
肩関節周囲炎(五十肩)。患者さんとの「かけ橋」
漢方太陽堂の患者さんに、毎月お配りしています。
論文・改善例のご案内はこちら
漢方薬と運動療法で五十肩が改善
(1966年生、女性。No.7735)
病院では肩関節周囲炎(五十肩)と言われているが、背中から肩にかけて痛みが酷く手が上がらない状態が、2年半続き困っていると女性から相談を受けた。
問診と糸錬功により二朮湯証を捉えた。
明の時代の古典書「万病回春」には、『痰飲双臂(腕)痛むものを治す。又、手臂(手首)痛むを治す。是れ上焦の湿度経絡中を横行して痛みを作す成り』と記載がある。
二朮湯証は古典でも水毒(湿)の影響を受けていて、水分が身体に溜まりやすい体質の方に適している事が分かる。
女性には、漢方薬の服用と養生をお伝えした。
①収縮する運動は控え、筋を伸ばす運動を行う事(アイロン体操)
②拘縮している筋を緩める為に、肩周囲を温める
③血滞でも五十肩は生じるので、血流を促す為に散歩する事
1か月程度で背中の痛みが和らいできた。
3か月目に可動域が広がってきて、肩甲骨を動かす事が出来るようになったと嬉しい報告を受けた。
五十肩は急性期を迎えたのち自然と寛解する方もいるが、多くの場合、日常生活に支障が出る。
その為鎮痛剤を服用しながらリハビリを行う方が多い。
このような原因不明による痛みには漢方薬が非常に効果を発揮する為、一度は試して頂きたい。
漢方薬と養生法により肩の痛みが改善
(1959年生、男性。No.6984)
2ヶ月以上続く肩の痛みに悩まされている男性から相談を受けた。
病院の検査では加齢により骨が変形して腱を圧迫し、腱で炎症を起こしているとの事。
主に右肩を左腕の方に伸ばすと痛み、痛み止めの薬も中々効かないとの事であった。
糸練功で確認した所、「麻黄加朮附湯証」を捉えた。急性期~慢性期にかけて、かなり痛みが強い場合によく使われる方剤である。
また腱で炎症が起きている場合は、腱を伸ばすストレッチを行うと改善が早くなる可能性がある。
痛くない方の手を机に突き身体を支え、右手に重りを持ち腕をゆっくりと動かす。
肩関節炎などの患者にはこのようなストレッチ方法を伝えることが多い。
実際にこの方法で改善が進むかどうかは個人差があるため、この男性にも適するかを糸練功にて確かめた。その結果改善が進むように思われたため、このストレッチ方法を本人に指導し、しばらく経過を見るよう伝えた。
漢方薬服用開始から3ヶ月後、肩の痛みが少しずつ良くなってきた、整形外科の先生からは肩の可動域が広がってきたと言われた様であった。
5ヶ月後には、痛みはゼロではないがかなり良くなってきたとの事。
6ヶ月後には90%程まで回復していると実感、7ヶ月後にすっかり良くなり、治療終了とした。
漢方薬はもちろん、食事や養生法に関しても、それぞれの証に沿ってより良い物を探ってゆく事が大事だと常々感じる。
痛みで眠れなかった五十肩が改善
(1956年生、女性。No.7037)
突然ベットから起き上がることが出来なくなった女性から相談を受けた。
病院では肩関節周囲炎(五十肩)と診断された。
この女性は右肩が酷いが左右どちらの肩も痛み、痺れがある。家事は一切できず、孫の面倒も見る事も出来ずに困っているとの事。
肩関節周囲炎の原因は西洋医学的には不明だが、筋肉や靭帯、関節を包む袋等に炎症が起きている状態で運動制限が現れる。
問診と糸練功にて疎経活血湯証を捉えた。補助剤は、骨や筋肉の代謝を活発にする薬をお出しした。
服用後1ヶ月で痛みの軽減を感じたと嬉しい報告を受けた。
ご養生は、
①血行を良くする(患部を伸ばす、適度に動かす体操をする)
②身体を冷やさない(湿気や冷房などで身体が冷えると、血流が停滞し、症状が出やすい)
③適度な水分摂取(血液中の水分が不足すると、血流の滞りに繋がりやすい)
1年程で漢方薬は終了となったが、引き続き再発防止に適度な運動は行って頂くよう話した。
関節周囲炎は、急性期を迎えたのち、自然と寛解する方もいるが、多くの場合、日常生活に支障が出る。その為鎮痛剤を服用しながらリハビリを行う事が多い。
このような原因不明による痛みには漢方薬が非常に効果を発揮する為、一度は試して頂きたい。