食材の特性

漢方食養生

2020年11月27日。写真は石川県、兼六園。冬支度、雪吊りです。

お米、蕎麦、塩

お米

  1. もち米は、温でエネルギーが大きく、体力が落ちている時などに合います。風邪などの時に作るお粥や重湯は、もち米の方が効果が良いです。
  2. 白米は平。
  3. 玄米は、涼で白米より潤の働きが強いです。玄米食は冷え性の人には要注意です。
    毒消しには温で燥の働きの小豆、副食に温の玉ネギ、生姜、ニラなどを添えると良いです。

そば

  1. お蕎麦は涼です。冷え性の人や冬場は注意です。
    身体を温める薬味のネギやワサビ、生姜、一味、青紫蘇などを添えると良いです。
  2. 岩手の郷土料理のかっけ料理は、涼の蕎麦を温のニンニク、温の味噌を使用し食べます。
    蕎麦の身体を冷やす作用をニンニク、味噌の温める働きで毒消し、調和した食文化、食養生理論に合致します。

  1. 塩は強涼です。風邪気味の時のお粥には塩味は付けません。
    ニガリの入った自然塩は焼いて焼塩にすると微涼に変化します。どうしても塩を入れる時は焼塩を入れます。
    純粋な塩NaClは焼いても強涼は変わりません。
  2. 塩は強潤ですので浮腫みやすい人は気を付けます。
    塩分を減らしたい場合は柚子、カボス、レモンなどの柑橘類で工夫します。例えば焼き魚にレモンをかけ、物足りなければ塩や醤油を少しだけ追加します。
    塩分だけ減らすのは難しいです。薄味にし素材の味を楽しむと結果として塩分の摂取量が減ります。
  3. 塩分の気になる人は、海藻、蟹は海産物ですが、燥の性質があり塩分を排泄する働きが有ります。海藻類を多くすると良いです。
    また冷え性の人は、温の酢で味付けを心掛けます。

酢、ハチミツ、魚介類

酢は基本的に温です。
温の酢、酢酸から自然酢、更に強温のリンゴ酢と温性が強くなります。リンゴ酢は酢酸の3、4倍の強さの温性だと言われます。

蜂蜜

  1. 蜂蜜は日本では美味しく食べるために活性炭処理やイオン交換樹脂で処理した蜂蜜も有ります。元々の色の濃い蜂蜜に比べ食べやすいですが、ミネラル、ビタミンなどが少ない傾向にあります。
  2. また蜂蜜を何年も寝かせると、ショ糖が還元糖に変化します。
  3. 蜂蜜はGI値、食品ごとの血糖値の上がりやすさが低く血糖値が上がりにくく、上がった血糖値が下がりやすいと報告されています。
    漢方で糖尿病にも使用する八味地黄丸には蜂蜜を入れます。
  4. また歯周病への予防効果があり歯石も出来にくく、大腸菌などへの殺菌力にも優れています。

蜂蜜の食性は、涼、降、散です。
リンゴ酢は、温、降、散です。
蜂蜜とリンゴ酢を混ぜバーモンドドリンクを作ると、平、降、散に成ります。
降、散ですので、高血圧、升の方や不眠症の升、イライラの升、夜泣きの升、便秘症の升、収の人に合うようになります。

魚介類

  1. 貝類、蟹は涼です。貝柱は温です。背骨のある魚類は基本的に平から温です。
  2. 寒の冬場に涼の蟹を食べる時は、温の酢や副食で温の物を添えます。

甲羅の有る動物は身体を冷やす傾向にあります。
逆に背骨のある動物は身体を温める傾向にあります。

肉類、お茶、アルコール

肉類

豚肉は涼です。火傷に効果の高い漢方の軟膏、紫雲膏には豚脂を使用します。猪肉は豚肉の原種、強力版です。
卵は平。
牛肉、鶏肉、羊、ホルモンなどは温に成ります。

すき焼きで温の牛肉に温のネギ、温の玉ねぎを使うと熱性が強く、高血圧の人やのぼせ症の人には合いません。その時に涼のホウレン草のお浸しを添えるだけで熱性を弱めることが出来ます。

お茶

  1. 日本茶は漢方薬の五苓散と同様に胃腸間内の水分を血液中に移動させると考えられ、その結果、血液中の余った水分を利尿します。
    真夏に冷たい水を飲んでも飲んでも喉の渇きが取れない時に、濃い熱い日本茶を1、2杯飲むと喉の渇きが取れます。血液中の水分量が上がり脱水状態が解消するからです、
    そのため血液中の水分量を考えれば潤、涼となり、胃腸間内の水分量、生体全体の水分量を考えると燥となります。
  2. 緑茶を半発酵したウーロン茶は燥、温です。
  3. 緑茶を全発酵した紅茶、プアール茶は燥、温が更に強くなります。 冷え症や浮腫みが気になる人に合っています。

アルコール

  1. アルコールは日本酒、ウイスキー、焼酎など温、潤の働きです。ビールだけ苦みがあり涼になります。
    偏頭痛持ちの漢方の胃寒が原因の呉茱萸湯ゴシュユトウ証や腸寒が原因の桂枝人参湯証の人にはビールは禁忌です。
  2. 温、潤のアルコールに対し、つまみは涼、燥の物が合います。
    例えば、生の大根、昆布、セリ、茄子、トマト、蟹、キュウリ、菊花、ホウレン草などです。
  3. 温潤のアルコールに対し、酔い覚ましに黄連解毒湯。寒、燥、散、降の働きです。
    二日酔いには五苓散は涼、燥、散の働きです。五苓散は血液内に対しては潤で、生体全体としては燥となります。