メニエール病。患者さんとの「かけ橋」
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眩暈は川の流れのような感じだと訴えられる
昭和18年生、女性
数年前より眩暈がするとの事。症状は川の流れのような感じだと訴える。発作は年に3、4回あり、発作の時は動悸が激しくなり、同時に食べた物を全て吐いてしまうとの事。吐瀉を伴う眩暈で最初に考えられるのは、内臓の冷えが原因である胃寒の証が考えられる。
身長157センチ、体重59キログラム。血圧が高く、降圧剤を服用中である。便秘がちで、錠剤の緑製剤を飲むと排便するとの事。水分は欲しがらず、舌診は潤で無苔。内臓の冷えが窺われる。太陰病期だと思われる。
糸練功で調べると、左上焦の心の臓に胃寒証。右上焦の大腸の腑に気滞と水滞証が確認される。
現在の病態を説明し、錠剤の緑製剤により内臓が更に冷え、メニエル病が酷くなる事を説明し錠剤の緑製剤を中止させる。錠剤の緑製剤で改善する眩暈もあり、素人判断は禁物。
5月25日、胃寒の証と利水作用のあるカプセル剤を投与。7月26日、左上焦5合、右上焦8合に各々改善。発作は出なくなる。
メニエール氏病、回転性眩暈の発作
昭和6年生、女性
患者さんは月に1回やって来るメニエール病の発作で困っていた。発作は回転性で天井がグルグル回るそうである。発作時はやや吐き気があり、頭痛は無く、まぶたが重いとの事。
普段から車酔いしやすく立ち眩みもある。血圧は変動し易く、高い時は最高170、最低100位との事。イライラし不眠があり安定剤を服用中である。手掌に発汗が見られ交感神経が緊張気味である事が窺える。
自律神経を安定させる粉薬を3分の2量、1日2回。目眩は漢方では水毒が原因となるため、回転性目眩を抑える様に水滞に効く煎じ薬を1日3回投薬。合わせて水分を減らすようにも指導した。
15日後、眩暈無く夜も良く眠れるとの事。その後、発作も無く6ヶ月服用し廃薬とする。漢方薬を止めて半年程し、少し軽い目眩があったとの事で来局。前と同じ薬方を15日分投薬。その後、発作は無く自律神経も安定し治癒となる。