患者さんとの「かけ橋」です。漢方相談

太陽堂漢薬局の患者さんに、毎月お配りしています。

漢方治療を少しでも御理解して頂きたく、太陽堂漢薬局での実際の症例を毎月御紹介致します。 患者さんにとって、少しでも御参考・励みになれば幸いです。

(注;東洋医学で言う臓腑経絡は、西洋医学の内臓とは異なります。)

【 痛み・痺れ 】と漢方症例報告

右肩から右手先への痛みと痺れ 2006年1月

(昭和15年生、男性。No.2685)

初老で非常に元気なハツラツとした男性の相談を受けた。

4ヶ月程前より、右肩から手先にかけての痛みと痺れが止まらず整骨院や針灸でも治療したが治らないとの事で相談に来られた。身長160cm、体重55Kg。最高血圧125、最低血圧94。あまり汗もかかず元気な方との事。不眠や不安症状なし。舌診では燥湿中間、舌下静脈が怒張し、強い古血の存在を窺わせる。軟便で1日2行。

右肩0.5合4+に漢方の働きを届き易くする末剤と痛みと痺れを和らげる漢方を見付ける。胸郭出口症候群の証に類似。

1ヵ月後、自覚症状の改善なし。糸練功でも右肩は0.5合のまま。

改善なし。ところが胸膈出口症候群と思われていた右肩0.5合が、五志の憂と云われる別な証に変化している事に気付く。しかも4合にも五志の憂を確認。各々気が詰まり易い体質と気の上焦の強い体質と確認する。

薬方変更1ヵ月後、患者さんも少し良い気がするとの事。糸練功でも4.5合と6.5合に改善し始める。

5ヵ月後、痛みも痺れも殆ど消失したとの事。その後2ヶ月漢方治療を続け、漢方治療を終了し廃薬とした。

最初に診た痛みと痺れを和らげる漢方は経筋の症だったと思われる。

また古血の存在が有っても単純に「痛みは血」と病状を全て古血に結び付けてはならない事。

不眠や不安がなくても、自律神経の異常と考えられる五志の憂が原因となる事など多くを勉強させられた症例であった。

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痛み-全身が痛く寝返りも出来ない男性 2003年1月

(昭和23年生、男性。No.1767)

健康037

患者さんは49歳の男性。昨年9月より全身に痛みが有り、寝返りも出来ない状態。

特に首から肩にかけて痛みが酷い。夜も痛くて眠れない。

非常に酷い状態で苦しそうである。現在まで針、お灸、整形外科と治療をしてきたが、全く効果がなかったと言われる。

現在は整形外科の鎮痛剤を服用中である。

身長162cm、体重56㎏。舌に歯切痕があり水滞が認められる。

眼瞼は白っぽく貧血症が窺える。小便は昼間に10回以上、夜間に3回位。大便は軟便である。

糸練功で調べると痛みの部分と五志の合数が重なる、腎の臓陽証3合Ⅲ。

典型的な知覚神経障害である。一般的治療で治らなかったはずである。

5月29日、気の上焦を改善する漢方薬と中焦の清熱作用のある丸剤を投与

7月10日、腎の臓6合Ⅰに改善。「少し良いような気がするが、まだ痛みは変わらない。」と言われる。

11月5日、8合+(3)に改善。「痛みを忘れる事もあり、調子が良い。」と言われる。

翌2月2日、10合±(1)に改善。痛みは消失。「治ったので漢方薬を止めて良いか。」と尋ねられる。「症状が消えた時点が治療終了ではなく、漢方薬を飲まなくても再発しない時点が治療終了である。」事を説明。

翌7月5日、10合±になって3ヶ月経過。治療終了となる。

踵の痛み・足関節の発赤・腫脹 2014年11月

(大正14年生、女性。No.6611)

風景031

右足の甲や足関節周りの発赤、腫脹と歩行時の踵の痛みでお悩みの女性から相談を受けた。

糸練功でお調べした所、右足関節に対して自己免疫力を高める漢方薬を確認した。主に自己免疫疾患などが関係する関節痛によく使われる処方になる。

服用1ヵ月後、足関節の発赤・腫脹に対しては改善傾向を確認したが踵の歩行時痛には変化が見られなかった為、再度お調べした所、骨の炎症を取る漢方薬を確認した。お出しした漢方薬は骨端炎に対して良く使われる処方になる為、養生法としてスリッパなどを履いて頂き、日常生活の中でなるべく踵に負担を掛けないようお願いした。

服用5ヶ月程で発赤は軽減し、歩行時の踵の痛みは大幅に改善が見られたが、足首から先の浮腫みの状態が残ってしまった。

糸練功で浮腫みに対してお調べした所、免疫力を高める漢方薬とは別に血栓が原因と考えられる体質を確認した。

漢方薬は1つの処方を飲む事で、一見関係無さそうな複数の症状を同時に改善出来る事もあれば、今回のケースのように右足関節周りの症状に複数の原因が混在しているために複数の漢方薬の服用が必要になるケースもある。

免疫力を高める漢方薬に加えて駆瘀血作用のある漢方薬も服用する事で足首から先の浮腫みの改善も順調に進み、歩行時の足取りが軽くなったと喜んで頂いた。

背中・肩・首の凝りの原因を治療してから 2017年7月

(1947年生、女性。No.6974)

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広範囲に背中の張りの症状が強く表れ、重い状態が続いている女性からご相談を受けた。酷くなると歯の方に違和感が出てくると言われ、湿布薬で対応するなど、特に治療をされていなかった。

お身体の状態をお調べした所、背中に凝りが起こり易い体質と、首と肩に凝りが起こり易い体質を確認した。

この2箇所の治療ポイントの共通点として、左の顎関節にそれぞれの証と同じ合数の反応を捉えていた。原因が噛み合わせの可能性が高い事をお伝えし、噛み合わせを改善するご養生をお伝えし、「凝りをほぐす漢方薬」と併せて治療を開始した。

漢方治療1ヵ月経過した時は「凝りの症状が半分位まで和らぎ、同時に動悸も改善された」とご連絡を頂く。治療が順調に進んでいる中、腰を痛めてしまい、そちらの方が辛いと仰っていた。腰の治療を進める事も出来たが、みるみる改善されている、背中から首の凝りの漢方治療は続けて頂き、腰に負担を掛けない様に無理をせずにコルセットを使用する事で対応をして頂いた。

8ヵ月経過した頃には調子良くなったため、漢方薬をお休みされた。

お孫さんをお預かりする事があり、子供を見ていると背中などに負担が掛かり、漢方薬を服用していた方が調子が良いと再開された。

左の顎関節が原因と思われる凝りは、症状が取れるまでがとても早く、再開された後も1ヵ月すると症状は落ち着かれていた。原因と思われる部分を特定出来た事が改善速度に繋がる症例だった。

最後に

東洋医学の治療は、西洋医学と異なり体質改善や原因療法の傾向が強いです。それだけに、効果の出る時間に個人差があります。「かけ橋」・「多くの漢方治療歴」が、患者さん同士の希望に繋がることを願っています。

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