関節リウマチは慢性的
関節リウマチとは何か。判定方法、検査などについて解説していきます。
自己免疫によって関節に炎症が起こり、機能障害が慢性的に続く疾患です。
関節リウマチは自己免疫疾患
関節リウマチは、自己免疫によって関節や筋肉の痛み、腫れ、変形などの起こる炎症性疾患で膠原病の一種です。やがて機能障害が起こり、それらが慢性的に続きます。滑膜に炎症が起こって関節が腫れていきます。血管にも炎症が起こる場合を悪性関節リウマチといいます。
20から40代、女性に多い疾患であり、全国には50万人の患者がいるといわれています。
関節リウマチの症状
関節リウマチの初期は、疲労感、微熱、食欲不振、だるさなど風邪に似た症状から始まります。
- 左右対称
- 手の第二関節の腫れ
- 朝の手のこわばり
といった特徴があります。
関節リウマチが進行すると関節組織や軟骨が破壊され、筋肉が硬くなったり、腱が破壊されて関節の変形が起こります。症状の多くは、手や指などの比較的小さな関節がこわばる、動かしにくいなどから始まり、症状が進むにつれて、他の関節も痛むようになります。
典型的症状として、皮下結節という小さなこぶがあります。皮下結節は指、手首、肘、膝などの関節の外側にできますが、痛みや痒みなどの症状はありません。
判定
関節リウマチは、次の7項目のうち、4項目が該当すれば判定されます。
- 朝の手のこわばり。6週間以上続く
- 3箇所以上の関節の腫れ。6週間以上続く
- 手の指、手首の関節の腫れ。6週間以上
- 左右対称の関節の腫れ
- 皮下結節、皮膚に紅斑
- RAテスト陽性。RA因子が出ない場合もあり、逆にRA因子が出ても関節リウマチと言えない場合もあります。
- 手のX線検査で関節の破壊が認められる
次の5項目は関節リウマチに併発しやすい症状
- 指先を冷水に入れると白く冷たくなる、レイノー症状
- 口が渇き、涙が出にくい
- 原因不明の発熱があり、抗生物質が効きにくい
- 強膜炎などの目に炎症がある
- 貧血
関節リウマチの検査
関節リウマチは膠原病の一種なので、微熱や筋肉の萎縮、心筋炎、レイノー現象、肺繊維症、末梢神経炎、上強膜症、シェーグレーン症候群などの他の膠原病や、アミロイドーシス、貧血などの合併症を伴うこともあります。
- CRP。陰性、0.3mg/dl以下、体内の炎症反応を調べます。
- RAテスト、関節リウマチ反応。陰性、15IU/ミリリットル以下、血中のリウマトイド因子を調べることで免疫異常を判断します。
- 赤沈。男性は10mm以下、女性は20mm以下、炎症があると赤血球が沈む速度が速くなります。
- 抗CCP抗体、抗核抗体。陰性、0.0から4.4U/ミリリットル、関節リウマチの約80パーセントが陽性です。
- MMP3。上限値59.7、早期から上昇する血中の関節破壊マーカー、コラーゲン溶解酵素。
西洋医学的治療
関節リウマチの現代西洋医学による治療をご紹介していきます。様々な方法がありますが、基本的に対処療法が主流です。そもそも、現代医学において原因を取り除く方法ではないので、根治あるいは完治という表現はしません。
薬物療法が中心ですが、どの薬剤を使うかは病院や医師によってもそれぞれ分かれているようです。また効果が出る反面、副作用に対しても十分注意を払って行う必要があります。
薬物療法
現在、関節リウマチの薬物治療は、症状を対処的に治療するだけでなく、炎症や免疫異常を直接的かつ積極的に抑え込むようなものも多くなってきたようです。そのような治療法は副作用も重篤なものが多く、リスクと有用性を考えながら行われるもので、必ずしも安全というわけにはいかないようです。
抗炎症剤
炎症を抑えて痛みを和らげる。関節リウマチ、関節痛に用いる抗炎症剤は基本的に非ステロイド系抗炎症剤とステロイド系抗炎症剤が主流です。
