顎関節症

関節症

顎関節症の症状

様々な症状があります。また顎関節症から引き起こされる身体への影響も様々です。以下は三大症状です。

  1. 口を動かすと顎から音がする。
  2. 口を大きく開けれない。
  3. 顎が痛む

等が、顎関節症の主な症状です。

私の師匠である故入江正先生は、顎関節症から頚椎の歪み、更に胸椎、腰椎への影響を発表されています。

顎関節症の原因

顎関節症は近年増加傾向にあり、また筋力の弱い女性の発生率が高いです。

噛み合わせ

一般的に顎関節症は、昔から噛み合わせが原因と言われています。しかし、それだけではなく様々な原因が考えられます。

ストレスと顎関節症

顎関節症は、現代社会では非常に増えています。ストレス等で筋肉の収縮や血流の低下等も原因として考えられます。

筋力

顎関節症は女性に多い疾患です。肉類やパン等の噛み易い食材のため噛む回数の減少や運動不足等も影響しています。

左右の奥歯の咀嚼の癖

食事の時に片方の奥歯で噛んでいないでしょうか。片方の筋肉のみ使うことにより、左右の筋肉のバランスが崩れ、顎関節症に為りやすくなると考えられます。

顎関節症の影響

顎関節に障害が有ったり歪むと、故入江正先生は「顎から第1、2頚椎へ影響が行く。第2頚椎から第2胸椎、第4腰椎。更に膝。またそれらと関わる靭帯まで影響が行く」と発表されています。

身体の一部のバランスが崩れると、筋力が弱い人はバランスを取るため周囲が歪みバランスを取ろうとします。それが周囲の歪みの原因になり次から次へと歪みが伝わっていくのだと思われます。

頚椎からの症状

首の痛みや肩こりだけでなく、手足に痺れや手足の末梢神経の異常等が引き起こされます。

以前に発表された論文です

アメリカの歯医者さんが肩こりが酷く、整形外科では頸椎から来ているとの診断だったそうです。そのため頸椎の治療をしましたが、なかなか症状は改善しなかったそうです。
ご自分が歯科医でしたので顎関節の治療をされたそうです。そうすると肩こりがスッキリ取れたとの報告を見たことがあります。

顎関節から頸椎へ歪みが伝わった例です。

胸椎からの症状

下肢の痺れや歩行困障害などの症状が現れます。

腰椎からの症状

腰痛、足の痛み、足の筋力低下等が現れます。

漢方治療で顎関節症を治す

漢方薬で顎関節症の炎症と骨の修復をします。
漢方太陽堂では、漢方治療と同時に、養生法として顎の左右の筋肉のバランスを改善する方法をお伝えし治していきます。

また顎から音がする人は、できるだけ音がしないように気をつけてください。顎関節症の治りが悪くなります。

漢方治療

入江先生にお教えいただいた中に音素診という診断技術が有ります。音素診は骨の異常と経筋の異常の診断をします。
音素診を使うと左右どちらの顎関節に問題があるか判断できます。
また音素診の反応が消えるように漢方処方を組むと、その患者さんの適方を組むことが出来ます。

顎関節症に使用する漢方薬

葛根加朮湯

首から上の上焦の様々な疾患に応用する葛根湯にミネラルを動かす表の利水剤である蒼朮を加味します。実証で筋肉の締りが良いタイプに使用します。
茯苓を加味し葛根加苓朮湯にすることも多いです。

麻杏薏甘湯

漢方で言う風湿による痛みに使用する漢方薬です。
風湿とは発汗後に風などに当たり長く身体を冷やしたことが原因と言われています。
皮膚に湿り気があり、冷えると痛む関節症と考えても良いと思われます。

麻杏薏甘湯証は腫脹は少ないです。もし腫れが酷く激痛のする場合は蒼朮と附子を追加します。

桂枝二越婢一湯加朮

桂枝湯と越婢湯の合方に蒼朮を加えます。
腰から頭までの様々な痛みに使用します。顎関節症以外にも肩痛、胸痛、腰痛など筋肉と骨の痛みに対応します。慢性化したリウマチにも多用されます。

桂枝加朮湯

葛根湯証より虚証タイプに使用します。筋肉が柔らかく血色が悪い、体力が乏しい、発汗しやすいタイプの虚証です。葛根湯と同様に蒼朮と茯苓を加味して使用することが多いです。

疎経活血湯

漢方で言う血滞が原因の顎関節症です。寝ている時に痛んだり、起床時に痛む疾患に使用します。お酒をよく飲む人に多い傾向があります。
東洋医学的には血液の流れが悪くなると血滞が生じると考えています。それが原因になります。
日中に比べ就寝中は身体を動かさないので血流は悪くなります。そのため痛みが酷くなります。
またお酒を飲むとアルコールの代謝過程に水分が必要です。血液中の水分が減少し血液の粘度が上がり血滞が生じます。これも疎経活血湯証の原因になります。

顎関節症の場合、アルコールを飲んだ翌日に痛みが酷くなる。顎を動かす食後より空腹時の方が痛みが悪くなる時は疎経活血湯証の可能性があります。

養生法

全身運動

故入江正先生は老人病と顎関節症の関係を発表されています。
老人病とは50歳以上で様々な症状を訴える疾患です。頭痛、不眠症、耳鳴り、眩暈、不定愁訴、鞭打ち症候群、喘息、腰痛症、頚腕症候群、脱力感などの症状を訴えます。しかし西洋医学では異常なしの診断を受けます。

顎関節症の治療をすると改善する人が多いです。
またこれを防ぎ改善するには運動をすることです。全身の筋力をつける事です。散歩でも良いですし外に出歩く事です。スイミングなどもお勧めです。

奥歯を噛み締める運動

漢方太陽堂で効果を確認しお勧めしているトレーニングです。
食事をする時に殆どの人は左右どちらかの歯を中心に噛んでいます。あまり使っていない側の奥歯で噛み締めるトレーニングをします。

割りばしなどを奥歯に挟み10秒間噛み締めます。これを3クールします。
朝夕2回程すると良いです。
軽い顎関節症などは2週間ほどで解消する人もいます。