漢方と食の薬性

漢方コラム

2024年5月14日。写真は、大阪市天王寺区、聖徳太子が作られた四天王寺です。

漢方の薬性の五気

気味と言う言葉が有ります。五気と五味の事です。

五味

五味は食や漢方薬を五つの味に分ける方法です。酸っぱい、苦い、甘い、辛い、塩からいです。

五味の働きは、作用する東洋医学の臓器に関係します。酸は肝、苦いは心、甘いは脾、辛いは肺、鹹は腎に作用します。五味は東洋医学の臓腑との関係です。

五気について

五味は五気とは異なります。熱、温、平、涼、寒の五段階が五気です。

身体に熱があるか、身体を寒が支配的なのか。漢方薬や食物が身体を冷やすか、身体を温めるかの薬性が五気です。

身体の寒熱

身体の寒熱による症状が分かると、ご自分で今の身体の状態が判断でき、ご自分に合った食養が分かります。

寒による症状は
  • 陰証は寒が支配的です。
  • 冷え性。身体全体が冷え性である事が大事です。以下は例外です。
    1、手足のみ冷える場合は、交感神経の緊張により末梢血管が収縮している場合もあります。漢方では四肢厥逆と言います。これは少陽の熱証です。
    2、足は冷えるが顔は逆上せる場合は、瘀血証で熱になります。
  • 下痢がち。
    1、下痢の後に肛門に灼熱感が有れば、陽証で熱性になります。
    2、ガスが多い、便器に付いた大便が水栓で流れないなど、胆汁の流れが悪く脂溶性便です。瀉心湯証の熱性です。
  • 尿量が多い、尿色が薄い、失禁をする。尿が透明な場合は明らかに寒証です。
  • 女性で、薄く透明から白い色のオリモノ
熱による症状は
  • 陽証は熱が支配的です。
  • 赤ら顔、暑がり。手足の火照りは太陰病の虚熱の場合があります。虚熱は身体が疲れた為に逆に火照ります。
  • 便秘。年配者のコロコロ便、兎便は強い熱性ではありません。
  • 尿量が少ない、尿色が濃い
  • 女性で、濃く褐色のオリモノ
  • 不眠、目やに、腫物。
    1、目やには熱証です。
    2、不眠は心と身体が弱って生じる場合もあります。温胆湯証や帰脾湯証は陰証です。
    3、罹患期間が長い腫物は、肉芽形成が出来ず陰証の場合があります。托裏消毒散証や千金内托散証です。

漢方生薬の五気

熱温平涼寒の五段階の他に大熱、微温。微寒、大寒を入れて九段階に分けます。

  1. 大熱。附子、呉茱萸。人参剤(微温)で取れない冷えは乾姜(熱)で取ります。乾姜で取れない冷えは呉茱萸(大熱)で取ります。
  2. 熱。山椒乾姜。大建中湯、白朮散には山椒が入っています。苓姜朮甘湯、柴胡桂枝乾姜湯には乾姜が入っています。
  3. 温。桂枝(シナモン)、川芎、黄耆、陳皮、麻黄、生姜、朮、紅花大棗
  4. 微温。熟地黄、朝鮮人参
  5. 平。阿膠、酸棗仁、牡蠣殻、枸杞子山薬(ヤマイモ、自然薯)甘草、香附子、桃仁。桃仁は平、牡丹皮は微寒です。そこに桃仁と牡丹皮に薬性の違いがあります。
  6. 涼。滑石、牛黄、薄荷菊花粳米(うるち米、玄米)
  7. 微寒。牡丹皮、芍薬、沢瀉、竹葉。利水剤は一般的に温性です。沢瀉の入った五苓散、猪苓湯は身体を冷やす傾向があります。
  8. 寒。大黄、枳実(夏ミカン)、釣藤、黄連、黄芩、黄柏、山梔子(クチナシ)、竜胆、知母、柴胡。白虎湯には知母、粳米が入っています。竜胆瀉肝湯には竜胆、黄芩、沢瀉、山梔子が入っています。枳実、枳殻と陳皮、橘皮は五気が異なります。そこに薬性の違いが現れます。
  9. 大寒。石膏

青地は食品として流通しています。

紅茶は温から微温

生姜紅茶の生姜は乾姜(熱)です。紅茶は全発酵してあるので温から微温です。生姜紅茶は非常に身体を温める食材です。同じく紅茶にシナモン(桂皮、温)も身体を温める働きが強くなります。

玄米

玄米(粳米、涼)は身体を冷やします。副食として身体を温める食材も必要です。また玄米にはフイチン酸が入っているため、身体の中のミネラル分を排泄します。玄米を常食する場合は、ミネラルの補充もしないといけません。

玄米は涼、降です。食品ですが白虎湯の構成薬味です。肥満症、高血圧症、初期の糖尿病、多血症などの人には合っているかもしれません。