吸収率は朝夕で変化

漢方食養生

2020年6月29日。写真は岩蜜。蜂が岩に蜜を溜め長期間乾燥し岩場のミネラルが入り込んだ蜜です。蜂蜜の化石、或いは岩塩と思えば。

朝食での糖質

東洋医学では日が沈むと陰中の陰の時間帯に入ります。腎の臓、水の時間帯です。
食物ではミネラルの多い海藻を代表とした海産物、ミネラルの多い黒胡麻などが該当します。私達の身体は、朝方に摂ったミネラルは吸収率が悪く、日が沈んでから夕方以降に摂ったミネラルは吸収率が高くなります。

時間帯で変化する身体

飲み歩いた後のラーメン、美味しいですね。夜遅くに油濃い物を食べた翌朝、口の中が気持ち悪い経験をした方も多いと思います。
肝臓の働きは午前中が活発になります。肝臓で造られ油脂の消化液である胆汁は夜中の12時を過ぎると分泌が減少していきます。

身体は1日中、同じ動きをしているわけではありません。
男性の髭は昼前に伸びやすく、癌細胞は夜10時前後に盛んに分裂します。

覚せい剤のアンフェタミンをネズミに投与した実験があります。
体重1キログラム当たり26ミリグラムのアンフェタミンを投与します。午前6時に投与されたネズミの死亡率は6.6パーセント、午前3時に投与されたネズミの死亡率は何んと77.6パーセントだったそうです。

アメリカの白人におけるアルコール服用後の血中濃度の実験があります。
午前中にアルコールを服用させた場合、血中濃度は高くなります。しかし午後からアルコールを服用した場合、血中濃度は低くなります。
同様にハツカネズミにアルコールを服用させた実験では、午前中は臓器に与える影響が強く、午後からは脳や行動、体温への影響が大きかったそうです。

同じ物を同じ人が食べたり飲んでも、時間帯により効能や身体への影響が変わります。
漢方薬も種類により服用する時間帯で効果が変わっていきます。
同じ東洋医学の鍼も打つ経絡により時間帯で効果が変わります。

野生動物は夜行性の動物を除き、朝方の食事量が多く寝る前の食事量は少ないです。
インシュリンは糖質をエネルギー変換します。
誰でも、インシュリンの分泌は朝方が多く夜は少なくなります。
糖質、炭水化物を朝食で摂る理由があります。

食養生での砂糖

三白の害と聞かれたことがあると思います。
玄米から精米した白米、イオン交換で造られた塩、サトウキビから精製された白砂糖の3つです。

実は砂糖は2000年以上前から漢方薬として使われています。
膠飴と言われる砂糖です。粳米を麦芽で発酵して作った甘い自然糖です。小建中湯や大建中湯の構成薬味です。1日の薬用量は20グラムです。
もう一つの漢方薬に蜂蜜があります。八味丸や桂枝茯苓丸の構成薬味です。古くは岩蜜、白蜜を使用していましたが、入手が困難なため現在は蜂蜜を使用しています。
岩蜜は、蜂が岩に蜜を溜め長期間乾燥し岩場のミネラルが入り込んだ蜜です。塩に対する岩塩、蜂蜜に対する岩蜜です。
写真は30年程前、ヒマラヤの中腹2000メートルにある大理にて手に入れた岩蜜です。表面には苔が生え一部蜂の巣が見えます。

缶コーヒーや野菜ジュースには大量の砂糖が入っていると言われています。日本人の平均的砂糖の摂取量は1日60、70グラムです。
漢方薬の膠飴の薬用量は1日20グラムです。薬として使う3倍以上の砂糖を日本人は摂取しています。

砂糖の摂り過ぎは、腸内の悪玉菌を増やし腸内の炎症を高めます。腸内で異常発酵も生じます。悪玉菌からの排泄物は吸収され身体を巡っていきます。
神経性疾患であるアルツハイマー病やパーキンソン病との関連が報告されています。
免疫との関連も指摘され、妊娠中に甘い物を摂り過ぎると赤ちゃんがアトピー体質になり易いと言われています。

蜂蜜の働き

漢方の食養生では、黒砂糖は毒消し、白砂糖の副作用は吐き気になります。
また糖尿病に使用する八味丸には蜂蜜が入っています。蜂蜜は潤の働きがあり、濃くなった血液濃度を下げ潤します。結果的に血糖値が下がると言われています。
当薬局では自然糖である蜂蜜や、ミネラル豊富な黒砂糖、メイプールシロップをお勧めしています。

砂糖、精製塩の中和

しかし白砂糖には、白砂糖で他で変えられない使い方があると思います。精製塩もそうです。
精製塩に不足しているのはミネラルです。海産物、海藻類や頭ごと内臓まで食べられる小魚類を摂ると不足を補充出来ます。
砂糖の害は、緑で少しアクや苦みのある野菜で中和されます。日本茶、パセリ、レタス、ホウレン草他。自然糖をお勧めしますが、食事を一工夫すると色々な使い方が出来ると思います。