自律神経による麻痺や更年期障害など。かけ橋掲載分
太陽堂漢薬局の患者さんに、毎月お配りしています。論文、改善例のご案内はこちら
自律神経失調症の男性
1931年生、男性
左手と口唇左側が麻痺した男性の相談を受けた。3月末より麻痺が生じ、4月より1ヶ月程入院したが麻痺は改善しなかった。病院では脳卒中の疑いで検査されたが原因が分からないとの事である。
西洋医学的治療で麻痺が改善しない
西洋医学的治療で麻痺が改善しない為、退院後1週間程してから、太陽堂漢薬局に相談に来られた。問診を行うと、軽度の不整脈が有る以外に特別な特徴が無い。望診上は虚実中間よりやや虚証、痩目で年齢にしては筋肉に締まりがある。
糸練功で麻痺の部分を調べると0.5合に異常がある。また同じ合数に五志の憂が一致する。他にこれと言った異常は見つからない。五志の憂による知覚神経、運動神経障害だと考えられる。
5月7日
脾胃を整え自律神経を安定する曲参製剤とスクアレン製剤を同時服用にて投与。
6月27日
糸練功のチェックでは4合1プラスに改善。自覚症状の改善はまだみられない。
10月1日
6.5合プラス2に改善。翌年2月16日、7.5合プラス1に改善。この時期より急速に麻痺の改善が始まる。
5月8日
治療開始より1年が経過。8合プラスマイナス1に改善。手の麻痺も足の麻痺も完全に回復。風邪も引かなくなったと患者さんに喜ばれた。
6月11日
投与量を半分に減らし、再発防止の目的で以後3ヶ月ほど服用し治療終了となった。
尿道を痒がる男性
1972年生、男性
一昨年の秋、69歳の男性の相談を受けた。団体役員で礼儀正しく、几帳面で頑固な男性であった。話を聞くと2年前に前立腺の手術をしたそうである。それから時々、尿道が痒いとの事。どうも表面に出ている陰部ではなく、尿道の中が痒いらしい。「痒い時には掻く事も出来ず、居ても立っても居られない」そうである。何軒かの病院へ行ったが良くならなかったと訴えられる。話を聞いている間に知覚神経の異常だと感じた。
尿道の中の痒みに対して
糸練功で調べると、腎経の経絡病陰証1合4プラスに異常がみられた。同様に自律神経に反応する五志の憂にも1合に異常がみられた。
2000年10月18日
気の発散をして自律神経を整える煎じ薬と補助剤になる曲参製剤を15日分投与した。漢方が不安だったのか、その後来局されなかった。
翌年8月始め
再び同じ症状を訴えられ来局。糸練功で調べると以前より酷く、0合に悪化している。10ヶ月前と同じ薬方を投与。今回は几帳面に服用された。
15日後
腎経4合1プラスに改善を始める。「依然として尿道の痒みは酷い」らしい。
約2ヵ月後
腎経7合プラス2に改善。本人は「痒い時はあるが、忘れる時が多くなった」との事。
治療開始5ヵ月後
腎経9.5合プラスマイナス1に改善。本人は「症状が消え、治った」と喜ばれる。再発しないよう最後まで服薬を勧める。
その後、また来局されなくなった。最終の糸練功チェックがプラスマイナス1の時に服薬を中止している。恐らく、また再発しているのではと危惧している。
自律神経失調症のご婦人が更年期障害
1948年生、女性
患者さんは以前より円形脱毛があり自律神経失調症で治療を続けていたそうである。又、一昨年、子宮筋腫と卵巣の摘出手術を受けている。最近は更年期障害が重なり症状が酷くなっていると訴えられて相談に来られた。
症状は、頭に帽子を被っているような頭帽感、後頭部痛、不眠、やる気が起こらない等を訴えられる。舌診の結果は薄い白黄苔がありやや乾燥している。口渇は無いが低血圧症である。問診、望診の結果、虚証であるが陽証と推測される。
自律神経失調症が酷くなっただけでは
糸練功で調べると五志の憂に心経の陽0.5合5プラス、心経の瀉法が適する状態である。他に異常は見当たらず、更年期障害というより自律神経失調が酷くなっただけだと思われる。
1月18日
頭帽感、不眠等の自律神経を整える煎じ薬と改善スピードを速める補助剤2種類を選薬する。
1月31日
3.5合2プラスに改善が始まり出す。しかし自覚症状は依然として改善していない。
3月5日
6合プラス3に改善。概ね調子は良いが、まだまだ眠れない日が多いとの事。
4月2日
8合プラス1。殆ど症状は消失。霧が晴れたように気持ちが良いと言われる。
5月10日
10合プラスマイナス。完全に、不眠を始め症状が消失。長年苦しんだ自律神経失調が嘘の様だと喜ばれる。円形脱毛症も髪が生え、分からなくなっている。その後、再発防止に発散作用のある漢方薬を暫く続けられた。
口が開けられない女性
1965年生、女性
非常に珍しい例に出会った。患者さんは30代の女性である。口が小さくしか開かないと訴えられ、実際に口が少ししか開けられない。また常に右下の歯茎が腫れた感じがするとの事である。先月まで色々な病院に行ったが治らなかったそうである。
知覚神経障害と運動神経障害
糸練功でチェックすると、腎の臓。1合2プラスに血虚と脾胃の水毒証。小腸経1合2プラス神経麻痺様の証。大腸の腑8合プラス1気滞と水毒証が確認される。どうも神経症の三分類中ヒステリーによる知覚神経障害と運動神経障害だと思われる。
10月17日
血虚と脾胃の水毒証と神経麻痺様の証に対し、曲参製剤とミネラル製剤を投与。気滞と水毒証に対し、エキス剤を投与する。
10月31日
腎2合1プラス、小腸3合1プラス、大腸9合プラスマイナス1に改善し始めるが、症状は全く改善しない。治るのでしょうかと不安を訴えられる。
11月30日
腎5合、小腸6合、大腸9合に改善。途中より自覚症状が急速に改善し始め、全く症状が取れたそうである。口も開くようになった。その後も同じ漢方薬を服用し続け体質改善を図る。
翌年5月16日
三臓腑経絡とも10合プラスマイナスに改善。
翌年6月6日
再発防止も含め、「今日が最後です」と言い最後の投薬をした。本人は治らないと諦めていた為、大喜びであった。