写真は、中国安徽省の亳州生薬市場の枳実です。
認知症、音声チック症。かけ橋掲載分
太陽堂漢薬局の患者さんに、毎月お配りしています。論文、改善例のご案内はこちら
認知機能の低下
1927年生、女性
ご婦人のご家族より、著しい認知機能の低下が見られ困っていると相談を受けた。実際に状態を伺うと、時間や季節が分からなくなっている。昼間は寝てばかりの生活。夜間になると何度もドアの開閉を繰り返す等、異常行動が目立つとの事。問診と糸錬功により、抑肝散加陳皮半夏証を捉えた。更に補助剤で血流を良くし脳の賦活化を促した。服用開始から薄皮を剥がすように、ゆっくりと改善が見られた。
半年後には、足取りがしっかりとし、スーパーで買い物をして、自分で支払いまで出来るようになったと連絡を頂いた。更に3ヶ月後には、ドアの開閉を繰り返す癖が減り食欲もでてきた。東洋医学では病因を気血水に分け、その方の体力や抵抗力、症状の現れ方、証に応じ必要な漢方薬を合わせていく。
抑肝散の中の薬味には、血を補い、血を疎通させ、気を巡らせる働き、胃内に停滞した水毒を除く作用がある。慢性化し虚証の方には陳皮半夏を追加する。当薬局では、その方に最も合う漢方薬を導く為に、問診と糸錬功を駆使している。認知症の改善は非常に難しいが、ご婦人は短期記憶も改善しており、以前とは別人の様だとご家族から非常に喜ばれた。
「うっうっ」と無意識に声がでるチック症
2010年生、男性
小学校低学年よりチック症状が時々でる中学生のお母様より相談を受けた。チック症の症状としては、自分の意志と関係なく身体が動いてしまう、瞬きを繰り返す、手を動かす等の運動性チック。咳払い、喉や鼻をならす等の音声チックがある。
父親との別居など家庭環境が変わってから発症した様で、母親も胸を痛めていた。一時は改善したが、中学生となり生徒会や部活など新しい事にチャレンジして頑張っている中、友達から辛い言葉を投げかけられた事で再発したようだ。
太陽堂では、ストレスがかかる事で筋肉が緊張してしまい、それを発散するために音声チックの症状が出ていると考え
- 自律神経を整え、筋肉を緩める漢方薬
- 喉の違和感を抑える漢方薬をお出しした。
またご養生として、発散作用のある葉物野菜、清熱や上がり過ぎた気を降ろす作用のある苦味のある野菜をお勧めした。
服用から1ヶ月で殆ど症状は見られなくなった。再発防止を含め更に1ヶ月間服用頂き短期間で漢方薬は終了となった。
子供の頃はただの癖だと思われていたチックが、大人になって仕事や日常生活によるストレスが原因で症状が強く出る事もある。漢方薬で治した病は二度と同じ病にはなり難いと言われているので、チック症は症状が軽いうちにしっかり治して頂きたい。