陰陽と補瀉

2020年8月6日;
漢方の治療法に「補瀉(ホシャ)」と言う概念が有ります。
「補う」か「瀉す」か。
正反対の治療法になります。

◎一般に【虚証は、体質・体力的に衰えていると。実証は、体質・体力的に充実している】と解釈される場合が多いです。
しかし東洋医学では本来、虚とは正気(セイキ)の虚を指し、実とは病邪(ビョウジャ)の実を指します。
正気とは「身体を守り治す能力」。病邪とは「病の重症度」と考えれば分かりやすいです。

◎補瀉に関しても【補とは、虚証を補う(免疫力を上げ守る)。瀉とは、実証を瀉す(攻める)】と勘違いされています。
東洋医学の古典、黄帝内経(コウテイダイケイ)素問(ソモン)の陰陽応象大論(インヨウオウショウダイロン)篇第五に「即ち、病の陰陽、虚実、寒熱を審らかに診察し、補瀉を行うのであります」と記載されています。
補瀉とは、虚実だけでなく、陰陽、寒熱をも含めた全体像に対する治法です。虚証・実証だけの狭義の治法ではありません。

漢方薬の中に
峻補(シュンホ)と呼ばれる「紫荷車(シカシャ)、鹿茸(ロウクジョウ)、蟾酥(センソ)」
峻瀉(シュンシャ)と呼ばれる「麻黄(マオウ)、大黄(ダイオウ)、芒硝(ボウショウ)、竜胆(リュウタン)・・・」が有ります。
これらの漢方薬は非常に速い効果が期待されます。

次に効果が早い漢方薬は
大補と呼ばれる「人参(ニンジン)、当帰(トウキ)、黄耆(オウギ)、山茱萸(サンシュユ)、芍薬(シャクヤク)、膠飴(コウイ)、大棗(タイソウ)」
大瀉と呼ばれる「桃仁(トウニン)、枳実(キジツ)、桔梗(キキョウ)・・・」が有ります。

これらの「峻・大」を用い効果が遅い場合、漢方薬が合っていない可能性もあります。
一つの目安になります。