夏でもズボンの下に保温着を着るほど冷える

冷え性

冷え症の強い婦人。「かけ橋」掲載分

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冷え症、高血圧、心肥大、動脈硬化

(昭和21年生、女性。No.128)

朝方の血圧が高く、冷え症の強い婦人から相談を受けた。

顔は火照るのだが、夏でもズボンの下に保温着を着るほど冷える。その他、心臓肥大、動脈硬化も併発されている。東洋医学的に、「朝方の血圧上昇」と「脳動脈硬化」は釣藤散証の特徴である。

釣藤散は、動脈硬化を改善する漢方薬として学会報告がされている。釣藤散証は「五志の憂」が原因となる。

「五志の憂」は、西洋医学的には、視床下部や大脳皮質、自律神経、精神的なものと大きく関わると思われている。自律神経の支配下で交感神経が高ぶり、血流が低下する事もある。

また、「顔が火照り、手足が冷える」のは「陽の瘀血」も考えられる。糸練功では、銅版にて熱性の状態を、アルミ板にて寒性の状態を捉え、熱性の強さや寒性の強さを確認しながら証を出す。

この方は「陽の瘀血」に甲字湯加黄芩証を捉えた。血圧(釣藤散)+五志の憂(四逆散)+陽の瘀血(甲字湯加黄芩)を組み合わせると、高血圧症・冷え性・心臓肥大・動脈硬化全てが解決出来た。高血圧・動脈硬化に対して粉薬と煎じ薬が、冷え性にも粉薬と煎じ薬が、心肥大には煎じ薬が効果を現した。

漢方薬の服用を開始し、合数改善は順調に進んで行った。約4年と長期戦の治療となったが、とても調子が良くなられ喜ばれていた。