写真は、大分県別府市の鬼山地獄のワニです。
間中四分画診断から続きます。
X交差は診断だけでなく治療も出来る
四分画診断は間中喜雄先生のX交差理論より作られています。任脉、督脉、帯脈を挟んで病と治癒力は拮抗しています。X交差は診断だけでなく治療にも使えます。漢方薬だけでなく鍼灸で慢性病が治せます。
傷寒論の漢方処方内のX交差
桂枝湯の薬味は、桂枝、芍薬、大棗、生姜、甘草です。近代漢方薬ハンドブックを書かれた故高橋良忠先生は「大棗、生姜、甘草」は自然治癒力を益すと述べられています。桂枝湯は「桂枝、芍薬」が方意であり、「大棗、生姜、甘草」は治癒力を益すX交差だと言えます。
同じ太陽病位の麻黄湯は実証のため治癒力を助ける「大棗、生姜、甘草」は不要です。同じ太陽病位の葛根湯は方意を作る「葛根、麻黄、桂枝、芍薬」と治癒力を益す「大棗、生姜、甘草」のX交差に成っています。少陽病位の小柴胡湯は方意を作る「柴胡、半夏、黄芩、人参」と治癒力を益す「大棗、生姜、甘草」のX交差組合せです。陽明病位の白虎湯は脱水で実証のため「大棗、生姜、甘草」が「粳米、甘草」に変化します。「大棗、生姜」と「粳米」の異なる働きは、食養生に通じる大きな気付きがあります。話は戻りますが、白虎湯は方意を作る「知母、石膏」と治癒力を益す「粳米、甘草」の組合せでX交差になっています。
漢方処方の方意を考える時に治癒力の組み合わせを省くと方意が分かり易くなります。
食養生も方意に基づく食養生と治癒力を上げる食養生に分かれます。例えば肝臓の働きが弱い時の食養生の基本は、高タンパク、高カロリー、低脂肪です。高タンパクは方意に基づく食養生、高カロリーと低脂肪は治癒力を上げる食養生でX交差です。漢方治療では方意と治癒力とを完成しX交差が出来あがります。
X交差理論による鍼灸治療
間中先生や入江先生からX交差による鍼灸治療は伝わっていません。IPで1部使われているだけです。木下は20年掛けてX交差の鍼灸治療を完成したと思っています。鍼灸にてX交差治療を使うと慢性病も治せるようになります。ただ的確な臓腑診断が必要になります。
鍼灸のX交差治療法
例えば胆経の病の患者さんでは、胆経の井穴を診ると左右どちらかの胆経に強い反応が出ています。例えば右の胆経の反応が強ければ、五行穴の経穴と膝窩横紋から4寸下の無名穴のX交差穴に反応が強く出ています。右の五行穴の経穴とX交差穴がメインです。サブの治癒力は右足胆経とは左右逆の左手に反応が強く出ます。左手の経絡を見極め五行穴の経穴を治療します。治療は原則通り、手から足へ、末端から体幹へしていきます。現在まで判明している鍼灸のX交差治療法をご紹介します。
- 臓腑判定をします。
- X交差は手足が交差します。左右逆になります。
- 五行穴の経穴を使用します。
- メインの臓腑は五行穴の経穴とX交差穴の2穴を治療します。治癒力を上げるサブは1穴です。
- X交差穴は、手の経絡は肘窩横紋から3寸末端側。足の経絡は膝窩横紋から4寸末端側。無名穴が多いです。
- 古方の治療順に従い、先急後緩、先表後裏、標本治療を守ります。
- 患者さんの身体が補瀉を選びます。ですので補が主と言われる灸でも治療が出来ます。艾を貼るだけでも効果が現れます。