若年性更年期障害

更年期障害

若年性更年期障害の原因

若年性更年期障害は20から30歳代で、通常よりも早く起きる病状です。

日本人の閉経は50歳前後の場合が多く、その閉経の前後10年間が更年期の時期になります。通常は50歳前後に起きます。

それより早く起きたのが若年性更年期障害です。

若年性更年期障害の原因は、卵巣の機能が低下したり、ストレスやダイエット、偏食、激しいスポーツなど様々が考えられます。これらが原因で女性ホルモンの変調をきたすと発症します。

若年性更年期障害の症状

若年性更年期障害は、女性ホルモンの変調により自律神経のバランスが崩れます。そのため通常の自律神経失調の症状である不安やイライラ、憂うつ感などの症状がでます。
また女性ホルモンの影響による症状、ホットフラッシュ、のぼせ感、末端の冷え、生理不順、骨粗しょう症等の様々な症状も呈します。その他、無月経や早発閉経との関連もあります。

若年性更年期障害と早発閉経

早発閉経は、20から30歳で閉経した場合に疑われます。
様々な原因があり、早発閉経の原因が分らない場合の方が多いです。また症状は、通常の閉経同様に更年期障害に似た訴えを呈する人もいます。
早発閉経ではなく、異なる無月経の場合もあります。

症状

早発閉経の症状は、更年期障害の症状に似ています。早発閉経の症状として、背中から急に熱くなったり逆に寒くなったりします。いわゆるホットフラッシュです。漢方では逍遙熱と言われる病態で、それ専用の漢方薬もあります。
早発閉経の症状で他に、イライラや興奮、うつ状態や不眠、動悸、のぼせや首から上の発汗等が早発閉経の症状として生じます。
漢方薬は、早発閉経の症状を緩和するのに非常に有効です。

早発閉経と東洋医学の古典

黄帝内経素問に東洋医学の閉経に関する記述があります。
漢方の古典、黄帝内経素問の上古天真論に以下の記載があります。
「岐伯が言う、女性について。十四歳になりますと、生殖機能ができます。それは任脉が完全に流通し、血海である衝脈も盛大になってきますので、月経が定期的に下るようになり、それで子を胎む能力が完備するのです。四十九歳になりますと、任脉がうつろになり始め、血海の衝脈が衰えて血が少なくなると、やがて月経も終わりとなり、生殖機能がなくなります。一方、その器官も老化しますので、結局、子供を生むことができなくなるのです。」
東洋医学では、血海の衝脈が満47歳、数えの49歳より早く衰えた状態を早発閉経と考えています。

漢方治療で若年性更年期障害

若年性更年期障害は、漢方治療が最も適した疾患です。漢方では、原因を東洋医学的に分析し、様々な漢方薬を使い分けます。

漢方治療は、単に症状を取るだけではありません。原因となる女性ホルモンの調節や自律神経の調節もすることにより、若年性更年期障害に根本から対応していきます。

若年性更年期障害の漢方薬をご紹介

苓桂朮甘湯

胃内停水があり、舌に歯型、歯切痕があります。性格的に義理堅い人が多いです。のぼせ症の人が多く、立ちくらみが有ったり眩暈、動悸、身体動揺感があります。

連珠飲

苓桂朮甘湯と血虚を補う四物湯を合方した漢方薬です。苓桂朮甘湯に準じますが、貧血や低血圧の傾向のある人が多いです。

桂枝加竜骨牡蠣湯

少陽の虚証で便秘の傾向はなく、やや体質的に弱い傾向にあります。桂枝湯に竜骨と牡蠣を加えた薬方です。鎮静作用が強くなります。
些細な事が気になりクヨクヨして、夢を良く見て、眠りが浅い人が多いです。のぼせて汗が出やすい、臍上悸、臍の上側に触れると動悸の有る人、また髪の毛が抜け易い人が多いです。

桂枝甘草竜骨牡蛎湯

桂枝加竜骨牡蠣湯と名前が似ているので、間違いやすいですが別処方です。動悸や心悸行進が症状として多い傾向にあります。
単独でも使用しますが、喉が詰まったり取り越し苦労の多い人は、半夏厚朴湯と合方する事が多いです。半夏厚朴湯と合方すると過呼吸の発作にも使用されます。

桂枝加桂湯

古方派漢方の中で気の上焦に対する代表処方になります。桂枝湯に更に桂皮を追加し、君火の気を下げます。効果を上げる為に、桂皮もベトナム桂皮ではなく、甘味が少なく精油成分の多い広南桂皮を漢方太陽堂では使用します。

苓桂甘棗湯

少陽の虚証です。下腹部から胸や喉に突き上げてくる不安感で動悸が激しいです。苦しくてたまらず、呼吸が止まりそうになる不安感もあります。激しい心悸亢進に用います。

奔豚湯

少陽の虚証。苓桂甘棗湯と同様に動悸が激しいです。一般的に苓桂甘棗湯より更に発作が激しい場合が多いです。全身を車のエンジンをかけたアイドリング時の様に、ブルブル振るわせる状態を示す人もいます。

交泰丸

若年性更年期障害の方が、眠れない時、不眠症に成った時に頓服として使用します。1日2回、夕方と寝る前に水で服用します。

その他、様々な漢方薬を標治部、或いは本治部として、患者さんの病態に合わせて使っていきます。