人生を変えて頂いた一言

漢方雑記

2024年2月6日。写真は、広島県福山市、草戸稲荷神社です。

掌踵膿泡症の男性

私が30代の頃、掌踵膿泡症の男性の患者さんを診ていました。
男性は隣の県から5、6時間掛けて、息子さんや娘さんが運転する車で毎月来ていらっしゃいました。

この患者さんの掌踵膿泡症は罹患してからの年数も永く、酷い状態でした。
膿疱の出来ていない皮膚も真っ赤でステロイド皮膚炎も疑われました。手掌は皮が厚いため通常のステロイド剤では効果が無く、強いステロイド剤を使用します。
そのためステロイド皮膚炎にもなっていたのだと思われました。

この男性の漢方治療は3、4年したと思います。
結局、当時の私には男性の掌踵膿泡症を治す事が出来ませんでした。

私の知人が男性を知っていた

この男性はある政治団体に入っていらっしゃいました。当時の天皇陛下に拝謁する事もできると言われていました。

たまたま私の知り合いの女性がこの男性をご存知でした。
彼女は若い頃に選挙のウグイス嬢をされていたそうです。
ある選挙の時にこの男性と知り合ったそうです。

彼女は僕に、あまりこの男性と近づかない方が良いと忠告してくれました。怖い人ですと言っただけで詳しい説明はされませんでした。

男性は漁業組合長

この男性の患者さんとは色々な話をさせて頂きました。
また僕に心を許されていたのかご自分の経験など様々な話をされます。

この男性は県の漁業組合長もされていました。
県と漁業組合が揉めたことが有ったそうです。団体交渉になったそうです。

揉めた団体交渉

団体交渉では組合員の男性たちが県の担当者の方々を攻め立てたと言われていました。
組合員が余りに攻め立てるので、組合長として「県の職員という人間と交渉するのだぞ。お前たち、職員を罵倒するな。お前たちは県庁と言う看板と交渉しているのか。人間と交渉するのだぞ。看板じゃない。」と言われたそうです。
その後は両者が落ち着き交渉も上手くいったと言われていました。

人生が変わった言葉

私は「県庁と言う看板ではなく、そこに居る人間」という言葉に感銘を受けたのを覚えています。
その後、私の人に対する考え方が大きく変わったのです。

下請けの業者さんも人間です。接待されるべき私が接待することもあります。
取引先もメーカーではなく、メーカーの人間です。
薬局で働く従業員もスタッフと言う人間です。
お客様も患者さんと言う人間です。

人間と人間の付き合いをお教え頂きました。
それからの私の人生は大きく変わって行ったのです。