漢方薬によって不登校が解消した男児

精神神経症

自律神経失調症。かけ橋掲載分

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不安感や緊張感の男児

2008年生、男児

不安感や緊張感から、学校に行けなくなったという少年の母親から相談を受けた。元々電車が好きな子だったが、電車やバスに乗ることが出来なくなってしまっているとの事。兄弟と比較し色々と叱っていたことが原因かもしれないと、母親は後悔をしていた。

問診と糸練功にて桂枝加竜骨牡蠣湯証を捉えた。感情や精神をコントロールするためには、東洋医学で言う、気の巡りを整える事が重要である。桂枝加竜骨牡蠣湯は籠った気を発散し、巡りを整える。気の発散は運動や入浴によって発汗する事でも可能なため、養生として伝えた。またこの男児の場合、ミネラルが不足しがちな体質と思われたため、小魚類や海藻類等を良く食べる様伝えた。

2ヶ月後には学校に行けるようになっていた

服用開始から10日後、早速体調が良いとの連絡があった。2ヶ月後には、学校に行けるようになっていた。3ヶ月後には、学校を楽しみにしていると言う程になっていた。その後も全く問題無く調子のよい日が続いた。

調子が安定し始めた頃から、少しずつ減薬を開始、最終的に服用開始から1年と2ヶ月で、漢方治療を終了とした。うつや不登校は甘えや怠けだと耳にする事が時折ある。漢方の理論に沿って考えるのであれば、そのような事は決してない。

五志の憂と呼ばれる、五つの精神状態。怒、喜、思、悲、恐のバランスが崩れた、れっきとした体の異変である。適切な証を捉え、体質に合わせた漢方薬と養生を続ける事で、前向きに考えを改める事が出来る。男児の日常が、今後も明るくあり続けるよう願うばかりである。

フラフラして中学校に行く事が出来ない少年

2006年生、男児

いつも頭の中がモヤモヤしていて、やる気が起きず、ゴロゴロ寝てばかりの生活を送っている少年の母親から相談を受けた。特に朝が悪く、石膏粘土で身体を固められている様な感覚だと少年は話していた。朝が起きれない為、学校には行けず不登校になった。

東洋医学では、このような症状を五志の憂と捉える。五志とは東洋医学の概念で、怒、喜、思、悲、恐の5種の精神状態を言い、このバランスが崩れると様々な症状が出てくる。問診と糸練功により過緊張を緩め、副交感神経、リラックスを高める漢方薬をお出しした。また、食事ではミネラルを多く含む海藻類や内臓事食べれる小魚等をお勧めした。

運動会等の行事にも参加出来るように

服用を始めてから3ヶ月で学校に行ける日が出てきた。6ヶ月経つ頃には、毎日登校でき運動会等の行事にも参加出来るようになった。

最終的に2年程服用して終了となった。治療終了から1年後、晴れて高校生となり、部活も満喫していると嬉しいご報告を受けた。

西洋医学では、起立性調節障害と診断される事が多い様に思う事例であり、現在多くの子供たちとその親が悩み苦しんでいる。漢方薬で改善が期待できる事を多くの方に知ってほしい。

何となく体調が悪いご婦人

1973年生、女性

3ヶ月程前より体調が悪く、病院では睡眠剤、安定剤を処方され自律神経失調症の様な状態が続いているご婦人から相談を受けた。主な症状は、睡眠が上手く取れない。身体が怠く、疲れがとれない。何となく不安感がある等。東洋医学では、ご婦人の状態は五志の憂と捉える。

  1. 五つの感情。怒、喜、思、憂、恐を五志と言い、自律神経のアンバランスやストレス等による影響の事を五志の憂と言う。
  2. 五志は、五臓、東洋医学的な捉え方の肝、心、脾、肺、腎と深い関係が有り、五臓が活発ならば五志も充実し、五志が低下すれば五臓機能も低下すると考える。つまり心乱されれば身体に異常が出てくる。

この、ご婦人の五志の憂を糸錬功にて確認した所、加味帰脾湯証であった。この漢方薬は気虚を補い、虚熱を去る働きがある。

嬉しそうに報告を受けた

初めて来店された時は、元気がなく笑顔を作るのも難しいようであった。しかし煎じ薬で服用開始3ヶ月経った頃、睡眠が上手く取れるようになり、身体の怠さが減ってきたと嬉しそうに報告を受けた。

更に病院薬も止めても問題なく過ごせているとの事。漢方薬も減薬をしながら1年2ヶ月で治療終了となった。このような病には漢方薬は非常に効果が高い。放置しておくと次の病気へ繋がる為、軽いうちに病気を予防する事は大切である。

頻尿と手足の冷えが同時に改善した男性

1958年生、男性

手足の冷えと、頻尿の両方の悩みを持った男性から相談を受けた。緊張した時に手足が冷えやすい、また夜中にトイレに立つことが多く、日中もトイレが近いとの事。糸練功により、手足の冷えに四逆散証を、頻尿に桂枝甘草竜骨牡蛎湯証を捉えた。

どちらも五志の憂、自律神経の乱れの反応であったが、それぞれ別々の証が出現していた。これら2つの漢方薬から、糸練功にて薬味を組み合わせ、1つの方剤としてお出しした。養生としては、ナスやピーマン、トマトといったナス科の野菜を良く摂るよう伝えた。またナスはアクが強く身体を冷やしてしまうため、よく火を通すか、味噌や生姜を一緒に使うよう伝えた。

頻尿は治療を終了しても良い状態までに

服用開始から5か月後、手足の冷えが良くなってきている、夜中のトイレも以前2回から3回行っていたが最近は行かなくなってきたとの事。6ヶ月する頃にはどちらもほとんど気にならなくなってきていた。7ヶ月後には頻尿の方は治療を終了しても良い状態まで改善。

11ヶ月後に症状なく気分的にもスッキリしているとの事で、治療終了とした。必要な薬味の選定は糸練功の得意とするところである。薬味の組み合わせにより、2つ以上の証を同時に改善出来る場合が少なくない。全ての症状を改善できるとは限らない為、当薬局では治療の優先度や治療出来る範囲を考慮した上で、一人一人と対話を重ねながら方針を考えている。症状の悩みは、遠慮なく相談頂きたく思う。