糸練功の技を磨く。漢方研究会で発表
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糸練功
2022年11月。伝統漢方研究会第19回全国大会。日本、福井、ハピリン福福館内
木下順一朗、太陽堂漢薬局。福岡県福岡市、日本
諸言
私が漢方を始めた40数年前と現在では東洋医学の勉強の仕方が変わってきていると感じます。当時、私は古方派の教科書である漢方処方応用の実際と漢方診療医典の2冊だけを勉強していました。漢方処方応用の実際は本がボロボロになるまで何回も読み返しました。漢方診療医典は辞書替わりに使っていました。
傷寒論や素問などの古典を本格的に読みだしたのは漢方を始め10年近く経ってからです。それまでも何回か古典には挑戦しましたが、理解するには至りませんでした。
修行は技を磨く
漢方を始めた頃は本による勉強もですが、感覚を磨く事を中心に教えられました。自分の視覚、聴覚、臭覚、味覚、手技の感覚です。咳を聞いて証を出す。声を聴いて陰陽虚実を判断する。その中でも特に視覚による望診は徹底的に教えられたのを記憶しています。
患者さんだけでなく、漢方生薬も自分の目と鼻、口でより良い生薬の鑑別を覚えさせられました。当時は技を磨く事が修行と言われる時代でした。現在は本や勉強会で漢方の知識を得る事が修行と言われているのかもしれません。
糸練功
糸練功は身体の中を流れる微流電流を捉える反応です。生体物理学を応用した筋力テストです。私達の身体は電気仕掛けで動いています。筋肉も脳も内臓もです。
身体の異常部分は正常部分と比較し異なった電磁場を持っています。その電磁場による影響を受けた術者の筋力が一時的に低下する反応を使ったのが糸練功です。生体物理学による筋力テストですので、教えると誰にでも出来ます。
身体の余分な電気信号
術者が色々な事を考えると脳内で電気信号が生まれます。その電磁が糸練功のミスに繋がります。嘘をついたり妄想が強い、思い込みが有っても糸練功は正確にできません。また身体に余計な力が入っても筋肉に電気的信号が生まれ正確な糸練功が出来なくなります。
禅の修行と似ているかもしれません。
糸練功の技を磨く
- 糸練功に与える精神的な障害は、右脳の反応を消す事によりクリアできます。
- 肉体の反応は、百会から吊られた操り人形のような姿勢をすると消す事ができます。任脉と督脉が伸び、経絡の流れが良くなるのだと思われます。
- また筋肉に力を入れると電気信号が生まれますので、身体を重力に任すことです。特に肘に力が入らないよう気を付けます。
- センサーで指先の十宣穴を使いすぎるとミスを連発します。労宮を使うことです。労宮は銅鍾式站椿功の採気法と同じ形です。この時も手先に力を入れません。裏労宮を引っ張られる感じで採気法と同じ労宮の形が出来るのが理想です。
- テスターは故入江正先生が言われていた親指の第2関節下の筋肉、母指対立筋が張るように糸練功を取ります。この親指下の筋肉の張りが少ないと副作用診でミスが出ます。
- 私は入江正先生がされていた練習を10年以上毎日続けました。冷たい缶のウーロン茶にタオルを4枚載せ、糸練功を行い、更に本を1冊づつ載せていきます。本の厚みが20センチ程になり、st、smの判断が瞬時に出来るようになります。この練習はそれなりの効果が有ります。
現在の訓練
現在は経筋を伸ばすストレッチをしています。陽の腑の経筋から陰の臓の経筋へ伸ばしていきます。手の経筋から足の経筋へ伸ばしていきます。経筋を伸ばすと電気信号が伝わり易くなるのか、糸練功が非常にシャープになるのが体感できます。
結語
数年以上糸練功をされてきた術者の中に、腕が落ちている方が見受けられます。糸練功を始めて1年未満の方より腕が悪い方もいらっしゃいます。引退をされて患者さんを診ないのなら宜しいのですが、現役で糸練功で証を出すのであれば訓練を続けるべきです。
錆び付いた刀は切れません。ご自分の刀が錆び付いている事に気付かれていません。ご自分の技と刀を磨くべきです。怠慢との闘いです。