酷い生理痛が起こる様になった女性

生理痛

子宮内膜症、月経困難症。かけ橋掲載分

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酷い生理痛とチョコレート膿腫

1989年生、女性。薬歴7074

1年前より、酷い生理痛が起こる様になった女性から相談を受けた。今まではあまり生理痛はなかったとの事。生理1日目から3日目にかけて痛みがあり下痢を伴う。
病院を受診したところ、子宮内膜症との診断。右卵巣にチョコレート膿腫が2個出来ていた。
子宮内膜症の漢方治療は、原因部分である血虚の治療と、原因によって生じるチョコレート膿腫の瘀血の治療を行う。体質的に身体を冷やす食べ物が合っていないと思われたので食養生もお伝えした。
最初は漢方薬の味に慣れないご様子だったが、いつの間にか慣れて、生理痛の痛みの程度が弱くなって行った。痛みは軽減して来たけれど生理前後の下痢は治まらない。飲酒の際も下痢をする事をお伺いし、胆汁の流れの問題による下痢と思われ、そちらのご養生法をお伝えした。
1ヶ月毎に生理痛の痛みが軽くなっている。瘀血改善のスピードがとても速く、治療開始から半年後に瘀血を改善するスピードを落とす内服方法を指導した。
その後、下腹部痛が生じたり生理周期の乱れがあったが、その時々に合わせて対処した。
腹痛、生理痛は殆ど無くなって来た。瘀血は治療終了ラインまで到達した。この事はチョコレート膿腫の消失が推測出来る。子宮内膜症の原因部分を改善する血虚の漢方薬も1日1回へ減薬。
その1ヶ月後に漢方治療終了となった。子宮内膜症は西洋医学では治らないとされている。漢方治療では非常に得意分野の一つの疾患である。

鎮痛薬が手放せない月経困難症と便秘が改善

1999年生、女性。薬歴7640

小学5年の頃から月経が始まり、28日周期、期間は7日程度である。
経血量も多く、冷えや貧血、頭痛も伴う事もあり鎮痛薬が手放せないでいた。
10年近くこの状態が続き鎮痛薬を使い続ける怖さもあるとの事で、ご相談に来られた。
また、便秘症でニキビが顔や背中に良く出来ると話を聞いた。
問診と糸練功にて桃核承気湯証を捉えた。桃核承気湯証は気の上衝が激しく、その瘀血が上焦で停滞する為、陽面である背中や顔に発赤しやすい。
服用から1か月程度で生理痛が軽くなり、排卵痛も落ち着いた。生理痛が軽くなると頭痛腹痛も消失。
3ヶ月目に入ると新しいニキビが出来にくくなったとの嬉しいご報告を受けた。
便通が悪くなると、瘀血体質となり、漢方薬で改善してもまたぶり返してしまう為、毎日排便する様に食養生をお伝えした。

  1. 摂取する油脂の量を減らす事
  2. 摂取した油脂物を便として排出する為に、水溶性繊維を多く摂る事。火を通した野菜、海藻類、完熟した果物等。
  3. 緑の濃い野菜は清熱作用が有る為、油脂物の毒消しとなる事

漢方薬と食養生で月経に関わる症状が消失し、便通も改善された。
生理痛は女性なら一度は経験があるが、病的でない事が多く他人に理解されにくい。漢方薬の治療は未病にも有効である。