色々な病と漢方

東洋医学理論

2022年7月9日。写真は、熊本県小国町。滝の裏に廻れます。鍋ヶ滝です。

血流障害の壊疽

30代の子宮内膜症の方を漢方治療したことがあります。その女性はご自分が調子が良いのでお母さまを連れてこられました。

お母様がズボンを捲られると、膝から下の向こう脛の横が黒く壊疽しています。壊疽部分の大きさはサロンパスより少し大きい位でした。
何度も腐り、手術で黒くなった部分を削っているとの事です。原因は血流障害との事です。

東洋医学では「脾は肌肉を主る」と言います。
血液不足での壊疽ですので血虚を考え当帰の入った補中益気湯を考えました。また脾虚を強めるために糸練功で確認をし、白人参を増量した補中益気湯人参大としました。

これがずばり的中し1週間単位で壊疽が改善したのです。
その後、糖尿病性の壊疽の方にも同方を与え改善する経験をしました。

浅田宗伯先生は血虚を強めた補中益気湯当帰大の処方を残されています。
私は脾虚を強めた補中益気湯人参大の処方で、喘息の患者さんや末期がんの患者さんの時に何度も救われる経験をさせて頂いています。

肝班の漢方

肝班は中年期の女性に多いシミです。両頬に褐色から黒褐色のシミが出来てきます。
ヴィタミンCやLシスティンなどの内服も有りますが、なかなか手ごわいシミです。

肝班は名前通り、肝臓との関係があると言われますが確かな事は分かりません。
漢方では肝臓の機能異常を改善する柴胡剤にて良くなる肝班が多いのを見れば、肝臓との関係があるのかもしれません。

肝班の出来る頬は小田顔面診の肝の臓の診断部分である事を考えても肝臓との関係が推察されます。

以前、私は疲れやすいと言われる女性にレバーの肝臓エキス製品をお勧めしたことがあります。
1か月すると疲れが解消しただけでなく「肝班も薄くなりました」と報告を受けました。そしてレバー製品を飲んでいると肝班が毎月薄くなっていくのです。
やはり肝臓の機能と関係が有るのかもしれません。
他の肝班の患者さんにも同じレバー製品を勧めましたが、改善したのはこの1例だけでした。

漢方治療では柴胡桂枝乾姜湯を代表とする柴胡剤に駆瘀血剤を併用することが多いようです。
漢方治療で改善しない方もいらっしゃいます。改善する肝班は50パーセント程度だと言われます。半分程の方が改善するようです。

円形脱毛症と漢方

円形脱毛症は突然に10円玉ほどの脱毛が現れたり、それが頭部全体に広がったりします。人によっては身体の体毛が抜ける事もあります。

原因はストレスなどにより免疫の異常が生じた自己免疫疾患の場合が多いと言われます。

漢方ではストレスに用いる桂枝加竜骨牡蠣湯が汎用されることが多いです。
また免疫に働きストレスにも強くなる柴胡剤加牡蠣。
肝臓の解毒能力を強める一貫堂医学の解毒証体質に属する温清飲、荊芥連翹湯などを用いる事が多いです。

アルカリ性の牡蠣

円形脱毛症に牡蠣を多用します。牡蠣はアルカリ性です。牡蠣を中和する酸性の食品は避けた方が良いと考えられます。
また解毒症体質に用いる漢方薬は地黄剤です。地黄剤の合う方は白砂糖は厳禁です。白砂糖は酸性食品でもあります。

掌蹠膿疱症と漢方

手の平や足の平に膿が貯まる膿疱が出来ることがあります。
似た疾患に汗疱があります。こちらはストレスなどで起きる汗が手掌の皮膚の下に溜まります。手掌には汗腺は有りますが汗の出口が無いため、水ぶくれの様に手掌に透明な水疱が出来ます。
掌蹠膿疱症は膿が溜まりますので、内容物が黄色や白く濁っています。

掌蹠膿疱症の原因は、自己免疫が関係していると思われますが定かではありません。
また歯科治療後の金属アレルギーでも発症することが報告されています。
私が診た患者さんではインプラントの金属に反応していると思われる患者さんもいました。

膿疱に細菌などはいませんので、人に移る事はありません。
通常の掌蹠膿疱症では痒みが少ないです。もし痒みが強い時は長年使用したステロイドによる皮膚炎も疑われます。

漢方治療では、連翹や解毒、清熱作用の処方を使うことが多いです。改善する患者さんが多い疾患です。

白砂糖の害

食養生では少し苦みやアクのある清熱の葉野菜などを多くします。
また白砂糖は厳禁です。

40年以上前、私が漢方の世界に入った頃から、がんやアレルギー、自己免疫疾患など免疫系統の疾患では食養生で砂糖を禁止することが多かったです。
砂糖などの単糖類により発生するガスと腸内細菌叢が関係していると思われます。