東洋医学の陰陽とは

漢方コラム

2024年2月27日。写真は、広島県福山市、真言宗明王院です。

解剖学の臓器の反応は陽面

人間の身体は、陰面に小宇宙の病因の気血水と六臓六腑が出ます。

陰面の腹診の深さ

  1. 甲把南栄先生の気血水や風毒塊は、腹診の表面にでます。皮膚の表面の感覚です。
  2. 六臓六腑の腹診は病因の気血水より少し深くでます。皮膚の下の筋肉の表面の感覚です。
  3. 一番深く出るのは古方の腹診です。筋肉層の感覚です。

それでは陽面には何が出るのでしょう

病ごとの反応穴は主に陰陽面に出ます。

陽面は西洋医学的な解剖学の臓器を診るのに適しています。心臓や肺、肝臓、すい臓、腎臓、副腎などです。リウマチや変形性膝関節症などの関節も陽面から診た方が見やすいです。陰面から診ると小宇宙が邪魔するのか診にくくなります。

陰陽二元論

東洋医学の陰陽では、陰に身体が傾くと陰病と言う病になります。陽に傾くと陽病という病になります。陰と陽がバランスを取っている太極が健康状態です。太極とは何も無い状態ではなく、陰気と陽気が混ざり合い平衡になっている状態です。

食養生の陰陽

食事にも陰陽があります。太極の食事を目指します。

肉と野菜。陰陽

食事では牛肉やマトン、マグロなど赤身の肉は陽です。葉野菜やアクや苦みのある野菜は陰です。食事で陽の物を摂ったら、その分だけ陰の物も摂りバランスを取ります。

根菜類と果物、豆類。升降

根菜類は升ですので陽の場合が多いです。但し牛蒡などアクのある根菜類は降で陰になります。果物や豆類は、一般的に降です。根菜類を摂ったら果物や豆類を摂り、升降のバランスを調えます。

食養生の一物全体が出来あがります。

海藻と酢。酸性アルカリ性

海藻は水溶性繊維が豊富です。同時にミネラルも豊富です。ミネラルは腎に属し潤の働きです。生薬の牡蠣なども同じです。

海藻類のミネラルはアルカリです。酢は酸性です。ワカメの酢の物は、酸とアルカリのバランスが取れています。

魚と酢

焼き魚にレモンや柑橘系をかけるのも、焼き魚の骨のミネラルを酸性のレモンで引き出すためです。魚の煮付けをする時も酸性の梅干しを劈いて入れます。魚の南蛮漬けも同じです。

また海産物は身体を冷やす傾向にあります。酸味は身体を温める傾向にあります。一般に果物は身体を冷やすと勘違いされています。果物は降ですが果物の酸味は肝に属し温です。海産物の涼を柑橘系の酸味の温で中和します。

季節と時間の陰陽

季節と1日の陰陽を説明します。年齢にも同じ陰陽があります。

春は陰中の陽で、陽です。

1日では明け方の3、4時から日の出までです。交感神経が緊張を始めます。中途覚醒をしやすい時間でもあります。また血圧も上がりだします。

夏は陽中の陽で、陽です。

1日では日の出から正午までです。太陽が真南に来た時です。日光東照宮の国宝の陽明門は南にあります。

秋は陽中の陰で、陰です。

1日では正午から日の入りまでです。気温は午後2時位が一番高くなります。しかし太陽は西に傾き勢いを失っていきます。

東洋医学の陰陽は現症や結果ではありません。勢いを指しています。ベクトルの向きが陰陽です。

冬は陰中の陰で、陰です。

1日では日の入り以降です。

季節の陰陽の過ごし方

黄帝内経素問の四気調神大論篇第二に養生法が書いてあります。

春は発陳。発生の時期

  • 養生は発生。
  • 発陳の陳はふるきです。古きを押し出し新しい事を始めるの意味です。
  • 肉体的には、緩やかな散歩をしなさい。少しづつ身体を動かしだします。
  • 精神的には、志を起こしなさい。
  • 植物では、お米など種まきする新芽の季節でもあります。

夏は蕃秀。発散の時期

  • 養生は発散。
  • 蕃秀は成長するの意味です。
  • 肉体的には、陽気を体外に発散させなさい。身体を動かし汗をかきなさい。
  • 精神的には、志を昂らせなさい。
  • 植物では、お米などが一番成長する時期です。

秋は容平。収斂の時期

  • 養生は収斂。
  • 容平の容は形、平は定めるです。すべての形を定めて行きます。
  • 肉体的には、やたらと動かず、冷えを受けないようにします。
  • 精神的には、志を安らかに、悔やまず、ゆったりと。
  • 植物では、お米など収穫の時期です。

冬は閉蔵。閉じこもりの時期

  • 養生は閉じこもり。
  • 閉蔵は蔵の戸を閉じ陽気を出さないの意味です。
  • 肉体的には、身体を温かく発汗しないこと。動き過ぎない。
  • 精神的には、気を静め志を伏せ隠します。
  • 植物では、来年の種まきの為に種子を蔵に保管します。

1日の陰陽に対する養生も同じく、発生、発散、収斂、閉じこもりです。