椎間板ヘルニア

腰痛

椎間板ヘルニアについて

椎間板ヘルニアの構造は、脊椎、背骨は椎骨という骨が26個連結してできています。上から、頚椎が7個、胸椎が12個、腰椎が5個、仙骨、尾骨に分かれ、骨盤につながっています。
正常な脊椎は図のようにS字にカーブしており、このカーブのお陰で二足歩行ができ、姿勢のバランスをとり、運動の衝撃や筋肉の負荷を減らすことができます。

頚椎の上には頭蓋骨が、胸椎には肋骨が付属しています。椎骨と椎骨との間には、椎間板という軟骨と繊維輪など軟らかい組織があって、クッションのような働きをしています。

椎間板ヘルニアとは

椎間板ヘルニアは、働き盛りの男性に多くみられる腰痛です。クッションは水分をたくさん含んだゼラチン質の髓核と、繊維輪と言う取り巻く軟骨組織から成っており、腰椎に加わる力を分散させ、クッションの役割をしています。

このクッションは体の動作によって常に酷使されているため、老化は20代から起こります。繊維輪の弾力はなくなり、小さい亀割ができ、圧迫された髓核は繊維輪の亀割から押し出されてしまうのです。
そして、この押し出された髓核が神経を圧迫し、腰に痛みが起こる状態、これが椎間板ヘルニアです。

高齢者より20代から40代の若い男性によく起こりますが、これは若いと髓核に弾力があるため、髓核が脱出しやすくなるためです。
腰椎の中で一番酷使されるのが、第4腰椎と第5腰椎の間と、第5腰椎と仙骨の間にあるクッションであり、最も椎間板ヘルニアを起こしやすいのもこの部位です。

椎間板ヘルニアと漢方

椎間板ヘルニアの痛みは漢方の得意分野です。辛い痛みを我慢していませんか。塗り薬や湿布薬、鎮痛剤で一時的に楽になったり、いずれは手術しか方法がないと言われたり。諦めないで。
痛みの治療は、漢方の得意分野。同じ病状でも、証の症状、体質によって用いる方剤は異なります。
急性に対して、附子剤など温める薬剤を用いると、かえって症状が悪化してしまいます。
逆に、慢性に対して、麻黄剤など利水、発表を良くして炎症を抑える薬剤を用いると、症状の改善がみられなくなってしまいます。

漢方薬を飲む時は、必ず証の症状、体質に合ったものを飲まないと効果がないのです。漢方太陽堂では、問診と糸練功にて貴方にピッタリの証をお選び致します。
椎間板ヘルニアは、漢方太陽堂が最も得意とする分野です。ぜひご相談下さい。

西洋医学的なアプローチ

椎間板ヘルニアに対する西洋医学的なアプローチをご紹介していきます。様々な治療法がありますが、基本的に対処療法が主となり、根本的な方法は西洋医学では手術のみとなっているのが現状です。

日常生活での指導

椎間板ヘルニア、腰痛の原因は数多くあります。その原因や症状によって治療方法が決定しますが、痛みが急激にある場合はまず安静にするということが原則となります。

薬物療法

薬物療法は、他の治療と併せて行われることが多く、現在は消炎鎮痛剤や非ステロイド性の内服薬、座薬が主流となっています。
他には筋弛緩剤、ビタミン剤、骨粗しょう症治療薬、プロスタグランディン製剤が用いられることもあります。
できるだけ腰椎に負担がかからないように、長時間の立つ、座るの姿勢を避けたり、コルセットなどを着用するのが良いです。

理学療法

理学療法としては椎間板ヘルニアには様々な方法が用いられます。今回はその中でも代表的な方法をご紹介します。

温熱療法
ホットパック、赤外線、マイクロウェブなどがよく用いられます。この温熱療法によって患部、患部付近の血流を改善させることで筋肉の緊張をほぐし、痛みを和らげます。

牽引療法
牽引には大きく分類すると二種類に分けられます。そのうち一般的に行われているのは機械牽引です。牽引は個人個人筋肉量が違うため過度に引っ張り過ぎたり、逆に引っ張る力が足りなかったりと、非常に難しいです。そのためか治療期間の短縮や症状改善にどの程度有効なのかは、議論があるようです。

運動療法
これは症状が急激で痛みが強い時はできませんが、痛みが和らいでいる時には改善の手助けになると思います。直接患部に負担をかけないように、患部付近の筋肉を付けて、患部の負担を和らげます。

物理療法
神経が圧迫され、下肢痛が重い場合などに、神経に局所麻酔とステロイドホルモンを注入して一時的に痛みを止めてしまう治療です。
方法は様々ですが、ここでは脊柱管内に行う硬膜外プロック、神経根そのものに行う神経根ブロックなどがあります。

神経根ブロック
即効性のあるブロック注射です。この方法は治療だけでなく、疼痛の再現性を確認することにより診断の一つにも用いられているようです。またブロック注射直後は、ほとんどの場合で疼痛は消滅しますが、この方法でのブロック注射は穿刺時の痛みが強く、神経根損傷の可能性も有るため、頻回に施行することはありません。一度のブロック注射でその後再発もしないような著効例もありますが、約1時間程度しか効果が得られない場合もあるようです。

硬膜外ブロック
下位腰椎の疾患による腰痛や坐骨神経痛に効果が有るようです。また、薬剤が病変部に到達せず無効な場合も用いるケースがあります。

椎間板ヘルニア。西洋医学的には最後は手術

椎間板ヘルニアが、薬物療法や理学療法などを用いて効果が見られず、日常生活に支障をきたす場合に適応となることが多いです。
各病態に対して手術方法が選択され、その方法は様々です。現在では数十分で終わる手術もあり、手術しても日帰りで済む場合も少なくありません。
ただ、その後完全に症状が消失するかどうかは不透明な部分もあり、何度も手術される方も多いようです。

日本独自の漢方

椎間板ヘルニアに使用する薬方で、日本古方派の始祖である、京都の吉益東洞が、桂枝加苓朮附湯という処方を作りました。
桂枝加苓朮附湯は、日本独特の漢方薬であり、腰痛、坐骨神経痛、関節痛などに使われます。吉益東洞は、湿度の高い盆地である京都で、湿による神経痛の方剤を開発しました。全国的に湿度の高い日本の風土に合った薬方です。
乾燥した中国の大陸と日本は環境が異なります。そのため日本独自の治療があります。