漢方治療をご希望の不妊症。かけ橋掲載分
太陽堂漢薬局の患者さんに、毎月お配りしています。論文、改善例のご案内はこちら
妊娠。10年来の不妊症
1965年生、女性
39歳の女性の相談を受けた。28歳で結婚し妊娠を望んだか妊娠せず、タイミング療法、顕微授精、漢方治療をしたが妊娠する事はなかった。
切ない程の訴え
「私には妊娠が無理なんでしょうか」と切ない程の訴えであった。患者さんは、冷え、逆上せ症で顏が赤く、胸焼けがあり多汗症である。以前に漢方治療をした時は、冷え性が酷くなったそうである。糸練功で調べると大腸の腑陽証1合4プラスに瘀血を確認。甲字湯加黄芩証である。
4月4日
甲字湯加黄芩、牛黄清心元を投薬。4月26日、右卵巣に嚢腫らしい瘀血を確認。甲字湯加黄芩証は2.5合に改善傾向。
6月2日
甲字湯加黄芩証に更に追加し、右卵巣の嚢腫らしい瘀血の治療を開始。駆瘀血丸を選薬。
6月16日
妊娠反応あり。「ありがとうございます。主人の精子が少ないという事で、顕微受精をして駄目で。腹痛の為に入院や卵巣の腫れと、良い事が無かったので。本当に自然妊娠したという事に驚いています」患者さんも驚いたが、私も驚いた。
駆瘀血剤で早期妊娠に至ったと思われる
甲字湯加黄芩と嚢腫目的で選薬した駆瘀血丸で瘀血の除去が早くなり、早期妊娠に至ったと思われる。この患者さんには流産防止の治療の為、その後当帰芍薬散や人参当芍散を選薬し服用して頂いた。
妊娠。不妊症の30歳の女性
1972年生、女性
30歳の不妊症の女性の相談を受けた。現在まで、婦人科で排卵誘発剤の治療を受けていたが妊娠せず、漢方治療を希望し来局された。
結婚して3年間、妊娠の経験は1度も無い。病院の検査では、ご主人の異常は認められなかったそうである。
問診を行うと、生理周期は20日から27日、高温期が短く、透明から白黄色の帯下が多量にあるとの事で、強い血虚が伺える。また婦人科では卵胞の膜が厚いと指摘されたとの事。中肉中背で口渇があり発汗が多い。舌診は、やや乾燥し微白苔。舌下静脈の中程度の怒張が認められる。
不妊症の反応穴を調べる
糸練功で不妊症の反応穴を調べる。肝の臓、陰証0.5合5プラスに異常を認める。血虚だけでなく抗核抗体の問題も有るような感じを受けた。
8月3日
当帰散とスクアレンを投与。8月31日、肝の臓5合2プラスに改善。帯下が減少したとの事。この日、初回相談の時に気付かなかった別な血虚を4合1プラスに発見。追加投薬をせずに様子を見る事とする。
10月5日
肝の臓6合1プラスに改善。別な血虚は、投薬しなかったにも関らず8合プラス3に改善。糸練功でみると、妊娠しているように感じる。
患者さんに「妊娠しているかもしれません」と告げる。
11月8日
電話があり、病院で検査した結果、「双子を妊娠しました」と大喜びで連絡があった。
妊娠。不妊症と脱肛、痔核
1977年生、女性
30代の女性から不妊症の相談を受けた。結婚してから2年半が過ぎたが、なかなか妊娠に至らないとの事だった。
漢方治療開始から僅か3ヶ月で妊娠陽性反応
不妊症以外にも痔核、脱肛や甲状腺機能低下症、アレルギーなどの症状もあったが、まずは不妊治療を優先して取り組む事にした。糸練功でお調べして瘀血体質と低体温に対して温経湯と白朮散を合方した漢方薬で治療を開始した所、僅か3ヶ月で妊娠陽性反応が確認された。
基本的に漢方薬治療はじっくりと体質改善を行う事で妊娠の確率を高めていくものだが、何年も出来なかった方が漢方薬服用3ヶ月前後で妊娠する事も決して珍しい事では無い。
悪阻症状の漢方薬
妊娠後は胎児が元気に育つように安胎薬に切り替え、悪阻の症状が出た時も漢方薬で対応した。
妊娠6ヶ月を過ぎると段々と痔核の痛みと脱肛症状の悪化が見られるようになった。妊婦さんは胎児が大きくなるにしたがってお腹の圧力が高まるため、どうしても痔の症状は悪化する傾向にある。
妊娠中の痔核の悪化
この時は妊娠中でも安心して飲める漢方薬と提肛運動をして貰うことで症状も落ち着いたが、出産間近になると再び脱肛症状と痔核部分の痛みが悪化するようになった。
無事元気な赤ちゃんを出産したものの出産により更に肛門部の症状が悪化した為、今度は正式処方として痔核に対して乙字湯、脱肛に対して補中益気湯をお出しした所、1週間ほどで急速に症状が改善したと喜んで頂いた。