統合失調症

統合失調症について

青年期、壮年期に発病することが多い疾患です。
統合失調症の初期は、うつ病と間違うこともあります。
不眠や憂うつ感、無力感というような症状を呈し、気付かない事も多いです。

統合失調症が進行すると幻覚、幻視、幻聴等が現れます。
突然に興奮状態になったり、周囲が理解できないことを言ったりすることも、幻覚や妄想が見られ、自分の悪口を言っていると思い込んだり、事実でないものが見えたりします。

統合失調症とは

統合失調症の原因は解っていません。最近は、遺伝的要素と環境的要素により人口の100人に1人ほど発病すると言われています。

原因となる要素としては、遺伝的な体質、妊娠中の母親のウイルス感染、出産前後のトラブル、赤ちゃんの低体重、母親と赤ちゃんの血液型の問題、脳内への感染症など様々です。

親や兄弟姉妹では発生頻度が10人に1人。一卵性双生児は2人に1人とのデータも有り、遺伝的な要素も考えられています。

統合失調症と漢方

統合失調症の漢方治療は、古くから行われています。古典の外台秘要には、「この方は失心風を主とする。その人、健忘、心気鬱々として楽しまず。或は驚眠らず、時に独語し、或は痴の如く狂の如き者を治す」と記述が有り、病の特徴が記載されています。

以下は統合失調症に使われる有名な漢方薬の一部です。
これとは別に、初期には竜骨の証の治療で改善する人も多いです。

三黄瀉心湯、黄解散、柴胡加竜骨牡蠣湯、大承気湯、桃核承気湯、龍骨湯、他

食養生としては、粟ご飯、鶏肉、鶏皮等が有ります。この食養生は、東洋医学独特の概念、漏れを防ぐ役目をします。

対応する漢方処方

伝統医学である日本漢方古方派を中心とした代表的な処方をご紹介します。

三黄瀉心湯、黄解散

のぼせぎみで顔面赤く、脈が緊張し、腹部は柔軟だが力が有り便秘ぎみの方。
イライラして落ち着かず、不安や不眠が有ります。胃が痞え、上腹部痛、膨満し硬く圧痛が有ります。頭痛、耳鳴り、血圧亢進、出血傾向がある人もいます。

柴胡加竜骨牡蠣湯

胸脇苦満と精神神経症が、統合失調症に使用する目標です。
急性では、意識が混濁し、うわごとを言ったり、全身が重苦しく、尿利が減少している方。
慢性病では、心下部に抵抗や圧痛を認め臍傍の動悸がある方に用います。
動悸、眩暈、頭痛、のぼせ、不眠、疲労感、不安、憂うつ感、神経過敏、集中困難、記憶力減退、興味の喪失などの精神状態を呈し、便秘や尿利減少のある方。
妄想型には柴胡加竜骨牡蠣湯と黄連解毒湯を合方し使われます。

大承気湯

腹が膨満し、便秘する方、苦しく体が重く、息切れがあります。全身が熱く汗ばみます。軽症では目がかすみ、重症では意識が混濁し、うわごとを言ったり、幻覚を生じ、錯乱状態になります。
便秘がちで、喉が乾き舌は乾燥し黄白苔、まれに黒苔が有る方です。

桃核承気湯

体力と体質が充実し、瘀血が有り、便秘、のぼせる方。
病状は一般に激しく、精神錯乱を始めとする精神状態を呈する方に用います。
瘀血による症状は、出血傾向、月経不順、月経困難、口渇、手足の灼熱や原因不明の発熱、のぼせ、静脈の怒張、皮膚の紫斑、肌荒れ、頬や口唇などの暗紫色を呈します。瘀血があると下腹部が硬く張り塊が触れます。それを圧迫すると激しい圧痛を訴える腹証を呈します。
この腹証は瘀血の腹証の1つで小腹急結と言います。瘀血があると原因不明の熱が出たりします。
瘀血の熱は状態を総合して判定しますが、昼も夜も熱が出ていたのが、昼間は熱が出なくなり夜になると熱が出るものが多いです。