不思議な東洋医学

東洋医学理論

2021年1月14日。写真は中国、大理古城の城壁です。

東洋医学の自然治癒力

自然治癒力は誰でも持っている免疫力や回復力です。
少し風邪気味かなと思っても自然に良くなったりします。それが自然治癒力です。

年齢が上がると紫外線に対する治癒力が落ちる

若い時は紫外線に当たってもシミもシワも出来ません。
年齢が上がると紫外線により発生する活性酸素の影響を回復しずらくなり、シミとシワが出来るようになります。ご高齢の方でも、お尻にはシミ、シワが少ないのも紫外線が当たらないからです。

食養生では緑の野菜に清熱浄化作用があると考えています。夏に出来る少しアクがあり苦みの食材なども清熱作用があり紫外線の害を防ぐと考えられます。

勝復

自然治癒力の事を東洋医学では勝復と言います。
黄帝内経難経七十五難に「制すれば即ち生化する」と勝復の仕組みが詳しく書かれています。
勝復で生化できなかった場合が、相乗、反悔と言い完全な病となった状態です。

東洋医学の正常化作用

化学薬品の降圧剤を服用すると、誰でも血圧が下がります。
化学薬品の血糖降下剤を服用すると、誰でも血糖値が下がります。
化学薬品の解熱剤を服用すると、誰でも体温が下がります。

漢方薬の正常化作用

大柴胡湯と言う漢方薬が有ります。
適応は、高血圧症、肝機能障害、胃炎、喘息、糖尿病、肥満など幅広く使われる漢方薬です。
例えば、肝機能障害で大柴胡湯を服用すると肝機能は改善します。しかし血圧も血糖値も下がりません。
糖尿病で大柴胡湯を服用すると血糖値は下がります。しかし血圧は下がりません。

白虎加人参湯と言う漢方薬が有ります。
適応は、糖尿病、感染症の解熱、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、熱中症など幅広く使われる漢方薬です。
例えば、糖尿病で白虎加人参湯を服用すると血糖値は下がります。しかし体温は下がりません。
アトピー性皮膚炎で白虎加人参湯を服用するとアトピー性皮膚炎の炎症は治まります。しかし血糖値は下がりません。

漢方薬は正常化作用です。化学薬品の様な一方的な血糖降下や解熱作用、降圧作用は有りません。
その患者さんの一番良い状態に正常化する働きです。

漢方薬の下薬

漢方の薬味は、上薬、中薬、下薬に分かれます。
上薬は、一生飲むと健康維持も出来る漢方薬。
中薬は、慢性病に使用し治ったら止める漢方薬。
下薬は、急性病に使用し治ったら止める漢方薬。と考えると分かりやすいです。

この下薬の中には、正常化作用ではなく化学薬品と同じように一方的な働きをする漢方薬が少数有ります。代表的な漢方薬では大黄などです。

専門家にご相談、或いは助言をもらい下さい。
しかし殆どの漢方薬は正常化作用です。

アッ勘違い。漢方薬の働き

風邪をひきます。適応する漢方薬を服用します。身体が温まり発汗し風邪が良くなります。
漢方薬が風邪の原因のコロナウイルスを殺したのでしょうか。
薬理学的にウイルスを殺す漢方薬は無いと考えられます。
では何故、風邪が漢方薬で治るのでしょうか。

漢方薬は貴方の免疫力を強めます

漢方薬は、血流を改善し身体を温め免疫力を上げます。
ご自分の機能向上した免疫力が風邪のコロナウイルスと闘い殺しています。

がん癌細胞を直接的に攻撃する漢方薬などありません。
漢方薬は貴方の免疫力を上げ、貴方の免疫力が癌細胞を退治しています。

人間は、白血球やナチュラルキラー細胞、マクロファージー、キラーT細胞などの免疫細胞。インターフェロン等のサイトカインである低分子タンパク質等の免疫の生理活性物質を持っています。
漢方薬はこれらの免疫力を調整し活性化します。
人間の治す力を上げ、自然治癒力を増すのが漢方薬、東洋医学です。

漢方薬はお病気を治していません。お病気を治そうとする貴方の身体を治しています。
その為、食養生、生活の養生、心の養生が治療の重要な部分を占めます。
医は三分、食が七分」「漢方治療は三分、養生が七分」で、東洋医学は完成します。

体質改善は出来る

東洋医学では体質改善と言う言葉をよく使います。

遺伝子は変えられない

同じ親から生まれて喘息になる子とならない子がいます。
同じ遺伝子DNAです。
漢方で遺伝子DNAを変える事は出来ません。
しかし喘息の出ない身体に体質改善することができます。

ホメオスタシス

人間の身体には、ホメオスターシス、生体恒常性という機能があります。
健康を保つため、前の状態を保ち維持する機能です。
これにより体温は一定、血圧も安定、血液のPHも一定、血糖値も一定に保たれ維持されます。

甘い物を食べると血糖値が上がりますが、ホメオスターシスにより血糖値は安定します。
しかし何回も繰り返していると血糖値は上がった状態を続けます。ホメオスターシスが狂い血糖値の高い状態が維持され糖尿病になります。

これを変えるのが漢方の体質改善

人間の筋肉細胞は約3ヶ月で生まれ変わります。皮膚は28日、赤血球は120日、肝臓は1ヶ月で90パーセントの細胞が入れ替わります。骨も2年で入れ替わります。母細胞が分裂し娘細胞が出来ます。
母細胞は代謝され、脂溶性の代謝物は便へ、水性の代謝物は尿に排泄されます。

同じように見えますが、3ヵ月前の私達の肉体は物理的には存在していません。
私達の肉体は、3ヶ月の間に食べた食事により出来ています。生まれ変われるのです。
食べたもので出来た肉体。食養生が大事です。

漢方の体質改善も3ヶ月を1クールと考えています。
漢方薬服用による影響を受けた細胞分裂を、何回、何クール繰り返すかで治療期間が決まります。