絶え間ない胸焼けに苦しむ女性

逆流性食道炎

ゲップや少食、逆流性食道炎等の胃腸病。かけ橋掲載分

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病院の診断は逆流性食道炎

1947年生、女性

患者さんは、逆流性食道炎による絶え間ない胸焼けに苦しんでおられた。
1年ほど病院に通い治療をしたが改善しなかった。知り合いに紹介されたとの事で漢方治療を希望し来局された。

病院の診断は逆流性食道炎だと言う。身長168センチ、体重60キログラム。舌は白苔がありやや乾、軟便がち。余り汗が出ず、やや不眠がちである。少陽病中間からやや実証と思われる。
糸練功にて、背部より胃から噴門部、食道部分を調べる。噴門部と思える辺りに反応が強く食道部分まで反応がある。臓腑診断をすると胃の腑陽証0.5合3プラスに異常がみられる。
五志の憂は胆の腑1合2プラスに異常が確認される。
糸練功の結果に基づき、食道炎の煎じ薬と、五志の憂に2種類の粉薬を選薬した。
3ヵ月後、食道炎3.5合、自覚症状は改善せず。患者さんに糸練功でみると改善が始まっているので諦めず治療をするよう指導した。
4ヵ月後、食道炎6合。少し胸焼けが軽くなったそうである。
6ヵ月後、明らかに胸焼けが少なくなり、たまには忘れることも有るとの事。
7ヵ月後、胸焼けが全く無くなり、本人は「先生治りました」と嬉しそうである。
その後、2ヶ月ほど現在の薬方で治療し、再発防止へと移った。

胃腸病。6、7年続くゲップ、胃弱、夏バテ

1962年生、女性

ゲップでお困りの婦人から相談を受けた。
相談中も、10秒に1回ずつ「ゲボッ、ゲボッ」という音のするゲップが出ていた。その他、胃弱、少食、下痢、夏バテ、脊中側湾症などの症状を訴えられていた。
ゲップの状態に胃症状を整える漢方薬の体質を捉えた。この漢薬で下痢や食欲不振も改善すると思われた。体力をつける体質改善も併せて取り組む事とした。
漢方薬服用開始から3ヵ月後、下痢が無くなった。
しばらく経った時、妊娠希望の相談を受け、妊娠しやすい体質造りも並行する事とし妊娠もされた。本来のゲップの治療も合数改善が順調に進んだ。胃の調子は徐々に良くなりゲップも治まってきた。ゲップがすっかり良くなり、合数も10合プラスマイナスの状態が続いた。
安定した状態が3ヶ月続き、治療終了となった。

ゲップは、胃からの空気が食道へ逆流して生じる。同じように胃酸が逆流する逆流性食道炎にも胃症状を整える漢方薬が有効である事を、その後に発見し学会報告をした。
胃症状を整える漢方薬は、腹部全体を整える漢方薬に1味を加えた漢方薬である。腹部全体を整える漢方薬は脾胃の水毒胃内停水と心下の熱証に用いる。嘔吐や腹鳴、ガス、下痢などの症状に効果がある。加えた1味は気痞、気滞を開く。1味を加える事で心下の痞え、胃腸内発酵を改善する。
心下熱水の下降は下痢を生じ腹部全体を整える漢方薬に1味を加え腸症状を整える漢方薬を。
心下熱水の上行は胸焼け、ゲップ、吐き気を生じ胃症状を整える漢方薬を用いる。

胃腸病。頻尿と胃痛

1934年生、男性

2005年1月、70歳代前半の男性の相談を受けた。
毎日ではないが、空腹時や疲労が重なると胃痛が生じる。またトイレの回数が多く、就寝後は3回程トイレで目が覚めるとの事。
胃痛、頻尿に対してそれぞれ漢方薬をお出しした。
服用開始2ヶ月後、胃痛が少しずつ和らいできた。頻尿や尿の切れの悪さなどの自覚症状の改善は、まだみられなかった。
下半身の血行が悪くならないよう、毎日散歩を励んでおられた。
その後、動脈硬化による脳血流の低下がみられ、そちらに対しても漢方薬を服用する事となった。
服用開始半年後、胃痛の回数が激変し、1回の排尿量も増えてきた。脳血流も順調に改善し、改善と共にイライラが少なくなってきた。1年後のMRI検査も良好な状態となった。
症状は安定しているが、痩せ型で疲れやすい。体力がつく漢方薬も追加提案をし、初回ご相談時から2年半後に胃痛、脳卒中の原因となる脳動脈硬化の漢方薬が卒業となった。
その後、息継ぎが速い、息切れとのご相談を受け、呼吸促迫、体力増強と腎の老化防止に対して漢方治療を進めた。
投薬半年後には息切れも随分安定されてきた。ご相談は、毎回息子さんからだった。お父様のお身体を気遣われており、大切にされているお父様は幸せだなと心が温まった例である。