2024年2月15日。写真は、広島県福山市、真言宗明王院です。
東洋医学には様々な診断方法があります。人間の身体には不思議な反応があります。自然の不思議なのかもしれません。ここでは不思議な生体の反応を使った東洋医学の診断方法をご紹介します。
音素診
黄帝内経素問の金匱真言論、陰陽応象大論に五音と言う理論があります。五臓に反応する音階により診断、治療をしていく理論です。クラッシックや音楽によってワクワクしたり落ち着いたりするのと同じかもしれません。
五音は音階
五臓は肝、心、脾、肺、腎です。それに該当する五音は角、徴、宮、商、羽です。音階ではミ、ソ、ド、レ、ラになります。
肝は五音は角、音階ではミ。心は五音は徴、音階ではソになります。黄帝内経難経の六十一難に「聞いてこれを知るとは、其の五音を聞いて以って其の病を別るなり」とあります。診断にも使われていたと思われます。
五音と似ていますが、気功では六字訣と言う功法があります。発音により臓腑を反応させ健康になる気功法です。
骨へ反応する音素診
末原征朗先生が開発された脊椎診です。後頭骨1音、頚椎7音、胸椎12音、腰椎5音、仙骨1音、尾骨1音、腸骨1音で28の音で反応します。
音素診による診断
異常のある脊椎部分は音に反応します。例えばゴの音で反応すれば頚椎2番に異常があります。ゾで反応すれば腰椎4番に異常があると判断できます。坐骨神経痛でゾで反応すれば、腰椎4番の漢方治療を行うことにより坐骨神経痛は解消します。脊椎だけでなく、顎関節はゲの音で反応します。
経筋の病
寒により経筋が痛められると経筋の病になります。凝りや痛みが生じます。治療は焼針の適応となります。焼針は身体の末端から体幹に向かって行わないと誤治を起こしますので注意が必要です。
経筋に異常があるとボゥの音で反応します。ボに続いてゥを入れます。
音素診での注意点
注意しないといけないのは脊椎診は母音を使いません。音を伸ばさない事です。胸椎1番の音素診はユです。ユゥと母音を入れません。ユです。逆に顎関節診のゲは、ゲェと母音を入れないと反応しません。ゲェです。
六部定位脈診と腹診、舌診の関係
東洋医学には独特の世界観があります。大宇宙の中に小宇宙、小宇宙の中に更に小宇宙と言う概念があります。
六部定位脈診
六部定位脈診は手首の内側、体幹側で全身を診ます。昔の人は、大宇宙の身体を小宇宙の脈診部で診ると考えたのだと思います。
左右の脈診部
右の寸は肺大腸、関は脾胃、尺は心包三焦の反応が出ます。左の寸は心小腸、関は肝胆、尺は腎膀胱の反応が出ます。寸は上焦、関は中焦、尺は下焦です。
五積の腹診
腹診には様々な腹診法が有ります。日本で発達した古方の切診、圧迫診。病因を示した甲把流他があります。古方の腹診は薬方の証に直接に結びつきます。甲把流は病因の気血水が簡単に分かります。
もう1つ、私が使う腹診があります。黄帝内経難経の八十一難に五積の腹診があります。
- 肺積は右脇下。六部定位脈診では右上焦、右寸の脈
- 脾積は臍上。六部定位脈診では右中焦、右関の脈
- 心積は鳩尾下。六部定位脈診では左上焦、左寸の脈
- 肝積は左脇下。六部定位脈診では左中焦、左関の脈
- 腎積は下腹。六部定位脈診では左下焦、左尺の脈
腹診部と脈診部は左右、上中下焦に於いて驚くほどの類似点があります。昔の人は腹診にも小宇宙に基づいていると考えたのでしょう。
舌診
更に舌診も同じ小宇宙になっています。
- 上焦の舌先が心肺
- 中焦の舌中央が脾胃
- 下焦の舌奥が腎
- 中焦の舌中央両側に肝が配当されます。
東洋医学では、脈診も腹診も舌診も共通の左右と上中下焦があります。身体全体を大宇宙とすると、すべて診断点は小宇宙になります。