非ステロイド系抗炎症剤は、即効性があり、解熱、鎮痛作用を併せ持ちますが、副作用としては胃腸障害がよく見られます。
ステロイド系抗炎症剤は、人工の副腎皮質ホルモンを合成したもので、免疫の働きを抑える作用もあります。効果は強力ですが前者と同様にこちらも根本的な治療とはなりません。一定量をある期間用いることで副作用が出やすくなり、また急に服用を止めることで症状が悪化したりすることも少なくありません。副作用としては食欲不振、だるさなどから他の重篤な病気になることもあります。
ステロイドの使用は、非ステロイド系薬剤では炎症が抑えられない場合や、一時的に痛みを抑えたい時などに限定されていることが多いです。
最近では症状の進行を食い止めるために、早い段階で抗リウマチ薬と併用するということも行われているようです。
抗リウマチ剤
自己免疫異常を改善して症状の進行を抑える
免疫調節剤
関節リウマチの原因である自己免疫異常を改善するためのもので、免疫系に作用するものと滑膜の増殖抑制に作用するものがあります。
一般的に効果が出るまでに2、3ヶ月以上経たないと効果がでないです。副作用としては個人差もありますが、腎障害や肝障害、自己免疫疾患など様々です。
免疫抑制剤
その名の通り自己の免疫を抑制する。主に白血球やリンパ球の産生を抑えることで免疫の働き全般を抑える薬です。本来は臓器移植などの際に生じる拒絶反応を抑える目的の薬です。他には自己免疫疾患の悪化を防ぐ目的として用いられますが、副作用が出やすいのでその使用法は困難となります。
副作用は肝障害、胃腸障害、造血障害などがあり、長期の使用ではガンにかかりやすくなる傾向もあるようです。
その他の化学薬品
現在、関節リウマチに対して上記の治療薬以外に生物学的製剤が用いられるようになってきました。この薬剤は上記薬剤でも症状が特に変化しない場合に用いられます。上記薬剤と異なり薬の効き目が早く、関節破壊進行を止めることができると言われています。
しかし感染症の発症が高まるなど導入の際は慎重に行わなければいけないません。
手術
外科療法となる手術は痛みや変形を外科的に修復することにより患者さんの生活の質を高めることを主とします。しかし手術後は痛みが一生消失するわけではなく、手術後の経過も個人差があります。薬剤やリハビリなどによる治療でも効果が出ず、日常生活に著しく不自由がある方が対象となります。ただし、こちらも感染症に注意が必要であるなど様々な問題点もあります。
漢方薬で関節リウマチを治療
西洋医学以外に、漢方薬で関節リウマチ症状が改善される方が多いです。また鎮痛剤やステロイドから離脱される方も多いです。
用いられる漢方薬は罹患期間などの情報によっても異なります。発病初期に用いられることの多い表の寒証の薬方だけでなく、慢性的なリウマチに水毒や裏の寒証に対する薬方も多いです。関節リウマチの治療薬として多くの漢方薬が準備されています。
漢方薬でリウマチが改善される方は非常に多いです。また漢方薬で改善すると再発もし難いです。選択肢として捨てるべきではありません。
安静と運動
関節リウマチ、腰痛、膝関節痛などは動かさずにいると各関節の稼動範囲が狭くなるばかりでなく周辺の筋肉が衰えることで、いざ動かす時に骨や関節に負担がかかり機能障害などが進行する傾向が強いです。
共通して言えることは痛みが急激にある場合はまず安静にするということが原則となります。運動に関しては急性期を過ぎたころから始めないと、炎症などを助長する可能性が高くなってしまいます。
関節リウマチ、関節痛などの症状が落ち着いているときでも運動によって無理が生じると一時的に症状が悪化する恐れもありますので、バランスの良い安静と運動が大切となります。