝内経素問は伝えています。