脂肪肝

肝炎

肝臓と油脂との関係

肝臓は、油分である動物性油、植物性脂と親和性が高い臓器です。

肝臓に脂肪が蓄積すると、肝臓の血液検査でガンマーGTPが上昇します。

脂肪肝になると、血液が粘っこくなります。その結果、動脈硬化や血栓が出来やすくなり心筋梗塞や狭心症を起こしやすくなります。
また血糖値が上昇することにより、ヘモグロビンAワンCが大量に造られ、更に血栓症が進行します。

脂肪肝の人は、様々な成人病を引き起こしやすくなります。更に放置すると10年程で肝硬変から肝臓癌へと進行する人もいます。

脂肪肝に何故なるのか、蓄積するシステム

人類は文明が発達する以前は朝昼夕の3食を毎日食べていたわけではありません。
食料が取れるまでの期間を生き残るために、私達の身体は、脂肪を蓄積するシステムを持っていました。今の飽食の時代には必要のない身体のシステムです。

脂肪が腹部へ

食べた糖質は、体を維持するエネルギーとして使われます。
使われずに余った糖質は脂肪に変換されます。そして肝臓に蓄積され肝臓から溢れた物は、肝臓の周囲に蓄積されます。

更に多くなり余ると、腹部を中心として蓄積されます。これが脂肪肝です。

食後にお腹が出るのは、肝臓から溢れ腹腔内に既に貯まっていると考えられます。脂肪肝になる可能性があります。

人に寄っては、肥って見えないのに脂肪肝に成っている場合もあります。

蓄積される脂肪

原因は、食事と運動不足です。食事で摂った油脂は、脂肪酸とグリセロルに分解され、肝臓で中性脂肪に合成されます。

また糖質の炭水化物、甘い物、ご飯、パン、麺類などは、ブドウ糖に分解されます。インスリンの働きにより摂りすぎたブドウ糖は、肝臓で中性脂肪に合成されます。

脂肪肝とアルコール

脂肪肝と関連の深いお酒ですが、アルコールを摂ると、アルコールの分解過程で中性脂肪が合成され、肝臓に蓄積されます。

アルコールの摂り過ぎはアルコール性肝炎を引き起こします。脂肪肝と同様にγGTPが上昇します。

脂肪肝に成り難い食事とは。食事内容で油脂の蓄積が異なります

  1. 消化の良いものは吸収率が高くなります。お米でも精米が進んでいる白米が消化が良く、7分つき、玄米と消化が悪くなります。
    麦そのものは消化が悪いですが、加工したパンや麺類等は消化が良くなり急激な血糖値の上昇を招きます。
  2. 血糖値が急激に上昇すると大量のインスリンが出るため肝臓で中性脂肪を合成します。肝臓に油脂を貯めやすくなり脂肪肝に成り易くなります。
消化の悪い食材から

食事でも、まず消化の悪いものを胃の中に入れ、消化の良いものを徐々に胃に入れ吸収率を下げます。
生野菜、火を通した野菜、肉、魚類、ご飯、パン類、麺類等の炭水化物の順番で吸収率が上がります。
野菜、肉、魚、炭水化物へと消化の悪いものから消化の良い物へと食事をしていきます。
果物は糖類の吸収率が高いので気をつけないといけません。

一般的に繊維性の物は消化が悪く、加工品ほど消化が良くなります。加工食品を減らし、外食を出来るだけ避け、自宅で家庭料理を多くすることも大事です。

脂肪肝と漢方治療

脂肪肝に対する漢方治療を御紹介します。

東洋医学では脂肪を落とす漢方薬を使用します。肝機能の状態に応じ、ガンマGTP、AST、ALT等や肝臓を改善する漢方薬も使用していきます。
一般的に、下記漢方薬を使用しながら補助剤である肝臓の働きを高める清熱剤、水溶性繊維を併用していきます。

アルコール性の脂肪肝は、漢方治療と同時にアルコールを減らす又は禁酒します。そして体重を落とすことも大事です。標準体重か或いは最低でも体重を3Kg落とすよう運動や食事内容を考えていきます。

漢方薬のご紹介

脂肪肝に使用する漢方薬の一部ですがご紹介します。

大柴胡湯

ガッチリ型の実証タイプです。筋肉肥りの人にも用います。
腹部を横から見ると臍から上が出ているタイプです。大柴胡湯は脂肪肝だけでなく高血圧の改善や肝機能の改善にも有効です。
薬味の大黄量は毎日必ず排便があるよう調節します。

防風通聖散

臓毒証体質に使われる処方です。脂肪太り型の実証タイプです。
腹部を横から見ると臍を中心に出ているタイプです。俗にビール腹と言われます。しかしビールを飲む飲まないとは関係ありません。
防風通聖散は身体の毒素を排泄する薬方です。肥満体質の方に使用されることが多いです。

防風通聖散は飲み方にコツがあります。
毎日の便通が柔らかくなるよう処方中の大黄と芒消を調節します。便が形を成さない程度が理想です。やり過ぎて下痢になると体力を失いますので服薬が継続できなくなります。
便が形を成さない位がコツです。そうしないと効果も悪くなります。

通導散

後世派の駆瘀血剤です。実証向けです。血毒の原因は摂取した油脂や体内の脂です。その脂を身体から排泄し血毒を解消するのが同方の働きです。
身体の陽の血毒を排泄しますので、脂肪肝だけでなく、顔が赤らんだり暑がりの人の高血圧や皮膚病、婦人科など様々な身体の不調も改善する可能性があります。

桃核承気湯

後世派の通導散に対し古方派の駆瘀血剤です。実証向けです。
非常に効果が早くシャープな面があります。高血圧や実証の生理痛が激しい、γGTPが非常に高いなどに適応する場合があります。
桃核承気湯は効果が早く、通導散は体質改善力に優れています。

山査子製剤

体内の脂を胆汁として排泄する働きが漢方薬の中で最も高い生薬です。脂肪肝や高コレステロ血症にも応用されます。
胆汁は膵臓頭部から十二指腸に排泄されます。その後に小腸、大腸を通りますので食物と同様に再吸収される可能性が有ります。

便通を付ける食物繊維

せっかく胆汁として排泄した油脂分を出来るだけ便に排泄するため食物繊維を増やします。
生野菜などの難溶性繊維も大腸を刺激し便通には大事です。
火を通した野菜の水溶性繊維や海藻類の水溶性繊維も吸着力が強いので多く摂るよう心掛けていきます。