三叉神経痛

神経痛

最も痛みが激しい病気の一つ

身体に張り巡らされている神経は脳と繋がっています。脊椎から両手、両足まで神経は伸びています。しかし脊椎から神経の届かない箇所もあります。そういうところには神経が出ている穴が有ります。胸膈出口や顔面などです。

顔面には頭蓋骨から3つの神経が出ている穴があります。この3つの神経の障害が三叉神経痛です。

三叉神経痛の3つの枝

枝分かれした三叉神経

眼神経

眼の上のやや外側です。左右両方にあります。ツボで言えば眼の疲れに使用するツボの絲竹空辺りになります。

上顎神経

上顎部分で鼻の横側付近です。左右両方にあります。3枝の中で最も発症頻度が高いです。この上顎身形が犯されると下眼瞼から頬、鼻の下に痛むだけでなく、上顎部の歯が痛むので誤って抜歯することもあります。

下顎神経

下顎部分で奥歯の下辺りです。左右両方にあります。

三叉神経痛は痛みの強いお病気

人間の身体で最も痛みが強いと言われる病気が3つあります。痛風、坐骨神経痛、三叉神経痛です。

三叉神経痛は、冷たい風が当たっても激しい痛みで苦しむこともある位です。また歯痛と勘違いしたり、知覚神経障害と間違って治療することもあります。また帯状疱疹後神経痛の場合もあります。

原因は様々で特定できませんが、血管が神経を圧迫している場合が多いと言われます。

西洋医学の治療

三叉神経痛の対処療法

神経ブロックや、放射線のガンマナイフ等の治療法があります。

薬物療法

三叉神経痛に抗癲癇薬のテグレトールが効くことが多いようです。副作用にて服用できない場合もあり、そのようなケースでは手術の適応となる場合が多いです。

漢方治療で三叉神経痛を完治へ

以前に私は、友人の薬剤師の薬局を訪ねた時です。彼は、その日の朝から三叉神経痛の発作が起こり、鎮痛剤を飲んでも症状が改善せずに苦しんでいました。

彼が三叉神経痛の持病があるのを初めて知り、「漢方が効くよ」と話し、煎じ薬を造ってあげました。次の日に彼から電話があり、「煎じ薬を1服飲んで暫くすると痛みが軽くなり、今は殆ど痛みが消失した」とのお礼の電話がありました。

三叉神経痛の漢方

三叉神経痛の漢方治療は、痛みが出てから早ければ早いほど効果も早い傾向にあります。再発しないように体質改善のため暫く服用が必要です。

三叉神経痛は漢方薬がよく効く疾患です。漢方治療では筋肉と血流を改善する漢方薬を使う事が多いです。

養生法

また食養生として緑の野菜を多くして血流を改善します。同時に血滞を生じる肉類や油物は少な目な食生活にします。血流を改善する納豆や生の玉ネギなどもお勧めです。

生活の養生では肩、首から上の血滞を解消するために肩甲骨を動かすストレッチをする習慣をつけます。

三叉神経痛の漢方治療

使用される漢方薬をご紹介します。

葛根湯

桂枝湯に麻黄と葛根を加味すると葛根湯になります。筋肉の緊張を除き血管を拡張します。その結果、血流が良くなります。

葛根湯は首から上の上焦又は太陽膀胱経に沿った部分の痛みや凝りに使われる薬方です。三叉神経痛の発症初期に用いることが多いです。筋肉の緊張が良い人が目標となります。

陽証の場合は蒼朮を加え、陰証の場合は蒼朮と附子を加えると効果が増します。蒼朮は神経痛や骨の疾患に多用される利水剤です。附子は賦活剤で慢性的な痛みに使用されます。

五苓散

元来は尿不利と口渇を目標に用いる方剤ですが、三叉神経痛によく効くことがあります。他の漢方薬で効果のない時に試してみる価値があります。

五苓散は元来が水毒を解消する漢方薬です。利水作用が強く浮腫みを取る働きにも優れています。五苓散が奉功する場合は水毒が原因の場合です。

桂枝加苓朮附湯

葛根湯加苓朮附から麻黄と葛根を除いた漢方薬です。葛根湯に比べ虚証の場合が多いです。或いは非常に慢性化した三叉神経痛に用います。

冷え性で、冷えると痛みが増すタイプに用います。一般的に虚証で発症から時間が経過している方が適応となります。

清上蠲痛湯

非常に頑固な痛みに使用します。この処方は寿世保元の出典で一切の頭痛を主治する薬方となっていますが、三叉神経痛にもよく効きます。

処方は当帰、川芎、白芷、羗活、独活、防風、朮、麦門冬、黄芩、菊花、蔓荊子、細辛、甘草、生姜です。気毒、水毒、血毒の薬味が入っている処方です。

どうしても良くならない激しい痛みに一度は試みるべき薬方です。

麻黄附子細辛湯

少陰病で表証のある三叉神経痛に用います。血色がすぐれず、頭が冷たく寒く感じる人が多いです。虚弱な人、貧血がちな方、老人の痛みに用いる事があります。

麻黄附子甘草湯も同様に使用します。

桂枝茯苓丸

駆瘀血剤の代表的処方です。血流を改善し血滞を除く漢方薬です。

三叉神経痛は頭蓋骨内の血管の血流が悪くなり血液の停滞部分が神経を圧迫している場合があります。その部分の血流を良くすれば血液の停滞が無くなり神経の圧迫を改善することが出来ます。東洋医学の本治療法になる場合もあります。