心筋梗塞と狭心症

心筋梗塞と狭心症。漢方相談

心臓は全身に血液を送っています。当然ですが心臓も筋肉のため血液が必要です。心臓に血液を送るのが心臓の周囲の冠状動脈です。狭心症、心筋梗塞は冠状動脈が心臓に血液を送れなくなった疾患です。

心筋梗塞、狭心症は、発作的に心臓部が締め付けられ痛みがきます。痛みは胸だけでなく、腕に沿って左手の内側にも広がります。

狭心症には真性と仮性があります。仮性狭心症は、夜間型狭心症又は安静時型狭心症とも言われます。

精神的なストレス等により心臓の周りの冠状動脉が収縮し引き起こされます。夜に夢を見ても発作が起きますので夜間型狭心症とも言われます。

真性狭心症は運動や階段を上がった時など運動することにより起きます。

心臓は全身に血液を送らなければなりません。そのため心臓は激しく働かないといけません。その時に発作が起きます。そのため労作性狭心症と言います。逆に仮性は安静時型と言われます。

仮性狭心症も何回も発作を繰り返していると、本当の真性狭心症を引き起こしますので気を付けないといけません。

心臓は全身に血液を送りますが、心臓に血液を送る冠状動脈が軽度に閉塞した一時的な状態が狭心症になります。更に動脈硬化が進行し重篤となり、閉塞により心筋が壊死を起こすと心筋梗塞となります。

狭心症から心筋梗塞へ進行することもあり注意が必要です。

漢方では狭心症、心筋梗塞は、胸痺と呼ばれ、2000年以上前より治療されてきました。

漢方治療では、狭心症と心筋梗塞は区別せず症状の強さと病態にて治療方を組み立てて行きます。発作時の痛みが激しい場合は、括呂薤白半夏湯。仮性狭心症の痛みには千金当帰湯など様々な漢方薬があります。

狭心症、心筋梗塞の発作時にニトログリセリン同様に数秒で発作を止める漢方薬もあります。また狭心症、心筋梗塞の発作後に、再発防止で漢方薬を服用すると再発をしにくくなります。

発作時の痛みの強い狭心症、心筋梗塞に頻用される薬方です。

括呂薤白白酒湯より、更に痛みが強く、嘔吐を伴う場合はこちらを用います。

発作時の痛みはやや軽く、ストレス等による仮性狭心症に用います。みぞおちから胸にかけて突き上がるような激しい痛みの発作が適応します。

下腹部から何かが突き上げてくるような激しい発作の狭心症、心筋梗塞に適応します。

心窩部に菱形状の強い抵抗と心下痞硬がある心筋梗塞、狭心症に用います。使い分けは木防已湯が急性期、実証タイプ。増損木防已湯が慢性期、中間タイプ。茯苓杏仁甘草湯が虚証タイプです。

田七人参を使うと狭心症の発作を遠のける事ができます。田七人参は他に肝機能改善作用や血流改善作用があります。痔核などにも使用できます。

田七人参は金不換とも言われ、金とも変えられない人参と言う貴重な生薬でした。傷口に田七の末を振りかけると一瞬で出血が止まります。ベトナム戦争の時に傷ついたベトナム兵士が使っている所を米軍が見つけ世間に知れ渡った生薬です。

現在は栽培されていますので、高価では有りますが手に入れやすい漢方薬です、

太陽堂漢薬局と患者さんとのかけ橋。毎月お配りしています。

昭和17年生、女性

昨年に狭心症を漢方薬で治療され、ある程度改善されていた女性。

夏後に精神的に不安定になり、ニトロを飲む程ではないが、ストレスで胸がギュッと痛むと訴えられた。また、ストレスがかかると左腕が痺れるという。

以前は人との交流が好きだったが、最近はあまり上手になれず、クヨクヨする事もある。昨年は喉に突き上げるような症状を訴えていらした。

糸練功で、左腕から手に大腸の陽証0.6合甲字湯加黄ゴン紅花証と、五志の憂に肺の陰証0.4合半夏厚朴湯合茯苓飮証。心臓に心の陽証2.9合増損木防已湯証を確認。漢方で瘀血と五志を改善しながら、増損木防已湯証改善も図った。

1ヵ月後、気持ちが落ち着き、長く歩いた後は左足が痺れるが、毎日漢方を飲むと生活にも張り合いが出てきたとの事。代用処方にて五志に対応していたが、正式処方へ切り替えた。

2ヵ月後、とても調子良く過ごされているとの事。気持ちも落ち着き体調も良く、漢方を続けたいとの事。

心臓部分の痛みは増損木防已湯証もあるが、この方の場合は五志の憂と瘀血によって、その症状に拍車をかけていた。

心房中隔欠損症もお持ちで、遠出もできず不安な毎日を過ごされていたのだろう。瘀血と五志を改善させる事によって生活に張り合いが出て、クオリティオブライフも改善され、現在はとても満足され、毎日を過ごされている。