体質の必要な診方2

2023年2月21日;(写真は、青森県八甲田山ブナ淋です。)

必要な体質の診方1から続く

今回は病の原因である病因の血毒に影響を与える「摂取した食物」の流れを診ていきます。タンパク質、脂肪、炭水化物の中でも特に油脂物は血毒との関係が強いです。

ご自分やご家族の証(体質と病)を判断するためのご参考になれば幸いです。

摂取した食物の流れ

食欲

1回で食べる食事量

1回に食べられる食事量が多いのは実証(ジッショウ)、逆に1回量が少ないのは虚証(キョショウ)です。

食後に睡魔がある

食事後は胃腸に血液が集まります。また胃腸は副交感神経の支配下にありますので食後は副交感神経が優位になります。
一般的に食後に睡魔が来るのは虚証(脾虚ヒキョ)とみなしますが、胃腸に血液が集中するので他の部位の血液量が減少します。腎臓病や肝臓病、血栓症などでは食後に暫く横になるのがお勧めです。

便通

太い便

便が太いのは実証細いのは虚証です。
便が細い場合、他に大腸や肛門部の病気の場合もあります。

コロコロ便など

漢方では兎便(トベン)と言います。ウサギの便のようにコロコロした便です。腸内の水分量が減少したため腸の収縮の形のまま排便された便と考えられています。
体内水分が減少する年配者に多く観られます。漢方では麻子仁丸(マシニンガン)や潤腸湯(ジュンチョウトウ)、地黄(ジオウ)剤の適応と成ります。
食養生では水溶性繊維の多い完熟した果物や海藻類、火を通した野菜を多くします。

下痢

下痢は本来、食中毒などで身体の中に入り込んだ細菌やウイルス或いは毒物を排泄するための防御反応です。
しかし様々なお病気でも下痢は起きます。
また下痢は体内のカリウムを排泄するので倦怠感も生じます。リンゴや果物、野菜などでカリウム補給が必要です。
漢方では排便後スッキリする下痢肛門部に灼熱感のある下痢は陽証。
排便後に脱力感や色の薄い下痢、食物がそのまま排出される下痢(完穀下痢カンコクゲリ)は陰証と捉えます。
陽証には瀉心湯(シャシントウ)類、陰証には人参湯(ニンジントウ)や附子(ブシ)剤を使用することが多いです。
いづれにしても下痢にて水分が減少しますので脱水を防ぐために水分補給が必要です。

腹中雷鳴(ガスが多い)

お腹がゴロゴロなりガスが多い状態を腹中雷鳴と言います。腸内異常発酵の状態です。瀉心湯(シャシントウ)類の適応になります。胆汁の働き不足でも生じます。

脂溶性便(便器に付いた便が水で流れにくい)

下痢は一般的に水性ですので便器についても水で流れます。便器に付くと流れにくい軟便があります。脂溶性便と言い油脂の混在した便です。

膵頭部から十二指腸へ胆汁が排泄され、胆汁の界面活性作用で食物中の油性食物と水性食物は混和されます。本来の便は水と油脂が分離せず混ざり合った状態です。
胆汁の働きが悪くなると水と油脂が分離した状態で腸内を経由し便となります。腸内では異常発酵を起こし臭いの強いガスが多くなります。便は水性と油脂性の分離した脂溶性便になります。

原因の多くは胆石、胆砂、胆泥の場合が多いです。食事の西洋化で日本人には非常に多いです。油脂物を食べてお腹が痛くなったり、アルコールを飲んで吐いた経験のある人は要注意です。

裏急後重(リキュウゴジュウ。しぶり腹)

排便後、また直ぐに便意がきて何度もトイレに駆け込む下痢の事です。
大腸に炎症性の病態があると考えられます。強すぎる便秘薬を服用しても生じることがあります。

寒熱(カンネツ)

寒熱は病因(気血水)や証(病状・体質)の性質・性格を比較的判断しやすい診方です。
ご自分やご家族の証(体質と病)を診るため「寒熱」の判断は必要です。ご参考になれば幸いです。

寒熱のパターン

悪寒・発熱

温かくしていても悪寒と共に発熱する状態です。悪寒ほどではないですが、風や外気に当たったり水を触るとゾクッとするのが悪寒より少し軽い悪風(オフウ)です。
いづれも肉体が免疫力を上げようとしている太陽病の熱形です。

往来寒熱(オウライカンネツ)

寒と熱が交互に往来する熱の事です。
朝方は平熱で夕方に微熱が出て発汗し翌日の朝には平熱に戻ります。また次の日もそれを繰り返す熱形です。
病邪が強く実証で症状の激しい場合は、昼の2時くらいから寒気がし夕方に高熱が出ます。
虚証の場合は夕方に微熱が出て、朝の平熱へ向かうため解熱します。その解熱に伴う発汗が盗汗・寝汗となる場合があります。
往来寒熱は、感染症などで初期の太陽病(タイヨウビョウ)から次の病位の少陽病(ショウヨウビョウ)に入った時期の特徴的な熱形です。

逍遙熱(ショウヨウネツ)

背中がゾクッと寒くなり1枚羽織ったら、熱くなり羽織を取る。羽織を取ったらまた背中がゾクッとする。
寒熱が交互に訪れる少陽病位の自律神経のアンバランスによる熱形です。少陽病の往来寒熱が短時間で起きるパターンとも考えられます。

潮熱(チョウネツ)・弛脹熱

寒気がなくジワジワ熱が高くなります。その時、潮が満ちて浜辺の砂や岩場がすべて濡れるように全身にくまなく汗が出る状態です。
身体の深部に非常に強い熱が籠っている状態です。食養生では生野菜や少し苦みやアクのある食材を増やします。このような裏熱が強い場合は玄米も合っています。
陽明病(ヨウメイビョウ)の特徴的な熱になります。

寒熱の部位

上衝下冷(ジョウショウカレイ)

上衝は気が上にのぼることです。下冷は下半身が冷える事です。手足の末端が冷えるのに顔がのぼせる状態です。瘀血の証の特徴的な寒熱です。
食養生では緑の野菜を、生野菜のサラダでも火を通した温野菜でも良いので多く摂ります。

四肢厥逆(シシケツギャク)

手足が特に冷える事です。
陰病では四逆湯などの附子剤の適応です。心機能も新陳代謝も落ちている状態です。身体全体も冷えています。
しかし陽病の場合は四逆散などの適応で心機能も新陳代謝も落ちていません。交感神経の興奮により末梢血管が収縮し末端の血流低下が原因で起きる冷えです。緊張すると手先が冷たくなる人がいらっしゃいます。それは陽証の四肢厥逆になります。

手足煩熱

手足が火照り布団から外に出したがります。一般的に虚熱に成りますので陰の太陰病(タイインビョウ)の熱です。身体が虚している可能性があります。食養生では穀類やイモ類、特にジャガイモや里芋など、鶏肉も合います。
陽証実証の場合は三物黄芩湯(サンモツオウゴントウ)証などにも生じます。その場合は食養生では緑の野菜を増やします。

腰に特徴的な冷え

腰が重く腰より下の冷えが酷く、尿量も多いです。漢方では苓姜朮甘湯(リョウキョウジュツカントウ)証になります。食養では苦みやアクを避け、生姜料理を増やします。