自覚症状として上腹部痛、四肢の冷えを訴えられ

その他の消化器疾患

急性膵炎との診断。かけ橋掲載分

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膵炎の再発防止

1967年生、男性

病院にて急性膵炎との診断を受けた男性より相談を受けた。

男性は、急に腹痛を訴え病院に行った所、アルコールによる急性の膵炎という事で、そのまま入院となった。幸い快方に向かい、二週間ほどで退院できる見通しとの事。
退院後、再発防止のため漢方治療をしたいとの事だった。
糸練功にて確認した所、0.2合に膵臓の反応で中焦の痛み、更に痛みが強い証を確認する。不眠もあるとの相談の為、どちらも治療が出来るように組み替え代用にて治療開始。

漢方治療から2ヵ月後、膵臓の反応は3.9合まで改善していた。自覚症状も全くないとの事で順調に回復を見せていた。本人の希望により、膵臓のみの治療に専念したいとの事で症状を和らげる煎じ薬と沈静作用を目的とした薬味での治療に切り替えた。
漢方治療から9ヵ月後、膵臓の反応は7.5合まで改善していた。ここまで自覚症状も出る事なく引き続き順調に回復を見せた。
漢方治療から1年10ヵ月後、膵臓の反応は10合から落ちる事なく治療終了となった。

18歳の青年の慢性膵炎

1986年生、男性

当時、18歳の青年から膵炎の相談を受けた。自覚症状として、上腹部痛、四肢の冷え、手掌汗、鼻閉を訴えられていた。

慢性膵炎に対して、漢方治療では、筋の痛みと収縮と神経を緩める湯剤と沈静効果のある煎じ薬を頻用する。
この青年にも上記の煎じ薬が合っていると判断した。
四肢の冷えと手掌汗に対して、抑うつ傾向のある証を五志の憂にて確認。交感神経が昂り、末梢血流が低下している状態である。鼻閉も、同じく抑うつ傾向のある証の変方である上焦の風熱を散させる薬味を加えた証だった。

膵炎と自律神経を調節する漢方薬を投薬した。

漢方治療開始から1ヶ月後、膵炎は3.5合、自律神経は5合まで改善され、すこぶる順調なスタートを切った。
更に1ヶ月後にはどちらも6.8合となった。それから3ヶ月後、上腹部痛は無くなった。痛みが無くなった1ヶ月後、10合プラスマイナス1の状態となった。

漢方治療開始から1年が経った時、膵炎は10合プラスマイナス、自律神経は10合プラスマイナス1まで改善され、漢方薬を減量した。その後、自覚症状、合数とも安定し、漢方薬を卒業した。

急性、慢性どちらの膵炎に対して、今まで多くの漢方薬での著効な例を経験してきた。刺激物の制限など、食養生も必要であり、養生を守ることが重要である。

膵炎。蓄膿症。アミラーゼ値の異常

60歳代、男性

今から10年程前、60代男性から副鼻腔炎の相談を受けた。
過去に痔核と脱腸の手術を受けた経験がある。主訴以外のご病状として、肩こり、胸焼け、ぎっくり腰で長く立てないなどの症状があった。

副鼻腔炎は体表の化膿症に対する漢方薬を、その他のご病状は全て腎血虚改善剤で対応出来ると思われた。
合数が順調に改善されてきた頃、慢性膵炎によるアミラーゼ値の上昇がみられるようになった。膵臓の炎症を抑える漢方薬も追加投薬した。その後、副鼻腔炎が随分改善され間もなく漢方薬を卒業した。

また、腎血虚改善剤を副鼻腔炎の再発防止と腎血虚のどちらにも効果のある漢方薬へ切り替えた。
アミラーゼ値に対する漢方薬を3ヶ月服用した所で、再発防止力を高める方法をとった。半年後、アミラーゼ値が正常値になった。
その後、7年前に手術した脱腸が再発。内臓筋を鍛える漢方薬を投薬した。しばらく体調の良い日が続いていた。腎血虚改善剤も卒業し、脱腸の漢方薬を続けていた所、年々アミラーゼ値が上昇してきた。脱腸の状態が安定していたので脱腸の漢方薬を休止。再度、膵臓の炎症を抑える漢方薬を投薬した。
数ヵ月後には、慢性膵炎の数値も正常に戻り安定した日が続くようになった。

膵炎。心下右横の痛みの女性

1942年生、女性

相談に来られた女性は、みぞおち右横の部分に痛みを訴えられた。
病院での検査では異常はなく、既往症にC型肝炎がある。痛みは強く1年程前から続いているという。最近は少し精神的に参り、うつ気分になっているとの事。
今までも本例のように病院の検査で異常が見つからず胃の右横辺りに痛みを訴えられる例に何例か当った事がある。膵炎、膵石、知覚神経障害等をまず推測してみた。
糸練功で背部より、患者さんが痛みを訴えられる部分をチェックしてみた。大腸の腑陽証の反応が0合にある。五志の憂の反応が2合に確認された。

大腸の腑陽証の反応に膵石に効があると言われる金銭草類、五志の憂に肉体的、精神的にデリケートな方で更に胃内停水がみられる証の代用としてカプセル剤を選薬した。痛み止めとして1日2回芍薬甘草湯を投与。
1ヵ月後、痛みが減少し芍薬甘草湯を1日1回に減量。
2ヵ月後、軽くなっているが痛みあり。腹部に経筋の証が出現している。青皮製剤とミネラル豊富な粉剤を追加投与する。芍薬甘草湯を中止。
6ヵ月後、痛みはなくなったとの事。
10ヵ月後、糸練功の結果が10合プラスマイナスになり安定した為、治療を終了する。
その後、この患者さんはC型肝炎の治療も行った。

膵炎。胃部の違和感

1946年生、女性

患者さんは14、15年前より、胃部の不快感があり彼方此方の病院を転々としていた。しかし症状は改善せず、近頃では胃癌ではないかと心配していた。漢方太陽堂の噂を聞き、相談に来られた。
問診すると、胃部分に痛みが時折あるとの事。また左背中部分にも痛みと凝りがある。他には尿の回数が少ない位で大きな異常は認められない。舌診でも特に異常が認められない。本人は胃癌ではないかと訴えられる。
糸練功で調べると胃には異常は認められない。肝臓や胆嚢にも異常は感じられない。しかし膵臓部分には明らかな異常が認められる。漢方医学の証を取ると中焦の痛み、更に痛みが強い証である。

膵臓部分の同証は慢性膵炎しか考えられない。念の為に膵石を調べるが認められない。患者さんに「胃癌ではないと思いますけど」と告げる。
4月8日、胆の腑瀉2合5プラス。免疫力をつける曲蔘粉製剤とミネラル粉製剤を1日2回同時服用するように指示した。
6月10日、4合2プラスに改善。痛みが少し軽くなる。
8月26日、6合1プラスに改善。

9月19日、8合プラス2に改善。痛みは殆んど無く、最近は癌の心配もしなくなったとの事。
10月21日、9合プラス1に改善。症状は全て消失。
12月9日、10合プラスマイナス。治療終了を告げる。再発防止に曲蔘製剤とミネラル製剤を1日1回続けるように指示した。